N4の合格率が⒋6倍に! 学習成果がアップした方法とは 2025 7/02 全てのコラム 日本語能力試験 2024年2月8日2025年7月2日 目次インドネシアの学校で学習の課題を見つけた ――以前はどのような課題がありましたか? 以前、インドネシアにある語学学校を訪問して、学習の進め方などについて伺う機会がありました。そこでは200人くらいの方が日本語の勉強をされていました。ただ、朝から夕方まで、毎日8時間ほど半年間勉強しても、N4レベルの合格者が2割程度という状況でした。 ――合格率2割だったんですか。 そうなんです。それは低すぎるなと思って、詳しくお話を聞きました。授業は、現地にいるインドネシア人で、片言で日本語が話せる方が行っていました。1つのテキストの内容に沿って教えるというスタイルです。ただ、先生から質問が投げかけられたり、演習問題を解いたりといったことは、ほとんどされていませんでした。 ――そういった授業で、何が課題だと感じましたか? その教え方の課題として、まず、「生徒が飽きてしまっている」ことが考えられました。日本人でも、朝から晩まで国語の授業ばかりだと、飽きてやる気が出ないですよね(笑)。 ――受け身の授業だと退屈に感じてしまいそうですね。 それに、学んだ知識が「知っている」ことにとどまっていて、使えるようにはなっていないのが大きな課題だと思ったんです。また、実際の試験では一定の制限時間の中で30問ほどの問題を解くわけですが、そういった実践の場を想定した練習が全くできていないのも課題でした。 アメリカの言語習得理論にヒントが ――その課題を克服するために、何から着手しましたか? 学習にかけている時間は充分でしたのでやり方に問題があるのでは、と最初に仮説を立てました。そして、アメリカのハーバード大学等で研究されている、第二言語習得理論に注目したんです。 ――どういった理論ですか? それは、母国語以外の言語を学ぶ際にどういう手順で学ぶと頭に入りやすいか、を研究している理論です。その理論に関する論文を読むなかで大事だなと思ったのが、「アクティブラーニング」です。脳みそが活性化された状態で学習をすると、勉強の効率が高まるということなんですね。 ――どうすれば、脳は活性化するのでしょうか? 脳の活性化を促す方法として、たとえば先生が、「は」と「が」の違いについて説明する場合、授業の最初にそれを伝えて、「説明の後、先生が当てた人はみんなの前で同じことを分かりやすく説明してください」と課題を先に与えておきます。すると、生徒は自分が当たるかもしれないと思い、どういう説明をすればいいかなっていう視点で、先生の話をじっくり聞くことになるんですね。 このように、脳みそが活性化した状態で説明等を聞くことがとても大事なんです。そして、アクティブラーニングをするためには、いろんな質問を投げかけることも重要だということですね。 アクティブラーニングができるコンテンツを作成 ――アクティブラーニングを教材等にどのように取り入れましたか? 脳を活性化したり、問いかけをしたり、といったことを学習の流れの中でどう実現するかを考えました。その結果、解説動画を作り、生徒がその動画を見終えると毎回確認問題が出る、という仕組みにしたんです。 スポーツの“砲丸投げ”でいえば、45度の角度で投げると遠くへ飛ばせる、といった理論を先に学んで、すぐに運動場で鉄球を投げてみるという感じです。生徒は、あとで運動場で投げることをイメージしながら、その理屈を一生懸命に集中して聞くわけです。 また、実際の試験では周りにほかの受験生もいて緊張感があるわけですから、そういう雰囲気の中で自分の力が出せるように、模擬試験も時々行うようにしました。 ――3つのステップで学習を進めるようにされたんですね。 そうですね。動画でインプットして、確認問題を解き、模擬試験に週1回ほど取り組む、というのが骨子になっています。すべてのカリキュラムをその3段構えで構築したんです。 26人が新しいカリキュラムで学習。すると! ――コンテンツ作成で大変だったところは? 特に大変だったのは、問題の作成ですね。1つの問題を作るにしても、間違いとなる選択肢を考えないといけないですし、間違いの度合いにも配慮する必要があります。それから、それぞれの解説を一つ一つ用意しないといけないので、とても労力がかかりました。 問題作成には国語の先生を中心に32名の方が携わりましたが、各レベルごとに模擬試験も12セットほど作成いただいたので、かなり骨の折れる作業だったかなと思います。 ――新しいカリキュラムで学習した結果、成績はどう変わりましたか? お話を伺ったインドネシアの学校で、26人の生徒さんに完成したコンテンツで実際に学習を進めていただきました。そして、現地と私で毎週ミーティングを重ねながら、成績の伸び具合等を観察していったんです。 その結果、早い人だと4ヶ月目くらいで、6ヶ月が経った頃には、全体の93%ほどが合格ラインに達していることを確認することができました。 ――アクティブラーニングを取り入れた学習で、N4の合格率が20%から93%まで上がったんですね。日本語学習に関する興味深いお話をありがとうございました。 全てのコラム 日本語能力試験 よかったらシェアしてね! URLをコピーしました! URLをコピーしました! 特定技能「登録支援機関」の役割や支援内容、委託のメリットを解説 在留資格「特定技能」を取得するには?試験について解説 この記事を書いた人 三木 雅史 三木 雅史(Masafumi Miki) 株式会社E-MAN会長 1973年兵庫県たつの市生まれ / 慶応義塾大学法学部法学科卒 ・25歳で起業 / デジタルガレージ / 電通の孫請でシステム開発 ・web通販事業を手掛ける ・2006年にオンライン英会話を日本で初めて事業化 ・2019年外国人の日本語教育を簡単、安価にするため 日本語eラーニングシステムを開発、1万人超の外国人が日々学習中 日本語教育でお困りの方に役立つ資料をこちらからダウンロード下さい。 無料トライアルで実際のシステムをお試し頂く事も可能です。 日本語カフェが分かる資料3点セットをご案内します 資料を請求する 実際に日本語カフェの機能がどのようなものか、お試し下さい 試してみる 関連記事 特定技能「畜産農業」分野で人手不足を解消!外国人材受け入れのメリット 2025年7月3日 日本語能力試験(JLPT)レベル別に必要な漢字数まとめ 2025年7月2日 育成就労における監理支援団体とは?技能実習の監理団体との違い 2025年7月1日 育成就労制度の問題点とは?技能実習制度との違いと新制度の課題 2025年6月29日 技能実習生に必要な日本語力とは?現場で役立つ教育と支援方法 2025年6月28日 特定技能「介護」から介護福祉士を取得するには?外国人材の受入れと育成 2025年6月27日 日本語能力試験(JLPT)の問題数の目安と出題傾向・合格点をレベル別に解説 2025年6月26日 育成就労制度と特定技能制度の関係は?移行要件や企業が押さえるべきポイント 2025年6月25日