近年、日本の企業で働く中国人が増加傾向にあります。
中国人を雇用している企業の方にとっては、中国人に難しい日本語がどのようなところなのか、わかりづらいところもあるのではないでしょうか。
この記事では、中国の方にとって日本語が難しいといわれる理由について、いくつか事例を交えながら紹介していきます。
中国人が難しいと感じる日本語
日本語の発音には、中国語にはない音が多く含まれているため、中国人の学習者にとって発音が難しいと感じる場合が少なくありません。
さらに、日本語のアクセントは平坦であることが多く、抑揚がある中国語の発音とは大きく異なります。
そのため、イントネーションを自然に使いこなすのも、中国人学習者にとっては難しく感じることが多いようです。
中国人が日本語を難しいと感じるポイントをいくつか紹介します。
発音が難しい
促音「っ」
日本語では、促音「っ」を使うことがよくあります。
前の音を短く強調する音で、正しく発音することが難しいと感じる人が多いです。
例えば、「かっこいい」のように、「っ」があることで、発音が短く切れます。
練習するときは、リズムよく、短く発音することを意識すると良いでしょう。
長音「ー」
長音「ー」は、母音を長く引き伸ばす音です。
この音を正しく発音することも、日本語の発音では重要です。
長音がある時とない時で、意味が変わることがあります。
長音の意味が変わる言葉の例 | |
---|---|
コート(coat): 衣服のコート | コト(事): 物事 |
バー(bar): 飲み屋や棒の意味 | バ(場): 場所や機会を指す |
ホース(hose): 水を通すホース | ホス: 洗濯物を干すとき |
長音も、リズムに合わせて練習すると自然な発音がしやすくなります。
語彙で混乱しやすい
日本語には非常に多くの同音異義語が存在し、これが混乱を招く要因の一つとなっています。
同じ音で異なる意味を持つ言葉を区別する必要があるため、文脈をよく理解しながら単語を正しく使い分ける必要があります。
- 橋:川や道を渡るための構造物
- 箸:食べ物をつまむための道具
- 端:物の先端や両端の部分
- 聞く:耳で音を感じる
- 効く:効果が現れる
- 菊:植物の名前
- 帰る:家や元の場所に戻る
- 変える:何かを変更する
- 蛙:カエル
また、日本語には独特のニュアンスや慣用句が数多くあり、それを理解するのも大きな課題となります。
同じ漢字でも中国語と意味が異なる
日本語の漢字は、中国語と形が似ているものが多い一方で、その意味や使い方が大きく異なる場合がいくつかあります。
これが、特に中国人学習者にとっては混乱の原因となることがよくあります。
例えば、「手紙」という漢字は、中国語では「トイレットペーパー」を意味しますが、日本語では「レター」という全く異なる意味を持ちます。
このように、見た目が似ている漢字でも意味が全く違う場合が多く、中国人の学習者が混乱してしまう原因になります。
そのため、日本語と中国語の漢字の違いを一つ一つ丁寧に学び、それぞれの意味を正確に理解することが重要です。
外来語が外国語の発音と違う
日本語の外来語は、その発音が元の外国語とは異なる場合が非常に多いです。
例えば、「バス」(bus)や「コンピューター」(computer)といった単語は、もともとの英語の発音と比べると、日本語特有の発音に大きく変わっています。
そのため、元の外国語と一致しない発音に戸惑うことも多いでしょう。
また、発音が異なるだけでなく、その使用法や意味が元の言語とは異なる場合もあるため、その点にも注意する必要があります。
外来語の発音は、中国人に限らず日本語学習者にとって学習の大きな壁となることが多いです。
文法が難しい
日本語の文法は、中国語と比較すると、構造やルールが大きく異なるため、理解が難しいと感じる学習者が多くいます。
また、日本語では動詞の活用形や、敬語、謙譲語、丁寧語といった複雑な表現方法が存在し、これらは中国語には見られない特徴です。
