「特定技能」ビザの取得方法と受け入れの手順を解説 2025 1/25 全てのコラム 特定技能・技能実習 2024年3月24日2025年1月25日 2019年4月に施行された特定技能制度。人材確保のため、特定技能外国人の採用を検討する企業も増えてきています。 そこで本記事では、「特定技能」ビザの取得方法や受け入れの手順を解説します。 必ず加入しなければならない「特定技能協議会」やビザ認定申請に必要な書類にも触れていますので、参考にしてください。 目次特定技能制度とは? 特定技能制度は、「日本の人手不足を解消するために、技能が一定水準に達している外国人労働者を雇用する」ことを目的とした制度です。 「特定技能」ビザを利用して就労している外国人は、「特定技能外国人」と呼ばれます。 特定技能制度の受け入れ対象は、需要が高く、人手不足が深刻化している以下の12分野です。 農業 漁業 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業 飲食料品製造業 航空業 自動車整備業 造船・舶用工業 建設業 ビルクリーニング業 外食・飲食業 宿泊業 介護業 また、特定技能は「特定技能1号」と「特定技能2号」に分かれています。 それぞれの違いは以下で解説しています。 特定技能1号とは? 特定技能1号は、業務に対応するために必要な知識と経験を有している外国人が取得できる就労ビザ・在留資格です。 特定技能1号には、以下のような特徴があります。 在留期間に最長5年間の制限がある 家族帯同(家族と一緒に日本で生活すること)は不可 外国人支援が必要。受け入れ企業側で支援できない場合は、登録支援機関(人材派遣会社や監理団体、行政書士・社労士の事務所など)に支援を委託しなければならない 日本語能力を測定する試験に合格しなければならない 介護分野での受け入れが可能 「特定技能1号」ビザを取得するには? ここでは、「特定技能1号」ビザを取得する方法について解説しています。 日本語能力を測定する試験に合格する 「日本語能力試験(JLPT)」か「国際交流基金日本語テスト(JFT)」の2種類の試験のうち、どちらかに合格する必要があります。 以下にそれぞれの試験の概要を記載しています。 日本語能力試験(JLPT) 公益財団法人日本国際教育支援教会と独立行政法人国際交流基金が実施している、日本語を母語としない人の日本語能力を測定する試験です。 試験のレベルはN5からN1までの5段階で、特定技能1号を取得するにはN4以上に合格する必要があります。 N4では、以下のようなことが求められます。 基本的な日本語を理解することができる 基本的な語彙や漢字を使って書かれた日常生活の中でも身近な話題の文章を、読んで理解することができる 日常的な場面で、ややゆっくりと話される会話であれば、内容がほぼ理解できる 詳しくは下記サイトをご覧ください。 日本語能力試験 JLPT 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT) 国際交流基金が実施している、主として就労のために来日する外国人が遭遇する生活場面でのコミュニケーションに必要な日本語能力を測定する試験です。 試験のレベルはA1からC2までの6段階で、特定技能1号を取得するにはA2以上に合格する必要があります。 A2では、以下のようなことが求められます。 ごく基本的な個人的情報や家族情報、買い物、近所、仕事など、直接的関係がある領域に関する、よく使われる文や表現が理解できる 簡単で日常的な範囲なら、身近で日常の事柄についての情報交換に応ずることができる 自分の背景や身の回りの状況や、直接的な必要性のある領域の事柄を簡単な言葉で説明できる 詳しくは下記サイトをご覧ください。 JFT-Basic 国際交流基金日本語基礎テスト (jpf.go.jp) 特定技能評価試験に合格する 「特定技能評価試験」は、特定技能受け入れ対象分野の業務に従事する能力を測定する試験です。 特定技能1号を取得するには、日本語に関する試験だけでなく、技能試験にも合格する必要があります。 試験は特定産業分野ごとに実施され、受験資格や試験日程も分野ごとに異なりますので、しっかりと確認しておきましょう。 技能実習生から移行する 以下の条件を満たしていれば、技能実習生から特定技能1号に移行することができます。 技能実習2号を2年10か月以上、良好に修了していること 同職種の分野であること 技能実習生から特定技能1号に移行した場合、特定技能1号の取得に必要な「特定技能評価試験」と「日本語能力試験」の合格は免除されます。 