日本社会は高齢化によって労働人口が減少し続けています。
高齢化に伴いサービス業や建設業、介護分野のような労働力不足の業界を支えるには、外国人の労働力の活用が欠かせません。
しかし、外国人人材の採用や契約には手続きが非常に多く、すぐに導入できないという企業も多いのではないでしょうか。
そこでおすすめなのが外国人人材の紹介を行っている、人材紹介会社の活用です。
この記事では外国人人材紹介サービスについての解説や、最新の人材紹介会社の特徴を紹介していきます。
外国人人材紹介サービスとは?
外国人を採用するという選択肢は、多くの企業にとって新しい可能性を秘めています。
日本国内の人手不足を補うだけでなく、多様な文化や視点を取り入れることで、組織の創造力や柔軟性の向上が可能です。
まずは外国人人材紹介サービスの基本的な内容と、重要性について確認しましょう。
外国人人材紹介サービスの基本的な概要
外国人人材紹介サービスは、外国人の紹介だけでなく、幅広いサポートを提供しています。
具体的には人材の募集から面接、ビザ申請、入社後のサポートまでを一貫して請け負うサービスです。
「外国人採用は手間がかかるのでは」という不安から敬遠している企業でも、募集から採用まで委託することで気軽に導入可能です。
人材紹介会社は豊富な人材を抱えているため、企業のニーズに合ったスキルや経験を持つ外国人人材を採用できます。
特に、ベトナム人やフィリピン人など、アジア地域の優秀な人材は、特定技能(※)や高度な技術を持ち、多様な業種で即戦力として活躍するでしょう。
※日本政府が定めた特定の業種における技術水準を満たす外国人を対象とする在留資格
人材派遣会社は豊富なデータベースの中から、企業の希望に合致する人材を選定し紹介してくれます。
日本国内だけでなく、海外での現地採用を行っている企業もあり、特に中国、ベトナムなどのアジア各国での採用代行が盛んに行われています。
なぜ外国人人材を採用する必要があるのか
日本の人口減少と高齢化が進む中で、多くの企業が人手不足に直面しています。
経済産業省中小企業庁が発表した「深刻化する人手不足と中小企業の生産性革命」によると、2015年時点では日本の労働人口は約7,700万人でしたが、高齢化の進行により2060年には約4,800万人に減少すると予測されています。
深刻な状況を打破するには、外国人人材の採用を行い労働力の補完が必要です。
多様なバックグラウンドを持つ外国人人材を採用することで、企業の競争力向上にも貢献するでしょう。
厚生労働省が発表したデータによると、日本における外国人労働者数は増加傾向にあります。
2023年10月時点では2,048,675人が在職しており、前年から6.9ポイントの増加です。
近年では物流業や飲食業だけでなく、医療現場やプログラマーとして人材を募集している会社も増えてきています。
この傾向は、日本の労働市場における外国人労働者の重要性が高まっている証拠ともいえます。
外国人人材紹介サービスのメリット
ここからは、外国人人材紹介サービスを利用するメリットを3つ紹介します。
即戦力を確保できる
企業が即戦力となる人材を迅速に確保することができる点は、外国人人材紹介サービスの大きな魅力です。
長期的な採用活動に時間をかけることなく、特定のスキルや経験を持つ人材を即座に雇用できます。
特にエンジニアや製造業など、専門的な技術を要する職種において、その効果は顕著です。
採用コストを抑えることが可能
企業が外国人人材を採用する際、ビザ申請や複雑な事務手続きは避けられません。
しかし、人材紹介サービスに作業を委託することで、手間を大幅に軽減できます。
さらに、多くの人材紹介サービスでは、成功報酬制を料金体系に採用している場合が多いため、固定費が発生せず無駄なコストを削減しながら採用活動が可能です。
多様なバックグラウンドの人材を確保できる
グローバル企業での職務経験や、国外での就労経験といったバックグラウンドを持つ人材は、新しい価値観やスキルを企業の競争力を向上させるきっかけになります。
例えば外国人人材の活用は、グローバルな視座からの戦略構築や市場アプローチをするのに効果的です。
他にも複数の言語を操るスタッフを雇用することで、インバウンド消費への対応などビジネスの新しい可能性を掴む契機にもなるでしょう。
外国人人材紹介サービスの料金体系や仕組み
外国人人材紹介サービスを提供している企業でも、それぞれ採用している料金体系や紹介する人材のリサーチ方法は異なります。
ここでは人材紹介において、どのような料金体系や人材紹介のプロセスがあるのかを詳しく確認しておきましょう。
