特定技能の随時届出とは?届出が必要な事例や提出方法を詳しく解説

特定技能の随時届出とは?届出が必要な事例や提出方法を詳しく解説

特定技能外国人を受け入れている企業は、雇用契約や支援計画に変更が生じた際、適切に「随時届出」を行うことが義務付けられています。

随時届出とは、特定技能外国人の雇用状況や支援体制に関する変更が発生した際に、出入国在留管理庁へ報告する手続きのことです。

適切な届出を行うことで雇用の透明性を確保し、制度の健全な運営を維持できます。

本記事では、随時届出の対象となるケースや提出方法、必要書類、注意点について詳しく解説します。

特定技能外国人を受け入れている企業の担当者は、届出のルールをしっかり理解し、適切に対応できるようにしましょう。

目次

特定技能の随時届出とは?

特定技能の随時届出とは?

特定技能の随時届出とは、特定技能外国人の雇用や支援に関する重要な変更があった際に、出入国在留管理庁へ報告する手続きのことです。

特定技能外国人の雇用契約や支援計画に変更が生じた場合、適切に届出を行うことで、雇用の透明性を確保し、制度の健全な運営を維持できます。

特定技能における届出は定期届出・随時届出の2種類

特定技能に関する届出には、大きく分けて定期届出と随時届出の2種類があります。

  • 定期届出(四半期ごとに出入国管理局に提出)
    • 特定技能外国人の受入れ状況
    • 就労・活動状況
    • 支援実施状況
  • 随時届出(変更があった場合に出入国管理局に都度提出)
    • 雇用条件の変更
    • 退職や雇用契約の終了
    • 新たな雇用契約の締結
    • 就労が困難になった場合
    • 支援計画の変更

定期届出は、四半期ごとに決められた期間内に提出する必要があります。

一方で、随時届出は変更が発生した際に14日以内に届け出なければなりません。

随時届出の対象となるケース

随時届出の対象となるケース

随時届出が必要となるのは、特定技能外国人の雇用状況や支援計画に変更があった場合、または登録支援機関の情報が変更された場合です。

これに係る変更が発生した際は、出入国在留管理庁へ速やかに報告することが求められます。

ここでは、具体的なケースごとに解説していきます。

特定技能外国人に関する変更

特定技能外国人の雇用契約や就労環境に変更が生じた場合は、受け入れ企業(特定技能所属機関)が随時届出を行わなければなりません。

雇用契約の変更(労働条件の変更、報酬の改定など)

特定技能外国人の給与額や勤務時間、職務内容などが変更された場合は届出が必要です。

例えば、以下のようなケースが該当します。

  • 基本給の増減や賞与の有無が変わった
  • 労働時間の短縮や延長
  • 担当業務の変更
  • 就業場所の変更

雇用条件の変更は特定技能外国人の生活に直結するため、適切な届出が求められます。

特定技能外国人の退職・雇用契約の終了

特定技能外国人が自己都合で退職する場合や、契約期間満了により雇用契約が終了する場合も届出が必要です。

  • 自己都合退職:特定技能外国人が自主的に退職する場合
  • 契約満了:契約期間が終了した場合
  • 会社都合退職:経営不振などにより雇用の継続が困難になった場合

新たな雇用契約の締結

特定技能外国人が雇用契約を終了した後、在留期限内に同じ企業と再び雇用契約を結んだ場合、届出が必要となります。

例えば、退職した特定技能外国人が再び同じ受け入れ企業に就職するケースや、一時的に退職し、その後再雇用を希望したケースなどが該当します。

支援計画の変更

特定技能外国人に対する支援のサポート内容が変更された場合にも、随時届出が必要です。

例えば、次のようなケースが考えられます。

  • 生活オリエンテーションの方法を変更
  • 相談対応の体制変更
  • 定期面談の頻度を変更

外国人の受け入れが困難

特定技能外国人の受け入れが難しくなった場合も、速やかに届出を行う必要があります。

出入国在留管理庁ではこの状況を「受け入れ困難」と定義していますが、実際には企業の経営上の事由によるリストラや、外国人本人の希望による退職等が該当します。

受け入れ困難となる主な理由
  • 業績悪化による人員整理など経営上の問題
  • 外国人の死亡や重傷を伴うケガ
  • 外国人の帰国や行方不明
  • 外国人の個人的な事情による自己都合退職

