特定技能外国人の受け入れと溶接分野における支援:在留資格や人材教育などを解説!

特定技能外国人の受け入れと溶接分野における支援:在留資格や人材教育などを解説!

人材不足を解決する方法として特定技能外国人の受け入れを進める企業は増えています。

特定技能制度はさまざまな分野で活用されており、溶接分野においても活用事例は豊富です。

しかし、制度や分野の中身を正確に理解している事業者は少ないでしょう。

本記事では、溶接分野において特定技能外国人を雇用するために必要な準備や手続き、サポート方法などについて解説します。

溶接分野で特定技能外国人を雇用するための参考にしてください。

目次

特定技能外国人制度とは?

特定技能外国人制度とは?

2018年に在留資格の1つとして特定技能が創設され、2019年から特定技能外国人の受け入れが可能になりました。

従来の技能実習生とは異なる制度です。

日本は少子高齢化の影響により人材不足が深刻化しており、多くの企業において人手不足の解消が大きな課題となっています。

そこで、人材不足の解消が困難な産業において、一定の技能を有する外国人を受け入れるための在留資格として「特定技能1号」と「特定技能2号」が創設されました。

特定技能の対象となる人材不足が深刻な産業分野は以下の16分野です。

  • 介護
  • ビルクリーニング
  • 工業製品製造業
  • 建設
  • 造船
  • 舶用工業
  • 自動車整備
  • 航空
  • 宿泊
  • 自動車運送業
  • 鉄道
  • 農業
  • 漁業
  • 飲食料品製造業
  • 外食業
  • 林業
  • 木材産業

