人手不足が深刻化する日本において、外国人労働者の採用は今や多くの企業にとって重要な経営戦略の一つとなっています。しかし、外国人を雇用する際には、在留資格やビザといった複雑な制度を正しく理解する必要があります。
不適切な雇用は企業にとって法的リスクとなるだけでなく、外国人労働者本人にも深刻な影響を及ぼします。本記事では、外国人労働者の資格について基礎から実務まで分かりやすく解説します。
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ビザと在留資格の関係性

「ビザ」と「在留資格」は混同されがちですが、実際には異なる概念です。両者の違いを正確に理解することで、外国人雇用の手続きがスムーズになります。
ビザとは何か
ビザ(査証)とは、日本への入国を申請するための推薦状のようなものです。外国人が日本に入国する前に、自国の日本大使館や領事館で取得します。ビザは「この人物の入国を推薦します」という外務省の判断を示すものであり、入国を保証するものではありません。
ビザには外交査証、公用査証、就業査証、一般査証などの種類があります。一般的に「就労ビザ」と呼ばれるものは、就業査証を指します。
在留資格とは何か
在留資格は、日本での滞在と活動を認める資格です。入国審査の際に、入国管理局が外国人に付与します。在留カードに記載され、日本滞在中はこの資格に基づいて活動することになります。
つまり、ビザは日本に入るための「入場券」、在留資格は日本で活動するための「許可証」といえるでしょう。実務上、企業が確認すべきなのは在留資格の方です。
外国人労働者の基本分類

外国人労働者は、その受け入れ目的や就労形態によって大きく4つのカテゴリーに分類されます。それぞれの特徴を理解することが、適切な採用活動の第一歩です。
技能実習生
技能実習生は、日本の技術や知識を母国に持ち帰ることを目的とした制度で受け入れられる外国人です。国際貢献を主眼とした制度であり、単純な労働力確保を目的としたものではありません。
技能実習制度では、実習生は最長5年間日本に滞在することができます。期間は「技能実習1号」「技能実習2号」「技能実習3号」と段階的に分かれており、各段階で試験に合格する必要があります。実習期間終了後、一定の条件を満たせば特定技能への移行も可能です。
技能実習制度は、2027年4月1日から新設される「育成就労制度」へ段階的に移行する予定です。今後は「国際貢献」よりも「人材育成と労働力確保」を目的とした制度設計に変わるため、技能実習生の新規受入れを検討する企業は、将来の制度変更を踏まえた採用計画が必要となります。
特定技能
特定技能制度は、深刻な人手不足に対応するため2019年に創設された比較的新しい在留資格です。介護、建設、農業など16の特定産業分野で外国人材を受け入れることができます。
特定技能には1号と2号があり、1号は最長5年の在留が認められます。2号に移行できれば、在留期間の上限がなくなり、家族の帯同も可能になるため、長期的な人材確保につながります。
ただし、2号への移行が認められているのは一部の産業分野に限られており、すべての分野で可能なわけではありません。長期雇用を前提とする場合は、自社の業種が2号対象分野かどうかを事前に確認することが重要です。
特定技能外国人は、技能実習生と異なり、転職も認められている点が大きな特徴です。ただし、原則として同一の特定産業分野および業務区分内での転職に限られます。
分野や業務区分を変更する場合には、追加の試験合格や在留資格変更手続きが必要になるため、採用時には注意が必要です。
高度外国人材
高度外国人材は、専門的な知識や技術を持つ外国人を指します。研究者、技術者、経営者などが該当し、「高度専門職」という在留資格で受け入れられます。
高度人材ポイント制により評価され、学歴、職歴、年収などの項目で70点以上を獲得した人材が対象となります。高度専門職1号では最長5年、2号では無期限の在留が可能です。優遇措置も多く、配偶者の就労や親の帯同が認められるなど、日本への定着を促進する制度設計となっています。
留学生アルバイト
留学生は本来、勉学を目的として日本に滞在しているため、原則として就労は認められていません。しかし、地方出入国在留管理局から「資格外活動許可」を取得することで、週28時間以内という制限のもとでアルバイトが可能になります。
留学生アルバイトは、柔軟な労働力として多くの企業で活用されています。特に飲食業や小売業では貴重な戦力となっています。ただし、風俗営業関連の業種では就労できないなど、いくつかの制限がある点に注意が必要です。