人材紹介会社の仕組みと特徴人材紹介会社を選ぶ際、提供するサービスの種類や実績の比較が重要です。
人材紹介会社が人材を紹介する流れは「一般紹介・登録型」と「サーチ型」の2種類に大きく分かれます。
一般紹介型や登録型のサービスは、広範な人材を迅速に紹介できるのが特徴です。
サーチ型サービスは特定のスキルや経験を持つ人材をターゲットにしているのが特徴となっています。
以下でより詳しくそれぞれのサービスの特徴を確認していきましょう。
一般紹介・登録型
企業が希望する条件に合った登録済みの人材を紹介する形式です。
一般的な求人募集とは異なり、すでに登録済みの人材から応募者を集める方法であり、コストが比較的低いのが特徴です。
幅広い候補者から適合する人材を見つけたい企業に向いています。
サーチ型
特定のスキルや経験を持つ人材を積極的に探し出す形式です。
ヘッドハンティングとも呼ばれ、高度な専門性を有する人材や、経営幹部などのポジションに最適な人材をターゲットにしています。
通常は費用が高くなりますが、特定のニーズに対する優れた候補者を確保するために利用されます。
料金体系と相場
次に料金体系と相場について確認しましょう。
手数料体系や返還金制度を確認しておくことで、コストパフォーマンスを最大化し無駄な支出を避けられます。
人材紹介会社は多くの場合、成功報酬のシステムを採用しています。
成功報酬には「届出手数料」と「上限制手数料」という2つのパターンがあります。
届出制手数料
多くの人材紹介サービスで採用されているのが、届出制手数料です。
届出制手数料では理論年収(12ヶ月分の給与+交通費以外の全ての手当を含む金額)に、設定された料率をかけた金額が手数料として算出されます。
料率は50%が上限となっており、35%程度に設定している会社が多いです。
上限制手数料
上限制手数料は紹介した人材の6ヶ月の賃金の10.5%以下(税事業者は10.2%以下)」の金額が手数料に設定されます。
届出制手数料に比べて費用が抑えられますが、上限手数料を採用している会社はあまり多くありません。
返還金制度
返還金制度とは、企業が採用した外国人人材が早期退職した場合に、紹介手数料の一部または全額が返還される制度です。
返還規定は会社によって異なり、例えば「入社後3ヶ月以内に退職した場合に返還される」といった条件が設けられています。
雇用する人材の国籍や在留資格
企業によって雇用したい人材の国籍や応募する職種は大きく異なります。
人材紹介各社も得意とする紹介先の職種や、扱う人材の在留資格などに違いがあるので注意しましょう。
人材や在留資格の特性について以下では、3つの確認しておきたいポイントを紹介していきます。
国籍や業種
人材会社ではそれぞれ、得意な紹介先の業態や提携関係の強い国が異なります。
紹介会社が得意な紹介先の業態と、応募企業の業態が異なる場合には、募集が集まりづらくなってしまう可能性が高いです。
また雇入れしたい人材の国籍の希望がある場合には、その国との関係性の強い紹介会社を選ぶようにしましょう。
在留資格の違い
紹介会社が扱う人材の在留資格の違いにも注意が必要です。
日本で就労できる在留資格にもいくつかの種類があり、それぞれ在留可能期間や雇用条件が異なります。
例えば「特定技能人材」と「技能実習生」では就労可能期間や、在留資格を取得できる条件が大きく異なります。
また特定技能人材の中でも1号と2号で就労可能な業態や、在留可能期間に違いがあるので、必要な人材イメージと在留資格の整合性が取れているのかの確認も必須です。
雇用形態
特定技能人材などは基本的に正社員としての雇用が必要です。
しかし農業分野と漁業分野では派遣雇用が例外的に認められています。
このように先述した在留資格や雇用先の業態によって、雇うべき人材の条件も異なるため雇用したい形態に合わせた人材探しをしましょう。
外国人人材を雇用する際の注意点
外国人人材紹介サービスを利用する際に注意しておきたい内容には下記のような点挙げられます。
- 実際に就労するまでには期間がかかる
- 過去の紹介でトラブルが発生していないか
- 欲しい人材像のすり合わせが必要
以下ではそれぞれの点を詳しく確認していきましょう。
実際に就労するまでの期間がかかる
外国人人材は面接で採用が決定してから、実際に就労できるようになるまで約2カ月の時間を要する場合がほとんどです。
ビザ申請のために必要な書類の用意や、審査期間が必要になることが原因です。
そのため実際に就労を希望する時期から逆算して、募集や選考を進めて行くようにしましょう。