通常、受け入れ困難となった場合は、「受け入れ困難に関する届出」を先に行い、その後「特定技能雇用契約の終了に関する届出」を提出する必要があります。

ただし、やむを得ず受け入れ困難の届出が間に合わなかった場合は、特定技能雇用契約の終了に関する届出とあわせて提出することも可能です。

不正行為が発生した場合

受け入れ企業や関係者による不正行為が発覚した場合も、速やかに出入国在留管理庁へ報告する必要があります。

不正行為には、以下のようなケースが該当します。

不正行為の具体例
  • 外国人への暴行・脅迫・監禁
  • 差別的な扱いやハラスメントなど人権を著しく侵害する行為
  • 特定技能に関する届出の不履行・虚偽の届出
  • 外国人のパスポートや在留カードの不当な取り上げ
  • 契約書の改ざんなど虚偽文書の作成
  • 入管の調査要請に応じない、報告義務を怠る
  • 外国人への給与未払い
  • 外国人の私生活を不当に制限
  • 出入国管理法や労働関連法令に関する違反行為

受け入れ企業、登録支援機関、または特定技能外国人が法令違反を行った場合、その影響は大きく、企業の信用失墜や行政処分につながる可能性があります。

万が一、上記のような不正行為が発生した場合は、速やかに出入国在留管理庁へ報告し、適切な対応を取ることが重要です。

登録支援機関に関する変更

支援委託機関に変更があった場合も、適切に届出を行う必要があります。

新しい支援機関と契約を結んだ場合

特定技能外国人を受け入れている企業が、新たな登録支援機関と契約を結んだ際には、届出が必要です。

支援委託契約の内容が変更された場合

支援委託契約の期間や管理費など、契約内容に変更があった場合も、届出を行う必要があります。

例えば、支援の提供期間を延長したり、支援費用を見直したりした場合が該当します。

支援委託契約を終了した、または自社支援を開始した場合

現在の登録支援機関との契約を終了した場合、受け入れ企業は速やかに届出を行う必要があります。

また、外部の登録支援機関に委託せず、自社で特定技能外国人の支援を開始する場合も同様に届出が求められます。

随時届出の提出期限と注意点

随時届出の提出期限と注意点

ここでは、提出期限のルールと、注意すべきポイントについて解説します。

提出期限のルール

随時届出には、原則として以下の提出期限が定められています。

変更が生じた日から14日以内に提出

特定技能外国人の雇用契約の変更や退職、登録支援機関の名称・住所変更など、随時届出の対象となる変更が発生した場合は、変更が確定した日から14日以内に届出を行わなければなりません