介護やビルの清掃、産業機械の製造、建設業など幅広い分野が特定技能の対象とされています。

さまざまな職種において特定技能外国人を雇える可能性があります。

注意点として特定技能1号と特定技能2号では、それぞれ在留期間や日本語能力水準、家族の帯同といった条件に違いがあります。

また、それぞれの産業分野ごとに技能試験が定められており、所定の人材基準を満たした場合にのみ特定技能が認められるのが特徴です。

技能試験に合格することが条件であり、電気や電子など特定の分野について学位を修了することは求められていません。

学歴や経験が要件に含まれていないため、従来の就労ビザでは雇えなかった外国人を雇用できる可能性があるのが特定技能の特徴です。

これから特定技能外国人を活用したい企業は、制度について深く理解した上で準備を進めることが重要になります。

詳しくは下記サイトをご覧ください。

参考:特定技能制度 | 出入国在留管理庁

溶接分野での特定技能外国人の活用方法

溶接分野での特定技能外国人の活用方法

特定技能の制度において指定された産業分野ごとに仕事内容は異なっています。

特定技能外国人に溶接の業務をさせたい場合は、溶接の仕事を含む業務区分について技能要件を満たさなければいけません。

以下では溶接分野で特定技能外国に求められる技能の程度や評価基準、実際に特定技能外国人を受け入れるための課題について詳しく紹介します。

必要な技能と評価基準

在留資格として特定技能を取得するには、各分野・業務についての技能試験と日本語試験を受験して合格しなければいけません。

溶接の業務が含まれる産業分野は、「工業製品製造業」と「造船・舶用工業」の2種類です。

「工業製品製造業」の技能試験は業務区分によって試験区分が分かれており、溶接が含まれるのは機械金属加工区分となっています。

試験は学科と実技が出題され、いずれもCBT方式です。

合否の基準は学科試験が正答率65%以上、実技試験は正答率60%以上となっています。

実技試験では作業工程や材料などについての内容を読んで正しい選択肢を選ぶ形式であり、正確な専門知識を持っていないと合格は難しいです。

「造船・舶用工業」の技能試験では「溶接」という試験区分があり、学科試験と実技試験に合格しなければいけません。

学科試験では、安全衛生一般が10問、溶接に関する知識・技能が10問出題されます。

実技試験では板材への片面突合せ溶接を行い、割れやピットなど欠陥がないことが合格基準です。

正しく器具や工具を扱えるか、就業後に実務で該当する業務を行えるスキルがあるかチェックされます。

ただし、既に溶接技量資格を有する者については実技試験は不要になります。

日本語試験として受験が必要なのは、国際交流基金日本語基礎テスト、あるいは日本語能力試験(N4以上)です。

いずれの試験を受験させるか選択が必要になります。

国際交流基金日本語基礎テストは日本で就労したい外国人の日本語能力を測定することを目的として実施されています。

特定技能制度においては250満点中200点以上を得点しA2レベル以上であると判定されれば特定技能の基準を満たします。

日本語能力試験とは、国際交流基金と日本国際教育支援協会の共催で実施されている日本語試験です。

N1からN5までのレベルがあり、特定技能ではN4以上が求められます。

以上の技能試験と日本語試験で所定の基準を満たしていることが特定技能の人材基準の要件です。

ただし、技能試験や日本語試験の合格によって特定技能の在留資格を取得できると保証されるわけではありません。

在留資格認定の審査では人材基準以外の要素も含めて総合的に判断するからです。

技能試験について詳しくは下記サイトをご覧ください。

参考:
製造分野特定技能評価試験
造船・舶用工業分野特定技能試験

外国人労働者の受け入れにおける課題

言語や文化などの異なる外国人労働者を受け入れる場合は、さまざまな課題が発生しうるため、課題を認識して適切な対策を取ることがポイントになります。

外国人労働者の受け入れにおいて重要な課題を以下にまとめました。

重要な課題
  • 言語や文化の違いによるトラブル
  • 受入れ機関が満たすべき基準が多い
  • 支援計画の作成と支援業務の実施が必要
  • 業務の安全管理