過去の紹介でトラブルが発生していないか
外国人人材の採用で発生しやすいトラブルには下記のようなものがあります。
- 在留資格の期限切れ
- 日本語能力が想像以上に低い
- 求職者に仕事内容がしっかりと伝わっていない
このようなトラブルを避けるために、人材紹介会社に人材紹介会社や法手続きを委託しているにも関わらず上記のような問題が発生してしまうケースもあります。
そのため委託する紹介会社の実績を確認し、過去にトラブルが発生していないかを確認しておきましょう。
採用したい人材像のすり合わせが必要
人材と職場との相性を面接だけで完璧に把握するのは困難です。
そのため紹介会社に人材を選定してもらう時点で、企業に必要な人材のイメージに合うよう選定してもらうことが重要になります。
そのため事前にどんな人材が欲しいのか、明確なイメージを紹介会社とすり合わせしておく必要があります。
この点をおろそかにしてしまうと、採用した後のトラブルにも繋がりやすいです。
外国人採用の人材紹介会社8社の特徴
ここからは外国人採用に力を入れている人材紹介会社8社の特徴を解説します。
それぞれの会社は異なる強みとサービスを持っているため、企業のニーズに応じた最適な人材紹介会社を選びましょう。
人材紹介会社ごとの特徴を理解し、自社に合ったサービスを見つけるための参考にしてください。
人材カフェ
人材カフェは、外国人雇用に関する資料の無料配布から広大なネットワークを使った人材発掘まで行う外国人人材紹介サービスです。
人材カフェで紹介している人材は、特に長期間働くことのできる特定技能人材の紹介に強いのが特徴的です。
言語教育だけにとどまらず、求職者には日本語能力試験(JLPT)対策や文化適応支援を提供しているため質の高い外国人人材を紹介できます。
アフターサポート体制も充実しており、全国にいる現地の支援員にいるサポートや外国人人材同士の交流が持てる場などを用意して、離職率を減らすためのさまざまなサービスが提供されています。
主な派遣先業種 | 農業、食品加工業、介護、工業・建設業者 |
雇用形態 | 正社員 |
国籍 | フィリピン、ベトナム、インドネシア、ミャンマー、ネパール、カンボジア |
サービス内容 | 人材紹介、ビザの手配や住民票移動などのサポート、日本語学習 |
HP | https://jinzaicafe.com/ |
Bridgers
Bridgersは、外国人人材の採用から就労ビザの取得、入社後の支援までを包括的にサポートしています。
エンジニアやデザイナーなどIT技術者の分野で多くの実績があるのが特徴の会社です。
求職者に専任のアドバイザーがつくなど、きめ細かい対応により、企業との高いマッチングを実現しています。
特定技能や在留資格の取得支援も充実しており、多くの企業から支持を得ています。
「大卒・短大卒以上」かつ、「日本語能力試験2級以上(N1、N2)」といった厳しい条件を設定しているのも特徴です。
主な派遣先業種 | 専門職、IT・エンジニア、企画・マーケティング、製造・物流業、 サービス業など |
雇用形態 | 正社員(新卒・中途)、派遣 |
国籍 | 台湾、韓国、ベトナム、香港、中国、インド、インドネシア他 |
サービス内容 | 無料面接会の企画、現地への渡航から面接会運営のサポート 内定後のアフターフォロー |
ゴーウェル
ゴーウェルは、主にアジア地域からの外国人人材を専門に取り扱っています。
特に介護や製造業などの業界において、高度なスキルと経験を持つ外国人人材を紹介に強みがあります。
自社で日本語学校を保有しており、学生の紹介も行っているので正社員からアルバイトまで企業の希望にマッチした人材の紹介が可能です。
留学生の人材の登録が豊富で、外国人向け採用カフェ「GOWELL TOWN銀座」での面接会開催などもサポート。
主な派遣先業種 | 業種や規模問わず豊富 |
雇用形態 | 正社員(新卒・中途)、派遣など |
国籍 | ベトナム、タイ、インドネシア、ネパール、中国、フィリピン |
サービス内容 | 要望に合わせた限定面接会開催、GOWELL TOWN銀座での採用イベントの開催 事前の面接代行 |
グローバルパワー
グローバルパワーは、グローバルな事業展開を目指す企業向けに、ITエンジニアや翻訳事務などを担う外国人高度人材の紹介や人材派遣を行っています。
紹介する人材は「日本在住」「社会人経験あり」「日本語ビジネスレベル」の高度人材を含む約4万人の豊富なデータベースから選別。
