送り出し機関の手数料はどれくらい?技能実習生と特定技能雇用のための送り出し機関ガイド

送り出し機関の手数料はどれくらい?技能実習生と特定技能雇用のための送り出し機関ガイド

「送り出し機関の手数料や手続きについて詳しく知りたい」
「送り出し機関を使いたいけど注意点や選定方法がわからない…」

このような疑問や不安をお持ちの方へ、本記事が明確なガイドとなります。

この記事で分かること
  • 技能実習生の受け入れにかかる具体的な費用とその内訳
  • 特定技能雇用の手続きとそれに必要な費用詳細(ベトナム人雇用を例に)
  • 送り出し機関を選ぶ際の重要なチェックポイントと認定要件

本記事は、専門家の調査に基づく信頼できる情報を提供します。

記事を読むことで、技能実習生や特定技能労働者の雇用に関わる手数料や送り出し機関選定時の大事なポイントについての理解を深め、より効果的な選択が可能になるでしょう。

目次

送り出し機関の基本情報

送り出し機関の基本情報

まずは技能実習と特定技能の制度の違いと送り出し機関の役割について解説します。

技能実習制度と特定技能制度の違い

技能実習制度は、海外の発展途上国の労働者に日本の技術、技能、知識を習得させ、母国で経済発展に活かしてもらうことを目的として、1993年に導入されました。

参加者は最大5年間、建設、農業、製造業など様々な日本企業で技術を学びますが、受け入れが出来る業務は91職種167作業(2024.10現在)と規定されており、基本的に職を変えることは出来ません。

そして技能実習生は必ず送り出し機関を利用しなければいけないという特徴があります。

一方、特定技能制度は、日本の深刻な労働力不足を解消するべく、2019年に導入されました。

この制度は、建設、介護、食品製造、農業、漁業など、特定の12分野(14の業種)で即戦力となる外国人労働者を受け入れることを目的としており、労働者は同一職種内であれば自由に職を変えることが可能です。

そして特定技能労働者は、基本的に送り出し機関を通す必要はありませんが、送り出し国によっては送り出し機関の利用を義務化している場合もあるため注意が必要です。

ベトナムなどがこれにあたります。

項目技能実習制度特定技能制度
目的発展途上国への技能伝承による国際貢献日本の労働不足解消
業務種91職種167作業12分野(14業種)
転職可否基本的には不可同一職種であれば可能
送り出し機関の活用義務無 ※国によっては有

送り出し機関の役割とは

送り出し機関は、技能実習制度において重要な役割を担っており、外国人労働者が日本で生活をスタートする際の様々な手助けを行います。

具体的には、ビザ申請の支援、住居の手配、言語教育、就職活動のサポートなどです。

また、これら必須となる生活補助だけでなく、文化の違いや生活習慣の違いに対するアドバイスも行い、労働者が日本で快適に暮らし、効果的に働けるよう援助を行います。

特定技能労働者が送り出し機関を利用する際には、より自由度の高い職業選択や職場変更のサポートを提供します。

これにより、労働者は自身のキャリアを積極的に形成していくことが可能です。

さらに、労働者が直面した問題や困難に対して、相談窓口としての役割も果たし、法的解決手段の検討や労働条件に関するトラブル解決にも取り組みます。

技能実習生の受け入れ費用

技能実習生の受け入れ費用

技能実習生を受け入れる際には雇用する会社にも様々な費用が発生します。

受け入れ前後で必要となる費用について順を追って確認していきましょう。

監理団体への入会費

技能実習生を受け入れる企業は、まず監理団体に入会する必要があります。

これに伴い入会費や年会費が発生しますが、この費用は監理団体が提供する管理サービスやサポートに充てられます。

監理団体の役割は、実習生の適切な管理や支援、法令遵守を確保することです。

一般的に、この入会費は1万円〜10万円で、年会費は2万円〜15万円程度となります。

現地への事前訪問費用

実習生を受け入れる前に、企業や監理団体の代表者が実習生の出身国を訪れることがあります。

この訪問は、実習生との面接や、その教育環境の確認、さらには文化的背景の理解を深めることを目的として行われます。

事前訪問には交通費や宿泊費など、複数の経費が含まれるため、費用は20万円以上になることが一般的です。

一部の監理団体では外国を訪問すること無く、WEB面接により費用を大きくカットしている場合もあるため事前に確認することが大切です。

技能実習生が実習を始めるまでにかかる総費用

実習生が業務を開始するまでの間にも、様々な費用が発生します。

これには、実習生の渡航費、初期住居費、生活必需品の購入費用、健康診断費用、講習費などが含まれます。

これらの初期費用は、総額で15万円~25万円程度となることが多く、これは実習生一人当たりの生活準備費として計算されることが一般的です。

技能実習生を受け入れたあとの継続的な費用

実習生が日本での生活を開始した後も、継続的な費用が発生します。

これには、毎月の生活支援費、健康保険や社会保険の費用、また定期的な研修や教育プログラムへの参加費用などが含まれます。

これらの費用は実習生が安全で健康的な環境で学び、働くために必要なものであり、企業や監理団体によって負担されることが一般的です。

総額で70万円~110万円程度になることが一般的です。

これらの費用は、技能実習制度を利用する企業にとって大きな投資となりますが、この投資により、実習生は日本の技術や知識を学び、自国でのキャリア発展に役立てることができます。