日本とは言語や文化の異なる国から来た外国人労働者は仕事だけではなく普段の生活においても課題が生じやすいです。

スムーズに日本の社会に溶け込めるようにさまざまなサポートをすることが企業に求められます。

外国人労働者の受入れ機関が満たすべき基準は数が多いため、すべての基準を把握し対策を進めなければいけません。

受入れ機関が満たすべき基準として特に重要なものが支援計画の作成や支援の実施です。

受入れ機関が基準や義務を怠ると外国人を受け入れることができなくなり、出入国在留管理庁から指導や改善命令などを受ける可能性があります。

ただし、外国人労働者への支援については登録支援機関に委託することが可能です。

また、溶接分野で外国人労働者を受け入れる場合は、業務の安全管理や対策を特に重視しなければいけません。

溶接の業務は火傷や火災、有害物質のばく露などの危険性があるため、事前の安全教育を行うことが現場での事故を防ぐために重要です。

たとえば、多言語に対応している教育ツールの導入や写真・イラストなどを含んだ安全教育資料の作成、労災防止のための標識の掲示などの対策が考えられます。

外国人労働者を受け入れる際に直面する課題はたくさんあるため、時間をかけて慎重に対策を進めましょう。

特定技能外国人受け入れのための準備と支援

特定技能外国人受け入れのための準備と支援

特定技能外国人を受け入れるには、日本語の指導や技能試験への合格、必要な手続きの準備、サポート体制の構築など準備するべき点はたくさんあります。

特定技能外国人を受け入れるために必要な準備について詳しく解説します。

日本語能力の必要性

特定技能外国人には、日本で問題なく働くために一定レベル以上の日本語能力が要求されます。

具体的には、国際交流基金日本語基礎テストでA2以上、あるいは日本語能力試験でN4以上の日本語能力を有していることが要件です。

国際交流基金日本語基礎テストでA2以上とは、日常的な範囲で情報交換ができて、身の回りの状況について簡単な言葉で説明できるレベルとされています。

日本語能力試験でN4以上とは、基本的な語彙や漢字を用いて文章を読んで理解できる、ゆっくりと話される会話で日常的な話題をほぼ理解できるレベルです。

また、溶接分野で働く場合は、実際に工場などで使われる専門用語について日本語で理解できることも要求されます。

日本語能力試験では各業務に特有の専門用語の理解については試験されないため研修や講習の実施など別途対策が必要です。

日本語能力試験について詳しくは下記サイトをご覧ください。

参考:
日本語能力試験 JLPT
JFT-Basic 国際交流基金日本語基礎テスト

試験と合格の流れ

特定技能外国人が溶接業務に取り組むには、以下のいずれかの試験の合格が必要です。

  • 製造分野特定技能評価試験 機械金属加工区分
  • 造船・舶用工業分野特定技能試験 溶接区分

受験から合格までの流れを以下にまとめました。

  1. 受験申請
  2. 受験料の振込
  3. 試験日時の調整
  4. 受験通知の送付
  5. 試験の実施
  6. 合否判定
  7. 結果証明書の送付

技能試験は学科試験と実技試験によって構成されています。

製造分野特定技能評価試験(機械金属加工区分)は学科・実技試験のいずれもCBT方式で実施され、学科試験は正答率65%以上、実技試験は正答率60%以上で合格です。

造船・舶用工業分野特定技能試験(溶接区分)は、学科試験が〇×式で出題され正答率60%以上が必要になります。

実技試験は実際に溶接を行い、外観試験と曲げ試験で所定の基準を満たさなければいけません。

学科試験は当該分野について基本的な知識をしっかりと身につけていることが求められます。

安全衛生に関する基本的な知識や業務で使用する道具の名称などを日本語で理解しておくことが大切です。

造船・舶用工業分野特定技能試験(溶接区分)では、試験母材に対して実際に溶接を行うことになるため、何度も練習させることが重要になります。

技能試験の合格のために指導体制の構築を行い、適切な指導をすることが大事です。

また、試験対策セミナーなど外部サービスの活用も検討しましょう。

技能試験について詳しくは下記サイトをご覧ください。

参考:
製造分野特定技能評価試験
造船・舶用工業分野特定技能試験

受け入れ企業の準備とサポート

特定技能外国人を受け入れるための手続きの流れは以下の通りです。

  1. 雇用契約の締結
  2. 健康診断の受診
  3. 支援計画の作成
  4. 在留資格変更許可申請
  5. 就労開始

上記は既に日本国内に在留している外国人を受け入れる際の流れです。

海外から来日する外国人を受け入れたい場合は、在留資格認定証明書交付申請が必要になります。

また、上記の手続きで受け入れる外国人は、すでに技能や日本語の試験に合格した者です。

特定技能外国人を受け入れる際に必要な支援計画とは、日常生活や社会生活における支援の実施に関する計画を定めたものを指します。

支援計画に記載しなければいけない項目は以下の通りです。

  • 事前ガイダンス
  • 出入国する際の送迎
  • 住居確保・生活に必要な契約支援
  • 生活オリエンテーション
  • 公的手続等への同行
  • 日本語学習の機会の提供
  • 相談・苦情への対応
  • 日本人との交流促進
  • 転職支援
  • 定期的な面談・行政機関への通報