文法を効率的に習得するためには、テキストなどを使い例文にたくさん触れることが重要です。
文法書だけでなく、会話や書き言葉での具体的な使用例を多く学び、文の構造やルールを実際に使いながら理解していくことが効果的です。
日本語の文法を感覚的に身につけるためには、さまざまな文型にできるだけたくさん触れるのがおすすめです。
敬語
日本語の敬語体系は非常に複雑で、中国語話者にとっては特に難しく感じる分野です。
敬語には「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3種類があり、相手や場面に応じて使い分ける必要があります。
例えば、目上の人に対して尊敬語を使用し、自分や自分の身内をへりくだる際には謙譲語を使う、といった具合です。
この敬語の使い分けを習得するためには、基本的なルールを覚えた上で、実際に使ってみることが重要です。
敬語はビジネスシーンでも非常に重要な役割を果たすため、正確に使えるようになるまでには時間がかかるかもしれません。
それでも少しずつ練習を積み重ねていくことで、徐々に自然に使いこなせるようになります。
助詞
日本語の助詞には、「は」「が」「を」「に」「で」などがあり、これらの役割をしっかりと理解して使い分けることが必要です。
中国語には日本語の助詞に相当するものが少ないため、日本語の文中で助詞がどのように使われるかを学び、適切に使い分けるまでには時間がかかるかもしれません。
特に「は」と「が」の使い方や、場所や手段を示す助詞の選び方は、よく混同されるポイントです。
正しい使い方を覚えるためには、具体例を多く見て実際に使ってみることが大切です。
中国人の日本語学習目標の立て方
日本語の学習を進めるにあたって、効果的な目標の立て方を紹介します。
スモールステップでモチベーションを維持する
日本語を勉強する際には、大きな目標を立てたあと、それを実現するために必要なステップを細分化して目標を設定するのがおすすめです。
例えば、「ひらがなを覚える」ことから始め、「簡単な単語を覚える」「短い文章を作る」など、達成感を感じられる具体的な課題を作りましょう。
スモールステップで目標を設定することで、成功体験を積み重ね、学習意欲を維持することができます。
他にもモチベーションを維持する方法として、自分の成長を実感できるよう学習の進捗を記録することも効果的です。
試験など具体的な目標を設定する
試験や資格取得など、明確で測定可能な目標を設定するのも効果的です。
例えば日本語能力試験(JLPT)の受験を目標にすると、必要なスキルや知識が明確になります。
また、試験準備は学習の進捗を管理しやすく、モチベーションを維持することができます。
このような具体的な目標を持つことで、学習計画を立てやすくなり、効率的な学習が可能になります。
効果的な学習方法とツールの活用
日本語を学ぶためには、効率的な学習方法を取り入れることが大切です。
特に、語学学習は様々なツールを活用することで、効果的に学べます。
ここでは、効果的な学習方法やツールを紹介します。
フラッシュカード
フラッシュカードは、日本語の単語や表現を覚えるために便利なツールです。
カードの表に日本語を書き、裏に意味や読みを記載します。
この方法は、記憶を定着させるのに非常に有効です。
漢字の読み方や意味を覚えるような暗記学習の際にフラッシュカードを活用すると、記憶に残りやすいです。
シャドーイング
シャドーイングは、リスニング力を向上させるためにおすすめの方法です。
日本語の音声を聞きながら、発音を真似して声に出して発音します。
シャドーイングを行うことで、耳が日本語のリズムや音に慣れ、発音も改善されます。
日本語のアニメやニュースを聞きながら、自分も同じように声に出してみてください。
そうすることで、自然な日本語の流れを学べるでしょう。
オンライン学習サイトやアプリ
最近では、オンラインで日本語を学べる学習サイトが数多くあります。
これらのサイトを活用することで、自宅にいながら効率的に学習を進めることができます。
