少子高齢化が進む日本では労働力不足を補うため、特定技能外国人や技能実習生を受け入れる企業が増えています。
受け入れ企業は、外国人労働者の生活や労働に支障がでないように住居環境を整え、サポートの体制を整える必要があります。
この記事では特定技能外国人や、技能実習生の住居に関する条件や、企業が受け入れるときに注意すべき点を詳しく解説します。
ぜひ参考にしてみてください。
技能実習生の住居に関する条件はある?
技能実習生を受け入れる企業には、実習生が安全に過ごせるよう住居に関する具体的な条件が定められています。
例えば、技能実習生が住む部屋の広さは、1人あたり寝室床面積4.5㎡以上必要です。
これは畳3畳ほどの広さで、実習生が安心して過ごせる最低限の広さとされています。
また、住む場所には、しっかりとした収納スペースや、トイレ、シャワー、キッチンといった、毎日の生活に必要なものがそろっていなければなりません。
さらに、住居には火災報知器の設置や避難経路の確保など、何かあったときに安全を守るための対策も必要です。
この条件によって実習生は安心して過ごすことができ、結果として、企業の労働力の確保につながります。
技能実習生の住居費の負担のルールは?
技能実習生の住居費負担の主なルールは下記の2つです。
それぞれ企業や実習生の負担内容が異なるため、下記で詳しく解説します。
社宅、寮などの会社の物件の場合
技能実習生が企業の社宅や寮に住む場合、企業側が費用を全額負担、もしくは一部負担しますが、具体的な負担額は企業によって異なるのでしっかりと確認をすることが大切です。
家賃や光熱費などの負担については、後にトラブルにならないよう、実習生に費用の詳細を説明する必要があります。
社宅や寮で生活できることは、実習生にとっては住居の確保がしやすく、環境に早く慣れるための助けにもなります。
また、他の日本人労働者と一緒に住むことによって、コミュニケーションが生まれ、実習生は安心して生活することができ、より働きやすい環境が整います。
企業側にとっても実習生の環境が把握しやすく、何か問題が起こった際、サポートがしやすくなるメリットがあります。
受入れ企業が借り上げているアパート、一戸建てなどの場合
受け入れ企業が借りているアパートや一戸建てに住む場合もあります。
その場合は、企業側が家賃の一部を負担し、残りの額を実習生が負担することがあります。
また、実習生が家賃を支払う場合、負担額が元の家賃を超えない範囲であれば、企業は請求しても問題はありません。
この点を実習生にしっかりと説明をし、家賃の内訳や光熱費の負担について、事前に確認をしておくことが大切です。
アパートや一戸建ては、企業が保証人となることで、技能実習生が賃貸契約を結ぶ際の手続きがスムーズになり、契約に必要な保証が得られるという安心感もあります。
実習生は、新たに住居を探す手間が省け、企業側も何か問題が起こってもすぐにサポートできるといったメリットがあります。
特定技能外国人にも住居の支援が必要?
特定技能外国人を受け入れる企業は住居を支援する必要があります。
働く場所は見つかっても快適な住まいが見つからないとなると、どれだけ勤務先が良くても日本で働きたいと思えません。
生活をするうえで、住居はとても大切です。
企業は特定技能外国人を受け入れるうえで、生活環境をしっかりと整える必要があります。
ではその住居の条件はどのようなものなのでしょうか?
特定技能外国人の住居の条件について詳しく解説します。
特定技能外国人の住居の条件は?
特定技能外国人を受け入れる企業には、安全に過ごせるよう住居に関する具体的な条件が定められています。
例えば生活するのに一定の広さが条件付けられており、1人あたり7.5平方メートル以上と定められています。
ただし例外もあります。
技能実習生から特定技能者に変わる際や、技能実習が終わって一度は帰国し、その後また特定技能者として働きたい場合です。
その場合、住む部屋が1人あたり4.5㎡以上の広さがあれば、そのまま住み続けることができます。
このルールにより、外国人労働者が安全で十分な住居で生活することが可能です。
出典:法務省「1号特定技能外国人支援に関する運用要領-1号特定技能外国人支援計画の基準について-」
労働力不足を補うために多くの企業が活用している特定技能制度ですが、技能人が安心して働くためには、住居環境の整備が大切です。
適切な広さの部屋を用意し、必要なサポートを整えることで安心して生活できるため、最終的に企業の労働力をあげることができるでしょう。
技能実習生から特定技能に変更した場合の決まりはどうなるの?