また、企業は必要な技術を持った労働者を確保することができ、日本国内での人手不足の解消に貢献することが期待されます。

項目内容金額目安(円)
監理団体への入会費・年会費監理団体の管理サービスやサポートへの対価入会費1万円~10万円
年会費2万円~15万円
現地への事前訪問費用実習生との面接、教育環境の確認など20万円程度
※WEB面接を除く
技能実習生が実習を始めるまでにかかる総費用渡航費、初期住居費、生活用品購入費など15万円~25万円
技能実習生を受け入れたあとの継続的な費用生活費、健康保険や社会保険費用、教育費など70万円~110万円

特定技能で雇用する手続きと費用(例:ベトナム人雇用)

特定技能で雇用する手続きと費用(例:ベトナム人雇用)

特定技能制度を利用して外国人労働者を雇用する際は、複数の重要な手続きとそれに伴う費用が必要です。

今回はベトナム人を雇用する場合を例に取り上げ、解説します。

登録支援機関への委託費用および送り出し機関への手数料

特定技能の資格を持つベトナム人労働者を雇用する際には、登録支援機関に月額2〜3万円の委託料を支払う必要があります。

この機関は、受け入れ機関から委託され、特定技能の保持者が職場、日常生活、及び社会生活を円滑に進められるように支援します。

また、ベトナム人を特定技能で雇用する際には送り出し機関の利用が必須となり、その利用手数料も発生します。

紹介手数料や日本語講習費等で総額20万円~70万円程度が必要です。 

在留資格認定や入管申請の書類作成費用

特定技能労働者を雇用する場合、在留資格認定証明書の発行が必要です。

これは、外国人が日本で働くための法的な資格を確認する重要な手続きです。

この証明書を取得するためには、専門的な知識を持つ行政書士や弁護士に依頼することが一般的で、そのための費用は一件あたり約5万円から15万円程度が相場です。

書類の作成、申請手続きなどを専門家が実施してくれるため欠かせない費用となります。

出入国在留管理局への収入印紙代

在留資格認定証明書の申請時には、出入国在留管理局に支払う収入印紙代も必要です。

この印紙代は、申請書類の処理に関連する行政費用として徴収されます。

その額は申請内容によって異なりますが、通常は数千円程度です。

この費用は直接的な行政サービスの提供に対する対価として、申請者が負担することになります。

採用するベトナム人に支払う費用

ベトナム人労働者を採用した場合、渡航費や最初の住居設定費用を支援することが一般的であり、彼らの初期費用として20万円ほどが見込まれます。

これらは、労働者が新しい環境で生活を始めるために重要な費用であり、企業がこれをサポートすることで、労働者の安定した就労が期待できます。

そして採用後には給与として20万円~30万円の費用が発生します。

ここで紹介した費用は、企業が国際的な人材を採用する際に必要とされるものであり、これを理解し計画的に準備することが企業の国際化戦略において非常に重要です。

適切な手続きと費用の準備を行うことで、企業は優秀な外国人労働者を効果的に雇用し、彼らの能力を最大限に活用することが可能になります。

項目内容金額目安(円)
登録支援機関への委託費用 送り出し機関への手数料監理団体の管理サービスやサポートへの対価登録支援機関:2万円/月
送り出し機関:20万円~70万円
在留資格認定 入管申請の書類作成費用行政書士への依頼5万円~15万円
出入国在留管理局への収入印紙代申請書類の処理に関連する行政費用数千円
技能実習生を受け入れたあとの継続的な費用航空券、住宅費、健康診断、給与など給与:20万円~30万円/月
その他総額:20万円