特定技能2号とは? 特定技能2号は、特定産業分野において、熟練した技能(業務に関する指導などができる)を有している外国人が取得できる就労ビザ・在留資格です。 特定技能2号には、以下のような特徴があります。 手続きをすれば日本に永住でき、実質在留期間の制限がない 配偶者と子に限られるが、要件を満たせば家族帯同が可能 自社や登録支援機関での外国人支援が不要 基本的に日本語能力を測定する試験を受ける必要はない(漁業分野は例外) 介護分野での受け入れは不可 「特定技能2号」ビザを取得するには? 特定技能2号の取得には、全ての分野で実務経験と2号評価試験の合格が必要です。 実務経験について、詳しくは下記サイトをご覧ください。 特定技能制度 | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp) 2号評価試験も1号評価試験と同じように特定産業分野ごとに実施され、受験資格や試験日程も分野ごとに異なります。 特定技能外国人を受け入れる条件は? 特定技能外国人を受け入れる「特定技能所属機関」に認定されるためには、最低でも以下の3つの要件を満たしている必要があります。 法令等を遵守しており、受け入れに問題がない 特定技能外国人と結ぶ雇用契約が適切 特定技能外国人の支援が可能 詳しくは下記の資料をご覧ください。 「特定技能外国人受入れに関する運用要領」法務省 また、特定技能協議会に加入する必要もあります。 ここでは、それぞれの要件についてまとめています。 法令を遵守しており、受け入れに問題がない 当然ながら、法令を遵守しており、健全な企業でなければ特定技能外国人を受け入れることはできません。 また、以下のような独自条件を満たしている必要もあります。 1年以内に非自発的離職者を発生させていない 1年以内に外国人の行方不明者を発生させていない 5年以内に入管法・労働法令等に違反していない 5年以内に技能実習を取り消されていない 支援に関わる費用を負担させないこと 特定技能外国人と結ぶ雇用契約が適切 労働に関わる法令を遵守していることはもちろん、以下のような独自条件を満たしている必要があります。 相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事させる 特定技能外国人の労働時間は通常の労働者と同等である 特定技能外国人の報酬額は日本人と同等以上である 特定技能外国人が一時帰国を希望した場合は、有給休暇を取得させる 本人が帰国旅費を負担できない場合は補助する 特定技能外国人の支援が可能 特定技能所属機関は、特定技能外国人に対して支援計画を策定し、職業生活上、日常生活上、社会生活上の支援を行うことを義務づけられています。 外国人支援に関する独自条件は以下の通りです。 特定技能外国人が理解できる言語で支援を行う 1号特定技能外国人支援計画を作成している 事前ガイダンスを実施している 出入国時に空港等への送迎をする 特定技能外国人の住居確保に関わる支援を行う 特定技能外国人の入国後、適切な情報提供を行う 特定技能外国人の生活に必要な契約に関する支援を行う 特定技能外国人に日本語学習の機会を提供する 特定技能外国人と日本人との交流を促進する 非自発的離職時、転職支援を行う 過去2年間に中長期在留者等(就労系資格に限る)の受入れ経験等がある ただ、自力で支援体制を整えられない企業であっても、登録支援機関に支援を委託すれば特定技能外国人の雇用は可能です。 特定技能協議会に加入している 特定技能協議会とは、特定技能制度を適切に運用し、特定技能外国人を保護するために設置された機関です。 特定技能協議会は分野ごとに設置されていて、特定技能外国人を受け入れる企業は原則として加入しなければなりません。 特定技能協議会については、以下に簡単にまとめています。 特定技能協議会への加入時期 特定技能協議会へは、特定技能外国人を受け入れてから4ヶ月以内に加入しなければなりません。 4ヶ月の期限を過ぎると、特定技能外国人を受け入れられなくなってしまいます。 特定技能協議会への加入は登録支援機関に委託できるので、不安がある場合は委託しても良いでしょう。 また、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業と建設業は、在留資格申請の前に以下の手続きをする必要があります。 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業:協議会への加入手続き 建設業:建設技能人材機構(JAC)への加入手続き 特定技能協議会への加入にかかる費用 特定技能協議会への加入には、基本的に費用はかかりません。 