技能実習生から特定技能へ変更した場合、日本で働ける期間が最長5年に延びたり、実習生の頃より収入を得られるメリットがあります。
まず技能実習生から特定技能へ変更するには、技能試験と日本語試験に受かる必要があります。
また、技能実習2号を修了していること、技能実習で行っていた職種や作業内容と特定技能の業務に関連していると試験が免除されます。
簡単に説明すると、実習生のときに就いていた仕事と同じ職種に特定技能外国人として就く場合は、技能試験も、日本語試験も不要です。
今までの経験がそのまま使えるため、新しい試験を受ける必要がありません。
異なる職種へ就く場合は、日本語試験は不要ですが、技能試験は受ける必要があります。
この技能試験に合格することで特定技能として働くことができます。
住居の支援はいつまで必要?
住居の支援がいつまで必要という規則は存在しません。
外国人労働者が生活に慣れ、自立できるまでが目安といった方が良いでしょう。
特に日本の賃貸物件の契約方法や生活に慣れていない外国人にとって、初期の住居支援はとても大切です。
住居支援があることで、外国人労働者は安心して働くことができるため、仕事への集中力が高まり、職場への適応もスムーズになります。
また、住居の安定は労働者とのトラブルの発生も抑えることができます。
企業としても、労働者の定着率があがり、労働力の安定につながります。
さらに、企業が住居支援を継続的に行うことによって、労働者との信頼関係が強まり、外国人労働者の労働環境の満足度が高まり、企業にとっても大きなメリットとなります。
特定技能外国人自身で住居を探す場合の支援
特定技能外国人自身が住居を探す場合の支援について下記の3つの例を紹介します。
働くうえで住居はとても大切です。
ここでは上記の支援について詳しく解説します。
外国人自身が賃貸物件を借りる場合
外国人労働者が自分で賃貸物件を借りる場合、住みたい場所を自由に選べるというメリットがあります。
アクセスが良い場所、自分の生活スタイルにあった場所を選べることで、会社に知られることなく自分だけの自由な環境を手に入れることができます。
しかし、日本の賃貸物件を契約するには、いくつかの課題があります。
まず日本の賃貸物件は契約に保証人が必要な場合が多く、日本にきたばかりの外国人労働者は、保証人を見つけることが難しい場合が多いです。
また、保証会社を利用する場合にも、審査が厳しいため、契約が成立しないこともあります。
敷金・礼金などの初期費用が高いことも、外国人にとって大きな負担となります。
契約の際にも、日本語でのやり取りが必要であり、契約内容や条件を正確に理解するのが難しいことも課題です。
こうした課題に対し、企業は保証人の紹介や保証会社を利用し、外国人労働者をサポートします。
敷金や礼金などの初期費用の一部を企業が負担したり、日本語での契約手続きに対して、通訳サービスを利用するなどのさまざまなサポート支援を行います。
受入れ企業が賃貸物件を借りて、外国人に提供する場合
受入れ企業が賃貸物件を借りて、特定技能外国人に提供する場合も多く見られます。
この場合、企業が物件の賃貸契約を行い、その物件に外国人が住むかたちになり、外国人労働者が住居を探す手間が省けるというメリットがあります。
企業が賃貸契約を結ぶため、保証人の問題が解消され、手続きが比較的簡単になります。
また、企業と外国人労働者との間で、家賃の一部を外国人労働者が負担する場合もあります。
この際には、家賃や光熱費の負担割合をしっかりと確認し、事前に説明を行うことが大切です。
受入れ企業が所有する社宅や寮を外国人に住居として提供する場合
この場合は、企業の所有している社宅や寮を使用するため、外国人労働者が自分で住居を探す手間が省け、またコスト的にも企業側が管理するため、家賃を比較的安く抑えることができるメリットがあります。
また、社宅や寮での生活は、特定技能外国人にとっても他の従業員とのコミュニケーションの場となり、日本の生活に早く慣れることができます。
企業側にとっても何か問題が発生した際に素早く対応できるというメリットがあります。
まとめ
特定技能外国人が日本で安心して働き、生活するためには、企業からの住居の支援が欠かせません。
企業が住居を提供する方法は、外国人自身が賃貸物件を借りる場合、企業が賃貸物件を借りる場合、そして社宅や寮を提供する場合など、さまざまな形があります。
住居の支援があることで、外国人労働者は安心でき、日本での仕事にも集中できるようになります。
その結果として、労働力が上がり、企業にとっても長期的に安定した労働力を得ることができます。
特定技能外国人を受け入れる企業は、労働者の住居環境を整えることで、安心して働ける環境づくりを目指し、企業と外国人労働者にメリットのある関係を築くことが大切です。
参考:https://www.moj.go.jp/isa/content/930004415.pdf