欧米圏からの転職者の採用にも力を入れており、マーケティングや企画営業などの業種にも人材紹介可能なのが特徴です。
20年以上の高度人材紹介で培ったノウハウを活かし、外国人人材のマネジメントや異文化コミュニケーションに関する研修も請け負っています。
主な派遣先業種 | 営業・事務系、ITエンジニア |
雇用形態 | 正社員、派遣など |
国籍 | 152カ国の人材 |
サービス内容 | 転職・情報サイトNINJAへの掲載、高度外国人人材の紹介 派遣外国人雇用やマネジメントの研修 |
翼インターナショナル ACE
翼インターナショナル ACEは、設立から20年にわたり外国人採用サポートに携わってきた紹介会社です。
外国人人材におけるさまざまなコンサルティングの経験が豊富なコンサルタントが、各企業のニーズをくみ取りながら人材紹介してくれます。
全世界137ヶ国で6万人以上のグローバル人材を抱えており、特にITやマーケティング分野の高度人材が非常に豊富です。
登録者の多くが国内在住人材であるため、スピーディーな対応が期待できます。
主な派遣先業種 | ITエンジニア、建築エンジニア、営業・事務系 |
雇用形態 | 正社員(新卒・中途) |
国籍 | 137ヶ国以上(ほとんどが国内在住) |
サービス内容 | 外国人採用専門のコンサルティング、6万人以上の高度人材の中から人材を紹介 |
ウィルオブ・ワーク
ウィルオブ・ワークは特定技能外国人登録支援機関としても認定され、登録者は3万人を超えています。
外国人人材以外にも介護士や保育士など、幅広い職種に向けて人材紹介を行える環境がある会社です。
ベトナムやミャンマー、インドネシアといった地域を中心に多くの大学と提携し人材発掘をしています。
自社で運営している外国人雇用メディア「JapanWork」や、SNSを活用した採用サポート体制も充実しています。
主な派遣先業種 | 製造業、物流業介護、サービス業 など |
雇用形態 | 正社員、派遣、アルバイト |
国籍 | ベトナム・ミャンマー・インドネシアなど、海外の大学とも連携 |
サービス内容 | 自社メディアやSNSを駆使した集客、在留資格申請 来日後の住居や携帯電話の契約のサポート |
グローアップ
グローアップは求職者の適性を見極めて、最適な業界への人材紹介を目指している会社です。
特に外食業やサービス業に多くの人材を紹介しているのが特徴です。
WEB上での求人数は非常に少なく、海外の大学などと提携など、独自のネットワークを駆使して登録者を増やしています。
求職者にしっかりと企業のPRをしてくれるので、新卒採用を考えている企業からも支持されています。
主な派遣先業種 | 飲食業 |
雇用形態 | 正社員、アルバイト |
国籍 | 非公開 |
サービス内容 | ビジネスマナー研修、マイナンバーや指定銀行口座開設の準備 ビザ適正審査や履歴書記載内容の真偽調査、生活サポート |
YOLO JAPAN
YOLO JAPANは外国人留学生や求職者向けの求人マッチングサービスを提供しています。
求人広告を掲載して応募者を待つスタイルですが、求職者に対して独自の教育や研修を行っているため、高いスキルを持つ人材を見つけることができます。
また就職や就業支援だけでなく、外国人労働者の翻訳や通訳、生活相談も行っており、定住支援の充実したサービスを展開しています。
登録者数も多く、在留資格もさまざまなので、求人情報を多くの外国人人材の目に触れさせることができるのも特徴です。
主な派遣先業種 | 外食業、サービス業、事務系など |
雇用形態 | 正社員、派遣、アルバイト |
国籍 | 226国と地域、国内在住者多数 |
サービス内容 | 外国人求人サイトYOLOJAPANへの掲載、外国人人材向け市場調査 日本語研修や職業、職種に合わせた研修 |
まとめ
この記事で紹介してきたように、外国人人材紹介サービスを利用することで、企業は即戦力となる優秀な人材を確保し、採用コストを抑えることができます。
さらに、多様なバックグラウンドを持つ外国人人材を採用することで、企業の競争力を強化できます。
各人材紹介会社の特徴や料金体系を理解し、企業のニーズに最も合ったサービスを選ぶことが重要です。
他社での外国人採用の成功事例も参考にして、貴社のニーズに合った人材紹介会社を選んでください。
また外国人スタッフと円滑にコミュニケーションを取るための教育や研修の体制を整えることは、長期的な活躍に欠かせません。
教育の取り組みを独自に行っている紹介会社を利用することで、外国人労働者の適応と定着を支援し企業の成長に繋がるでしょう。