上記の支援業務を行うためのサポート体制を、受け入れ企業は構築しておく必要があります。

ただし、支援業務の実施を登録支援機関に委託することは可能です。

特定技能外国人の雇用を検討しているならば、必要な準備を調べておき、時間をかけて予定を立てておきましょう。

受け入れ企業がしなければいけない手続きや準備しておくべきサポート体制について、詳しくは下記サイトをご覧ください。

参考:外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組

特定技能外国人の在留資格と更新方法 

特定技能外国人の在留資格と更新方法 

日本国内に在留している外国人が特定技能の在留資格を取得するまでの流れは以下の通りです。

  1. 技能・日本語の試験に合格
  2. 求人に応募して受け入れ企業と雇用契約を締結する
  3. 在留資格変更許可申請を行う
  4. 在留カードの交付

海外から来日する外国人が在留資格を取得したい場合は、在留資格認定証明書交付申請が必要です。

受け入れ企業は在留資格認定証明書を在外公館に提出すると在留カードが交付され、外国人が入国します。

また、特定技能の在留資格は一定期間ごとに更新が必要です。

特定技能1号の場合は1年を超えない範囲内で指定された期間ごとに更新を行います。

特定技能2号の場合は、6ヶ月、1年、3年ごとの更新です。

在留期間を更新するには、住居地を管轄している地方出入国在留管理官署に対して在留期間更新許可申請を行います。

在留期間更新許可申請で提出する書類は以下の通りです。

必要書類
  • 在留期間更新許可申請書
  • 写真
  • 申請人のパスポートと在留カードの提示
  • 日本での活動内容に応じた資料

日本での活動内容に応じた資料は勤務先により書類が異なるため、詳しくは出入国在留管理庁のサイトを確認しましょう。

在留期間更新許可の審査にかかる期間は2週間から1ヶ月のため、余裕を持って手続きを進めることが大切です。

在留カードは受け入れ企業側でコピーを保管しておき、期限を常に把握しておきましょう。

更新手続きを怠ると本人は不法滞在者とみなされ、行政処分の対象になります。

また、不法滞在者を就労した企業側にも罰則があるため、在留期間の更新を忘れないようにしましょう。

また、在留資格の認定申請は費用が無料ですが、更新については4,000円の収入印紙が必要です。

特定技能の在留資格の取得や更新方法について詳しくは下記サイトをご覧ください。

参考:
特定技能外国人を受け入れるまで 外務省
在留期間更新許可申請

溶接業務のマッチングと企業支援 

溶接業務のマッチングと企業支援 

特定技能外国人を雇用するには各企業が直接採用活動を行わなければいけません。

しかし、単に求人を出しただけでは希望する条件に合った特定技能外国人を雇うことは難しいです。

そのため、求人を出す以外にもさまざまな方法を活用することをおすすめします。

溶接業務で日本で働きたい外国人とマッチングするための主な方法を以下にまとめました。

マッチングするための主な方法
  • マッチングイベントへの参加
  • マッチングサービスの活用
  • 各自治体の行うマッチング支援事業の活用

出入国在留管理庁では国内マッチングイベントや海外ジョブフェアを開催しています。

マッチングイベントでは日本での就労を希望する外国人への説明会や質疑応答などを行えます。

現地で開催されるイベントもあるため、多くの外国人へのアピールが可能です。

外国人の採用や登録を支援するマッチングサービスは多くの企業に利用されています。

溶接業務を希望する外国人と効率的にマッチングができるからです。

また、特定技能外国人の雇用に必要な手続きまで支援してくれるサービスもあります。

自治体が独自のマッチング支援業務を実施していることもあるため調べてみましょう。

出入国在留管理庁が主催するイベントに関する情報は下記サイトをご覧ください。

参考:イベント情報 出入国在留管理庁

外国人への日本語教育のお悩みは、日本語カフェが解決します!

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日本語教育に関するお悩みは、お気軽に日本語カフェまでお問い合わせください。

まとめ

まとめ|特定技能外国人の受け入れと溶接分野における支援

本記事では溶接分野で特定技能外国人を受け入れるために必要な手続きや準備、サポートなどについて解説しました。

技能試験は実際に就労して業務に取り組む際に必要な基礎的な知識や技術が問われる試験です。

日本で問題なく働けるだけの日本語力があるかどうか判定するための日本語試験の合格も要求されます。

本記事を参考にし、さらに公式の情報を参照しながら、受け入れ企業として必要な準備を進めましょう。

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この記事を書いた人

三木 雅史(Masafumi Miki) 株式会社E-MAN会長
1973年兵庫県生まれ / フィリピン在住 / 慶応義塾大学法学部法学科卒
・25歳で起業 / デジタルガレージ / 電通の孫請でシステム開発
・web通販事業を手掛ける
・フィリピンに英語留学
・2006年にオンライン英会話を日本で初めて事業化

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