送り出し機関の問題点と対処法

送り出し機関の問題点と対処法

スムーズに外国人労働者を採用する上で、送り出し機関を利用することには多くのメリットが存在します。

しかし送り出し機関には一定の問題点も存在し、これらの問題に対処することは、労働者の生活の質と労働環境を改善するために不可欠です。

高額な手数料・費用

送り出し機関ごとに異なりますが、前章にて解説の通り、利用時には20万円~70万円の費用が発生します。

費用には何が含まれているのか、その金額やサポートは適正かをきちんと確認し、出来れば複数の送り出し機関で比較してみるとよいでしょう。

実際に契約した後も、スムーズに手続きが進まないケースもよくあります。

事前にスケジュールなどの確認も必要です。

質の低い日本語教育レベル

送り出し機関によっては質の悪い日本語教育を行っているケースがあります。

そのため十分な日本語能力がないにもかかわらず、実習生が日本での就労を開始しなければならないケースが少なくありません。

労働者が職場でのコミュニケーションや、日常生活での困難な状況に陥らないためにも、送り出し機関を使用する際は教育時間やその内容についてもしっかり確認することが大切です。

悪質な接待、監理団体との癒着

一部の送り出し機関には、悪質な接待や監理団体との不適切な癒着が一定数存在します。

これにより、実習生の利益よりも機関や団体の利益が優先され、労働者の権利が脅かされることがあります。

管理費は徴収する一方、アフターフォローは監理団体へ丸投げ

送り出し機関を利用した際、技能実習生を受け入れた後も「管理費」という名目の費用が発生します。

しかしその内容は機関ごとにバラバラであり、送り出し機関によっては具体的なサポートが伴っていない場合があります。

管理費を受け取る一方で、実際のその先のフォローアップやサポートはほとんど行われず、問題が発生した際には監理団体に責任を押し付けることも少なくありません。

このように送り出し機関によっては複数の問題を抱えている場合があります。

そのため、適切なサポート体制が整い、価格に見合った働きに期待ができる送り出し機関を選ぶことが非常に重要となるのです。

送り出し機関の選び方と認定要件

送り出し機関の選び方と認定要件

前章で解説した通り、適切な送り出し機関を選ぶことは非常に重要です。

ここでは送り出し機関選定時に着目すべき2つのポイントについて解説を行います。

政府認定の送り出し機関か?

政府認定の送り出し機関を選ぶことは、技能実習生や特定技能労働者の適切な管理とサポートを確実にするために外せないステップです。

政府による認定を受けるためには「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律施行規則」の第25条(規則第25条)を満たす必要があります。

すなわち認定を受けた機関は、厳しい基準と規定を満たしており、高い信頼性を持っていることになります。

労働者が遭遇する可能性のある問題に迅速かつ効果的に対処できるよう、適切なリソースと訓練を受けたスタッフを備えており、日本の文化や言語に不慣れな労働者がスムーズに適応できるように、言語教育や文化研修を提供することが一般的です。

なお、外国人技能実習機構による政府認定送り出し機関一覧は下記になります。

外国政府認定送出機関一覧 | 外国人技能実習機構 (otit.go.jp)

日本に駐在事務所があるか?

送り出し機関が日本国内に駐在事務所を持っているかどうかも、重要な選定基準の一つです。

国内に事務所がある機関は、現地で直接的なサポートを提供する能力があり、実習生や労働者が直面する問題に迅速に対応することができます。

これにより、労働者の就労環境が向上し、不安や問題が生じた場合の解決が容易になります。

また、緊急時には迅速な対応が可能であるため、労働者やその家族からの信頼も厚いです。

これらの点を含めて、フィリピンでの人材採用を検討の企業には、数ある送り出し機関の中から求める人材像や職種に合わせて、企業にあった送り出し機関を紹介してくれる「送り出しカフェ」のような紹介会社を利用するととても便利です。

送り出し機関選びにかかる時間や手間を省くことが出来ます。

まとめ:技能実習生と特定技能雇用のための送り出し機関ガイド

まとめ:技能実習生と特定技能雇用のための送り出し機関ガイド

この記事では、技能実習生と特定技能雇用のための送り出し機関の選び方や問題点、それに関連する費用など大きく下記5点について解説しました。

  • 技能実習生と特定技能制度の違い
  • 送り出し機関の役割
  • 受け入れ費用の具体的な内訳
  • 送り出し機関の持つ問題点
  • 送り出し機関の選定方法

技能実習生の出身国は低所得であることが多いため、半数以上の実習生が借金をして来日している状況です。

技能実習生が失踪するなどのニュースも後を絶ちません。

企業が外国からの貴重な労働者を支援し、適正な環境で働けるようにするためには、信頼できる送り出し機関を選ぶことが不可欠です。

このガイドが、適切な選択をする際の参考となれば幸いです。

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この記事を書いた人

三木 雅史(Masafumi Miki) 株式会社E-MAN会長
1973年兵庫県たつの市生まれ / 慶応義塾大学法学部法学科卒
・25歳で起業 / デジタルガレージ / 電通の孫請でシステム開発
・web通販事業を手掛ける
・2006年にオンライン英会話を日本で初めて事業化
・2019年外国人の日本語教育を簡単、安価にするため
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