例えば、特定技能外国人が退職した場合、その退職日が変更確定日となります。そのため、退職日から14日以内に届出をしなければなりません。

同様に、労働条件や支援計画が変更された場合も、変更確定日から14日以内の提出が求められます。

支援業務の再開のみ、再開予定日の1カ月前までに提出

支援業務を一時的に休止していた登録支援機関が再開する場合のみ、再開予定日の1カ月前までに届出を行う必要があります。

これは、支援業務が適切に再開できるかどうかを事前に審査するための期間を確保するためです。

他の変更とは異なり事前の準備が必要となるため、余裕をもって手続きを進めることが重要です。

提出期限についての注意点

随時届出を適切に行うためには、いくつかの重要な注意点があります。以下の点に留意し、期限内の適切な手続きを心がけましょう。

未来の日付での届出は不可

変更が確定する前に、未来の日付で届出を提出することは認められていません。

例えば、「来月から給与を変更する予定だから、今のうちに届出を出しておこう」といった対応はできません。

必ず、変更が正式に決定した後に届出を行う必要があります。

事前の届出が認められていないため、変更のスケジュールを把握し、適切なタイミングで提出することが求められます。

郵送提出の場合、入管に到着する日が期限内でなければならない

随時届出は、郵送または窓口持参、オンラインのいずれかの方法で提出できますが、郵送で提出する場合は、消印日ではなく、届出書が入管に到着した日が提出日として扱われます

例えば、変更が確定した日から14日目に郵便局で発送しても、入管に届いたのが15日目であれば、期限切れと判断される可能性があります。

そのため、郵送での提出を予定している場合は、余裕をもって早めに発送することが重要です。

提出の遅れによるペナルティ

随時届出の提出が遅れた場合、以下のようなリスクがあります。

特定技能外国人のビザ更新に影響
  • 在留資格の更新時に、雇用契約や支援体制の変更が適切に報告されていないと、更新手続きがスムーズに進まない可能性があります。
  • 重大な違反が発覚した場合、在留資格の更新が認められないことも考えられます。
企業の信用低下
  • 随時届出を怠った企業は、入管から「適正な管理を行っていない」と判断される可能性があります。
  • 特定技能外国人を今後受け入れる際の審査が厳しくなることもあり、長期的に見ても不利益を被る可能性があります。
罰則の適用
  • 重大な違反と判断された場合、特定技能外国人の受け入れ資格の取消や、登録支援機関としての認定の取消といった処分を受ける可能性があります。
  • 企業の法令違反として公表されるリスクもあるため、慎重な対応が求められます。

随時届出の提出期限は厳格に定められており、期限内に確実に届出を行うことが特定技能外国人の安定した就労につながります。

企業や登録支援機関が適切な手続きを怠ると、外国人労働者のビザ更新が難しくなるだけでなく、企業の信頼にも影響を与えます。

変更が生じた場合は、迅速に状況を把握し、必要な書類を準備したうえで、14日以内の提出を徹底しましょう。

特に郵送の場合は余裕をもって手続きを進め、支援業務の再開時は1カ月前の届出を忘れないよう注意することが大切です。

随時届出の提出方法

随時届出の提出方法

随時届出の提出方法には、窓口持参・郵送・電子届出(オンライン提出)の3つの方法があります。

どの方法を選ぶ場合でも、必要な書類を正しく準備し、期限内に提出することが重要です。

ここでは、それぞれの提出方法について詳しく解説します。

窓口に持参

出入国在留管理庁の管轄窓口に直接出向き、書類を提出する方法です。

提出時に不備があった場合、その場で確認・修正できるメリットがあります。

特定技能所属機関の役職員が届出書の作成者として窓口に持参する場合は、本人確認のために身分証明書の提示が求められます。

一方で、作成者以外の代理人が提出する場合は、以下の書類を提出する必要があります。

  • 届出書作成者の身分証明書の写し
  • 提出者の氏名・連絡先が記載された書類
  • 提出者と特定技能所属機関との関係を証明する文書または資料
  • 委任状

適切な書類を準備し、不備のないように提出しましょう。

郵送で提出

窓口に行く時間が取れない場合は、郵送による提出も可能です。

郵送で提出する際は、封筒の表面に「特定技能届出書在中」と記載します。

郵送で提出する場合は、書類が期限内に到着するよう、早めに発送しましょう。

オンライン提出

オンラインでの届出を希望する場合は、出入国在留管理庁の「電子届出システム」を利用します。

電子届出システムを利用するには、事前に利用者登録を行う必要があります。

どの提出方法を選ぶべき?

