「日本で暮らす外国人の生活のプラスになれば」日本語教育に込める思いとは

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効率的に日本語を身につけられるシステムを開発

――アプリ一つで日本語を学べるシステム「日本語カフェ」を開発されました。開発の過程では、どのような苦労がありましたか?

まず、カリキュラムの作成に苦労しました。
「学習効率が一番いいのは、どういうカリキュラムだろう」というところでかなり模索したんです。

他社さんでよくあるのが、日本語の解説動画を見て勉強してもらう、というものです。
そういう動画は簡単に作れて、わりとインパクトもあります。
一方で、「記憶に残らない」「実際に日本語を使えるようにならない」などの課題があるんです。

スポーツの“砲丸投げ”を例にしますと、「たまを押し出す角度は45度で、こんなふうに投げる」ということは動画で説明できます。
ただ動画でそれを繰り返し見れば、投げられるようになるかって言うと、ほぼならないと。
それよりも、「学んだあと、すぐにグラウンドで実際に投げる練習をする」ことが大事になるわけです。

――日本語カフェでは、「たまを投げる」ような学習方法をとり入れたのでしょうか?

そうですね。日本語学習でいうと、それは問題演習に当たると思います。
「千本ノック」みたいに、とにかくたくさんの問題を用意して、「どんどん問題を解いていただくようにしたいな」と考えたんです。

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32人の国語の先生等が2年かけて作った演習問題

――千本ノック、ですか。多くの問題を解くことが大事なんですね。

はい、ただ問題をひとつ作るのは、ものすごく大変な作業なんです。
マルバツ問題であれば簡単ですが、選択問題の形式にして、まぎらわしい選択肢を4つ作ります。
そして、それぞれの問題に対して解説をつけていくので、想像以上に労力がかかります。

そういう困難を乗り越えるために、32人の国語の先生等にご協力いただきました。
それで、2年ほどかけて、その辺りを作り込んでいったんです。

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――過去には、日本人に対してオンライン英会話レッスンをされていました。外国人に向けた教育事業という点で、難しく感じたことはありましたか?

通信環境の問題がありました。
フィリピンなど東南アジアの国々では、自宅にwi-fiがない方が多いんですね。
そのためパソコンは使えても、オンラインで授業をしたり、問題演習をしてもらったりということが難しい状況でした。

ただ、ショッピングモール等には無料のwi-fiがあったりしますので、そこでダウンロードをして家でオフラインで勉強してもらえるように、ソフト面の整備をしていきました。

東南アジアの国の経済事情が壁になった

――かなりの時間と費用をかけて開発された日本語カフェですが、実際に利用してもらうなかで直面した問題はありましたか?

授業料をいただくっていう部分が、非常に困難でした。
たとえば、「お一人、月1000円くらいで勉強できます」というと、日本では非常に安い金額だなと思いますよね。
でも、フィリピンやインドネシアなどの方が、その金額を支払われるのは厳しい現状があるんです。

その問題に対しては、外国人の受け入れをされた日本の会社様や、外国人材の紹介会社様から法人向けの利用料をいただく流れを作ったことで解消してきました。

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――法人のお客様が多いのでしょうか?

そうですね。これまで法人のお客様を中心に事業を進めてきました。
そして、ある程度のご評価もいただいて、お客様の数も順調に推移してきています。

今後は、海外にいる個人の方を直接ユーザーとして迎えていきたいと思っています。
そのためには、マーケティングや広告等を各国ごとに行う必要がありますし、授業料のお支払い方法をどうするか、ということも検討しないといけません。その辺りは次の課題ですね。

日本に住み続けたいと外国人が思えるように

――最後に、これから力を入れていきたいことをお聞かせください。

語学教育は公益的な側面が強いと思っていますので、今後は社会貢献活動にも力を入れていきたいですね。
その一環として、日本語ボランティアの方が、地域の外国人に教えるような取り組みをされている地方公共団体さんに対して、ある程度無償で何かご提供していきたいなと考えています。

いろいろな理由で日本に住み始めたものの、日本語を学ぶきっかけがなくて、苦労している外国人の方が多いという話をよく聞きます。
そんな外国人のお役に立てるように、日本語学習をサポートする仕組みを作っていきたいですね。

――それは日本語カフェのシステムを使って、ということになりますか?

そうですね。現在、いくつかの県長さん等とその話を進めています。
当社の日本語講師がZoomなどでレッスンを行いますので、日本語カフェを使って復習したり、演習問題に取り組んでもらったりして身につけていただければと思っています。

外国人の方は、「日本語は難しい」という抵抗感をお持ちかもしれませんが、アプリ一つで手軽に勉強を進められます。
日本語を使えるようになって、日本人の友達を作ったり、給料のより高い仕事についたり。
そんなふうに生活のプラスになるお手伝いをしていきたい、と考えています。

そして外国人の方に、「日本にずっと住み続けたいな」と思ってもらえるようになれば、うれしいですね。

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この記事を書いた人

三木 雅史(Masafumi Miki) 株式会社E-MAN会長
1973年兵庫県たつの市生まれ / 慶応義塾大学法学部法学科卒
・25歳で起業 / デジタルガレージ / 電通の孫請でシステム開発
・web通販事業を手掛ける
・2006年にオンライン英会話を日本で初めて事業化
・2019年外国人の日本語教育を簡単、安価にするため
 日本語eラーニングシステムを開発、1万人超の外国人が日々学習中

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