在留資格の詳細分類

在留資格は、就労の可否や範囲によって大きく4つに分類されます。外国人を雇用する際は、この分類を正確に把握することが不可欠です。
制限なく就労可能な在留資格
日本人と同様に、職種や労働時間に制限なく就労できる在留資格が存在します。これらは「身分に基づく在留資格」とも呼ばれます。
- 永住者は、無期限で日本に滞在できる資格です。一定期間の在留実績や生計能力などの厳格な要件を満たした外国人に付与されます。
- 日本人の配偶者等は、日本人と結婚している外国人やその実子が該当します。
- 永住者の配偶者等や定住者も、この分類に含まれます。
これらの在留資格を持つ外国人は、転職も自由におこなえます。企業側にとっては、在留資格に関する制約が少ないため、採用しやすい人材といえるでしょう。
決められた範囲内で就労可能な在留資格
専門的・技術的分野の在留資格と呼ばれるグループです。それぞれ就労できる業務内容が定められています。
- 技術・人文知識・国際業務は、最も一般的な就労系在留資格の一つです。エンジニア、通訳、デザイナー、マーケティング担当者など、幅広い職種が該当します。ただし、製造ライン作業、倉庫作業、単純な接客業務などのいわゆる単純労働には従事できません。
- 経営・管理は、企業の経営者や管理職が対象です。
- 教授や研究は、大学教員や研究者向けの資格です。
- 医療は医師や看護師、介護は介護福祉士が取得します。
- 技能は、外国料理のコック、スポーツ指導者、貴金属加工職人などの熟練技能者向けです。
これらの在留資格では、資格外の業務に従事することはできないため、採用時には職務内容と在留資格の整合性を十分に確認する必要があります。
就労ができない在留資格
一部の在留資格では、原則として就労が認められていません。留学、家族滞在、文化活動、短期滞在、研修がこれに該当します。
ただし、留学生や家族滞在の外国人は、資格外活動許可を得れば、週28時間以内のアルバイトが可能です。この許可は在留カードの裏面に記載されるため、採用時には必ず確認しましょう。短期滞在の場合は、資格外活動許可も取得できないため、一切の就労が禁止されています。
特定活動という在留資格
特定活動は、既存の在留資格に当てはまらない活動のために設けられた包括的な資格です。
ワーキングホリデーで来日する外国人や、大学生のインターンシップなども特定活動に含まれます。また、新型コロナウイルスの影響で帰国できなくなった外国人にも、この資格が付与されました。
特定活動には就労制限のあるものとないものがあり、個別に指定書で内容が定められます。採用時には、就労の可否や範囲を在留カードと指定書で確認することが重要です。

外国人雇用の実務プロセス

外国人を雇用する際には、適切なプロセスを踏むことが重要です。手続きを誤ると、不法就労助長罪などの法的問題につながる可能性があります。
雇用前の確認事項
まず、在留カードの内容を確認します。在留資格の種類、有効期限、就労の可否を必ずチェックしましょう。在留期限が切れていれば、不法滞在となり雇用できません。
就労制限の有無も重要です。「就労不可」の記載がある場合は、資格外活動許可の有無を確認します。決められた範囲内で就労可能な在留資格の場合は、予定している業務内容が在留資格の範囲内かを慎重に判断する必要があります。
雇用契約の締結
外国人労働者にも、日本人と同じ労働関係法令が適用されます。最低賃金法、労働基準法、労働安全衛生法などを遵守しなければなりません。
特に重要なのは、同一労働同一賃金の原則です。外国人だからという理由で賃金を低く設定することは違法です。また、雇用契約書は、外国人が理解できる言語で作成することが望ましいでしょう。
社会保険や労働保険の加入も義務付けられています。これらを怠ると、労働法違反となるだけでなく、在留資格の更新時に問題となる可能性があります。
入社後の手続き
外国人を雇用したら、ハローワークへの届出が義務付けられています。雇入れ時と離職時には、翌月10日までに「外国人雇用状況届出」を提出しなければなりません。
在留期間の管理も重要です。在留期限が近づいたら、更新申請の手続きを支援しましょう。特定技能外国人を雇用する場合は、登録支援機関として、あるいは登録支援機関に委託して、さまざまな支援をおこなう義務があります。

外国人雇用における注意点

外国人雇用を成功させるには、法令遵守はもちろん、文化的配慮も欠かせません。
在留資格の適合性確認
採用時に最も注意すべきは、業務内容と在留資格の適合性です。技術・人文知識・国際業務の資格で単純労働に従事させることはできません。製造ラインでの作業や、飲食店での接客など、専門性を要しない業務は認められません。
在留資格の範囲を超えた業務をさせると、企業側が不法就労助長罪に問われます。3年以下の懲役または300万円以下の罰金という重い処罰が科される可能性があります。
労働条件の公平性
外国人労働者に対して、国籍を理由とした差別的取扱いは禁止されています。賃金、労働時間、休日などの労働条件は、日本人労働者と同等でなければなりません。
残業代の未払いや、最低賃金を下回る賃金設定は、外国人労働者から訴えられるリスクがあります。また、在留資格の更新時に、適切な労働条件で雇用していない企業では更新が認められないケースもあります。
コミュニケーション支援
言葉の壁は、外国人雇用における大きな課題です。業務に必要な日本語教育を提供したり、多言語対応のマニュアルを整備したりする配慮が求められます。
また、文化や習慣の違いを理解し、相互に尊重する職場環境づくりも重要です。宗教上の配慮が必要な場合もあります。礼拝の時間や食事の制限など、可能な範囲で配慮することで、働きやすい環境が整います。