例えば、「Duolingo」「WaniKani」「日本語カフェ」などのアプリは、単語や文法を学ぶのにとても便利です。
スマホを使った学習は、電車を待っている間や休憩時間などの隙間時間を活用したいときに便利です。
楽しみながら日本語学習するには
日本語を楽しくかつ効果的に学ぶ方法として、Youtubeや漫画を取り入れるのもおすすめです。
ここではおすすめのYoutubeチャンネルや漫画などをいくつかご紹介します。
Youtubeの動画
日本語初心者におすすめのYoutubeチャンネルを2つ紹介します。
JapanesePod101
このチャンネルは、日本語初心者向けに、リスニング、スピーキング、文法、単語など、言語学習に必要な要素をバランスよく学べる教材を提供しています。
特に、短い動画で学習できるため、学習時間が限られている人に使いやすいチャンネルです。
初心者から中級者まで幅広く対応しているため、少しずつレベルアップしながら学習を進めたい方にも最適です。
日本語の森
「日本語の森」は、文法やJLPT(日本語能力試験)の対策に特化したチャンネルで、特に初級から中級レベルの学習者におすすめのコンテンツを提供しています。
このチャンネルの特徴は、日本語の文法や使い方を丁寧に、かつ細かく解説してくれる点です。
動画は日本語能力試験の各レベルに合わせて作られているため、試験対策にも役立ちます。
漫画
日本語初心者におすすめの漫画を3つ紹介します。
ちびまる子ちゃん
「ちびまる子ちゃん」は、日常生活をテーマにした、幅広い世代に愛されている作品です。
登場するキャラクターたちの会話は比較的簡単で、シンプルな日本語表現が多いことから、日本語学習者にとって非常に読みやすい内容となっています。
学校や家庭での日常会話が多く描かれており、リアルな日本語を使ってキャラクター同士がコミュニケーションをとるシーンが豊富です。
そのため、自然な日本語のフレーズや日本の文化についても理解を深めることができるでしょう。
よつばと!
「よつばと!」は、よつばという元気な少女が主人公の漫画です。
この作品では、よつばの視点から見た日常生活が描かれており、シンプルで親しみやすい会話が特徴です。
また登場人物たちの会話は比較的やさしく、日本語を学び始めた方にとっても分かりやすい教材となります。
さらに、物語全体がほのぼのとした展開で、日常の小さな出来事に焦点を当てているため、日常会話に使えるフレーズや日本の文化的な側面も学ぶことができるのが魅力です。
ドラえもん
「ドラえもん」は、日本を代表する国民的な漫画作品であり、シンプルな日本語表現が豊富に含まれているのが特徴です。
この作品は未来の道具を使った不思議な日常の物語で、子供から大人まで楽しめるストーリーが特徴です。
登場するキャラクター同士のやり取りがシンプルでわかりやすく、しかも頻繁に使われる言い回しが多いため、実用的な日本語が自然と身につきます。
また、ドラえもんのユーモア溢れる世界観が、学習を楽しくする要素にもなっています。
日本語カフェ
日本語カフェのeラーニング教材なら、レベルに合わせてたくさんの練習問題が用意されているため、初心者でも無理なくステップアップすることができます。
動画やイラスト入りの教材が豊富で、言葉の意味を視覚的に理解できるため記憶に残りやすいのが特徴です。
10種類以上の言語から選択できるので、母国語でしっかり意味を把握しながら学べます。
日常会話からJLPTの試験対策まで、さまざまなコースが用意されています。
無料体験もできるので、気になった方はぜひチェックしてみてください。
まとめ
中国人の日本語学習者が直面する難しさについて、いくつかのポイントを紹介しました。
特に発音の難しさや同音異義語、漢字の違い、助詞の使い分け、日本独特の敬語など、日本語には中国語と大きく異なる特徴が多く含まれており、それらが学習の壁となっています。
日本語を学ぶには様々な壁がありますが、できるだけ多くの日本語に触れて少しずつ慣れていくことで、着実に上達することが可能です。