随時届出の提出方法には、それぞれメリットとデメリットがあります。

提出方法メリットデメリット
窓口持参その場で不備を修正できる入管まで行く手間がかかる
郵送入管へ行く必要がない期限内に到着しないリスクがある
電子届出24時間対応で利便性が高い事前の利用者登録が必要

急ぎの場合や不備を避けたい場合は窓口持参、手間を省きたい場合は電子届出が便利です。

ただし、電子届出を利用するには事前登録が必要なため、早めに手続きを進めましょう。

地方出入国在留管理局と管轄地域一覧

地方出入国在留管理局と管轄地域一覧

随時届出の提出先は、特定技能所属機関または登録支援機関の所在地を管轄する地方入管となります。

以下に、各地方入管の管轄地域と提出先をまとめました。

地方入管・支局名提出先住所管轄地域
札幌出入国在留管理局〒060-0042 札幌市中央区大通西12丁目 札幌第3合同庁舎北海道
仙台出入国在留管理局〒983-0842 仙台市宮城野区五輪1-3-20 仙台第二法務合同庁舎青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県
東京出入国在留管理局〒108-8255 東京都港区港南5-5-30茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県 、東京都、新潟県、山梨県、長野県
東京出入国在留管理局 横浜支局〒236-0002 神奈川県横浜市金沢区鳥浜町10-7神奈川県
名古屋出入国在留管理局〒455-8601 愛知県名古屋市港区正保町5-18富山県、石川県、福井県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県
大阪出入国在留管理局〒559-0034 大阪府大阪市住之江区南港北一丁目29番53号滋賀県、京都府、大阪府、奈良県、和歌山県
大阪出入国在留管理局 神戸支局〒650-0024 兵庫県神戸市中央区海岸通り29 神戸地方合同庁舎兵庫県
広島出入国在留管理局〒730-0012 広島県広島市中区上八丁堀2-31 広島法務総合庁舎内鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県
高松出入国在留管理局〒760-0011 香川県高松市浜ノ町72-9 高松出入国在留管理局浜ノ町分庁舎徳島県、香川県、愛媛県、高知県
福岡出入国在留管理局〒810-0073 福岡県福岡市中央区舞鶴3-5-25 福岡第1法務総合庁舎福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県
福岡出入国在留管理局 那覇支局〒900-0022 沖縄県那覇市樋川1-15-15 那覇第一地方合同庁舎沖縄県

法人(会社)として随時届出を行う場合、提出先は法人の本店所在地を管轄する地方入管です。

例えば、事業所が複数ある場合でも、本社(登記上の本店)の所在地に基づき管轄の入管を選ぶことになりますので、間違えないように気をつけましょう。

特定技能の随時届出のまとめ

特定技能の随時届出のまとめ

特定技能の随時届出は、雇用契約の変更、退職、新たな雇用契約の締結、支援計画の変更、登録支援機関の情報変更など、重要な事項が発生した際に必ず行わなければなりません。

特に、変更が確定した日から14日以内に届出を提出する必要があり、支援業務の再開に関しては1カ月前までの届出が求められます。

適切な届出を行わない場合、特定技能外国人の在留資格更新に影響を及ぼしたり、企業の信頼を損なったりする可能性があります。

また、重大な違反が認められた場合、受け入れ資格の取消や罰則の対象となることもあるため、慎重に対応することが重要です。

随時届出の提出方法には、窓口持参・郵送・電子届出(オンライン提出)の3つの方法があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。

適切な届出を行うことで、特定技能外国人の安定した就労環境を確保し、企業の適正な運営を支えることができます。

本記事を参考に、随時届出の手続きをスムーズに進めましょう。

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この記事を書いた人

三木 雅史(Masafumi Miki) 株式会社E-MAN会長
1973年兵庫県たつの市生まれ / 慶応義塾大学法学部法学科卒
・25歳で起業 / デジタルガレージ / 電通の孫請でシステム開発
・web通販事業を手掛ける
・2006年にオンライン英会話を日本で初めて事業化
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