専門サービスの活用

外国人雇用には専門的な知識が必要であり、自社だけで対応するのは困難な場合も多いでしょう。そのような時は、専門サービスの活用が有効です。
人材紹介会社
外国人専門の人材紹介会社は、在留資格の適合性を確認した上で人材を紹介してくれます。採用後の手続きについてもサポートを受けられることが多く、初めて外国人を雇用する企業にとって心強い存在です。
登録支援機関
特定技能外国人を雇用する場合、受入れ企業は法定の支援計画を作成し、実施する義務があります。この支援業務を代行するのが登録支援機関です。
生活オリエンテーション、日本語学習の支援、相談・苦情対応など、多岐にわたる支援業務を専門的におこなってくれます。自社で支援体制を整えるのが難しい場合は、登録支援機関への委託を検討すると良いでしょう。
行政書士や社会保険労務士
在留資格の変更や更新の申請手続きは複雑です。行政書士に依頼すれば、入管への申請を代行してもらえます。また、社会保険労務士は、労務管理や社会保険の手続きについて専門的なアドバイスを提供してくれます。


外国人材の定着に不可欠な日本語力|現場任せにしない教育体制の作り方

在留資格や雇用ルールを正しく理解しても、外国人材が現場で安定して活躍できるかどうかを左右するのは、日本語によるコミュニケーション力です。
業務指示が正確に伝わらない、注意事項やルールが十分に理解されない、現場での確認やフォローに時間がかかる――こうした課題は、制度や本人の意欲の問題ではなく、日本語力が十分に身についていないことが原因で起こるケースが少なくありません。
一方で、企業の現場において、業務を行いながら計画的に日本語教育まで実施することは、採用担当者や現場責任者にとって大きな負担となるのが実情です。日本語講師の確保や管理、教育内容の設計、学習状況の把握などを自社で担うのは、現実的に難しいと感じている企業も多いのではないでしょうか。
そこで注目されているのが、日本語能力試験(JLPT)対策に特化したオンライン講座の活用です。オンライン講座であれば、業務時間を圧迫することなく学習を進められ、社内で講師を抱える必要もありません。また、学習状況を可視化できるため、教育管理にかかる手間を大幅に削減できます。
日本語カフェ「JLPT合格コース」なら短期間で効率的に学習できる

こうした課題解決の手段として、多くの企業に選ばれているのが「日本語カフェ」のJLPT合格コースです。日本語能力試験合格に特化したオンライン学習プログラムで、全くの日本語初心者からでも、わずか3ヶ月でN3合格を達成した実績があります。
学習はオンラインの動画講義形式のため、一人ひとりが自分のペースで、好きなタイミングに何度でも繰り返し学習することが可能です。また、管理画面を確認するだけで学習状況を把握できるため、日本語教育にかかっていた管理の手間や時間を大きく減らすことができます。
日本語カフェ「JLPT合格コース」の主な特長
- レベル別に最適化された完全カリキュラム(N5〜N1対応)
- 動画講義と演習ドリルを組み合わせた「わかる→使える」学習設計
- リスニング・読解対策も充実した試験特化型カリキュラム
- スマートフォン・PC対応で、スキマ時間でも無理なく学習可能
ゼロから3ヶ月でJLPT N3に合格

「日本語カフェ」で学習したフィリピン人受講者4名は、日本語学習未経験からわずか3ヶ月の学習で、日本語能力試験(JLPT)N3に全員合格しました。2025年4月に学習を開始し、1日平均6時間の自主学習を継続した結果、6月にはN5・N4を突破。そして7月には、通常半年以上かかるといわれるN3レベルに到達しました。
実際の試験結果では、文字語彙・文法読解・聴解のすべての分野で合格点をクリアしており、「日本語カフェ」のカリキュラムが短期間で成果を出せることを証明しています。
一般的に学習効果のばらつきやモチベーション維持に課題がある日本語教育ですが、明確な合格目標と効率的な学習設計により、4人全員が同時にN3合格を果たしました。
外国人材の採用・定着を成功させるためには、在留資格の理解だけでなく、計画的で継続可能な日本語教育体制の構築が欠かせません。
現場任せにしない日本語教育を検討している企業様は、日本語カフェのオンライン講座の活用をぜひご検討ください。
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まとめ

外国人労働者の資格制度は複雑ですが、基本を押さえれば適切な雇用管理が可能です。在留資格は就労の可否や範囲によって分類され、それぞれに明確なルールがあります。
企業が外国人を雇用する際は、在留カードで在留資格と有効期限を確認し、予定業務との適合性を慎重に判断することが不可欠です。労働条件は日本人と同等とし、必要な届出や手続きを確実におこないましょう。
外国人材は、人手不足の解消だけでなく、組織の多様性を高め、新しい視点をもたらす貴重な存在です。適切な知識と配慮をもって受け入れることで、企業と外国人労働者の双方にとって良好な関係を築くことができます。
わからないことがあれば、専門家や専門機関のサポートを積極的に活用することをおすすめします。外国人雇用は、日本企業の成長と国際化を支える重要な取り組みです。正しい理解のもとで、外国人材が活躍できる環境を整えていきましょう。
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