ただし、建設分野に関しては入会金が必要なので注意しましょう。 特定技能外国人受け入れの手順 特定技能外国人を受け入れる基本的な手順は以下の通りです。 人材紹介会社などを利用して特定技能外国人を募集する 企業と特定技能外国人が特定技能雇用契約を結ぶ 支援を委託する場合、登録支援機関と支援委託契約を結ぶ 特定技能支援計画を策定する 入管当局へ在留資格の認定または変更の申請をする 入管当局で審査 審査後、雇用・支援を開始する 特定技能外国人を受け入れるまでの流れについて、詳しくはこちらをご覧ください。 特定技能外国人を受け入れるまで | 在留資格 特定技能 | 外務省 (mofa.go.jp) 「特定技能」ビザ認定申請に必要な書類 「特定技能1号」ビザ認定申請には、以下の書類が必要です。 特定技能外国人側の書類 在留資格審査に関する書類 「特定技能1号」に係る提出書類一覧表(在留資格認定証明書交付申請用) 在留資格認定証明書交付申請書 雇用契約に関する書類 特定技能外国人の報酬に関する説明書 特定技能雇用契約書の写し 雇用条件書の写し 雇用の経緯に係る説明書 徴収費用の説明書 特定技能外国人に関する書類 健康診断個人票 受診者の申告書 技能試験合格証明書 日本語試験合格証明書 その他必要な書類 1号特定技能外国人支援計画書 登録支援機関との支援委託契約に関する説明書(登録支援機関に支援を委託している場合のみ) 二国間取決において定められた遵守すべき手続きに係る書類(ベトナムやカンボジアなど特定の国のみ) 企業側の書類 会社に関する書類 特定技能所属機関概要書 登記事項証明書 業務執行に関与する役員の住民票の写し 特定技能所属機関の役員に関する誓約書 財務に関する書類 労働保険料等納付証明書 社会保険料納入状況回答票または健康保険・厚生年金保険料領収書の写し(申請月の前々月までの24ヶ月分) 税務署発行の納税証明書 法人住民税の市町村発行の納税証明書(直近1年分) その他必要な書類 1号特定技能外国人支援計画書 登録支援機関との支援委託契約に関する説明書(登録支援機関に支援を委託している場合のみ) 分野に関する書類(外食業の場合は「保健所長の営業許可証又は届出書の写し」) 申請に必要な書類について、詳しくは下記の資料をご覧ください。 特定技能1号に係る必要書類一覧表出入国在留管理庁 在留資格「特定技能」厚生労働省 特定技能外国人関係申請に当たっての労働保険料等納付証明書の交付について 申請に必要な書類はかなり多いですが、出入国在留管理庁が書類の「参考様式」と「記載例」を提供しています。 ビザに関してはオンライン申請も可能なので、そちらを活用しても良いでしょう。 書類の参考様式やオンライン申請について、詳しくは下記サイトをご覧ください。 在留申請のオンライン手続 | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)在留資格「特定技能」に関する参考様式(新様式) | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp) また、「健康診断の結果が出るまで時間がかかる」などの理由で必要書類が全て揃わないときは、一部の書類だけ提出することもできます。 その場合は「なぜ書類が揃わないのか」「いつ揃うのか」を説明できるようにしておきましょう。 まとめ 本記事では、「特定技能」ビザの取得方法や受け入れの手順を解説してきました。 「特定技能1号」ビザの取得方法は以下の通りです。 「日本語能力を測定する試験」「特定技能評価試験」両方に合格する 技能実習生から移行する 特定技能2号の場合は、実務経験と2号評価試験への合格が必要です。 特定技能外国人を受け入れる条件は以下の通りです。 法令を遵守しており、受け入れに問題がない健全な企業であること 特定技能外国人と結ぶ雇用契約が適切であること 特定技能外国人の支援が可能であること 特定技能協議会に加入していること また、特定技能外国人を受け入れる際は、多くの書類を作成・提出し、煩雑な作業を行わなければなりません。 出入国在留管理庁が提供している書類の「参考様式」やオンライン申請を活用したり、登録支援機関のサポートを受けたりして、時間に余裕を持って受け入れ準備を進めていきましょう。 全てのコラム 特定技能・技能実習 よかったらシェアしてね! 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