人材不足の企業が外国人留学生を特定技能として雇用することは可能なのでしょうか。
今回は、外国人の留学ビザと就労制度、在留資格との違いを紹介するとともに、特定技能を取得するための支援や登録するためのステップなどについて解説していきます。
外国人の留学ビザとは?日本で働くことはできるのか?
留学ビザは、外国人が日本にきて大学や専門学校、日本語学校などで教育を受けるための資格です。
留学ビザの在学期間は、法務大臣が最長4年3ヶ月を超えない範囲で外国人ごとに指定します。
2024年現在、在留ビザだけだと、日本での就労が認められていません。
ただし、専門機関である入国管理局から「資格外活動の許可」を得ている場合は、週28時間の就労が認められています。
夏休みや冬休みなどの学校の長期休業中には、1日8時間(週40時間)までであれば就労が可能です。
注意点として、キャバクラやホストクラブなどの風俗営業店での就労はできません。
許可がないまま就労すると、罰則や日本から強制退去になる可能性があるので気を付けましょう。
留学生が特定技能へ変更できる?
留学生は、特定の試験を受けて合格し、留学ビザから特定技能への在留資格の変更を行えば、企業に就職できるようになります。
また、留学生が特定技能で働くためには、外国人が理解できる言語で話すなど、外国人が就労できる環境を整える受け入れる企業の協力も必須です。
留学生が就職するためには、以下の試験に合格する必要があります。
ここからは、それぞれの概要について解説します。
技能試験には合格しているか
技能試験は、日本での各業界の仕事について、技能を持っていることを認定するための試験です。
そのため、就職先の業種や業務の分野ごとに試験内容が分かれています。
技能試験で認定される特定産業分野は、以下のようなものがあります。
- 介護
- ビルクリーニング
- 工業製品製造業
- 建設
- 造船・舶用工業
- 自動車整備
- 航空
- 宿泊
- 自動車運送業
- 鉄道
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
- 林業
- 木材産業
例えば、ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験、農業技能測定試験、介護や建築業界などがあります。
各試験は、国が定める基準で作られた問題が出題され、日本語能力と技能水準を合わせて評価します。
分野によって試験開催日程が異なるため、よく確認しておく必要があります。
技能試験は1号と2号の2種類があります。
1号は法務省の規定で「特定産業分野で相当程度の知識や経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格」のこと。
現在は12分野に分かれています(旧14分野)。
2号は1号よりも専門性の高い資格で、2023年に介護分野を除く11分野が対象となっています。
ちなみに、留学生の技能試験で対象となるのは1号のみです。
技能試験は、各分野において十分な知識や技術が備わっているかを判断するテストです。
日本語試験に受かっていても、技能試験に受からなければ特定分野に就職できません。
在留資格の特定活動の詳細や技能試験関連などの情報は、出入国在留管理庁に記載されています。
日本語試験には合格しているか
外国人が日本の企業で働くには、正しい日本語が使えるかどうかが重要なポイントです。
日本語試験では、一定の水準以上の日本語が扱えるかどうかを判断します。
日本語試験は、国際交流基金日本語基礎テスト(A2レベル以上)または日本語能力試験N4以上)の合格が必要です。
日本語能力試験の実施時期は、毎年7月上旬と12月上旬の2回のみです。
一方、国際交流基金日本語基礎テストは原則毎月開催されているため、早めに取得したい方におすすめです。
基本的に特定技能の切り替えに必要となるのは、分野ごとの技能試験と日本語試験です。
変更する場合の注意点
特定技能を取得する際の注意点として、以下のようなポイントがあります。
ここからは、それぞれの要件について、詳細を説明します。
納税をしているか事前に必ず確認すること
日本にいる間は、外国人留学生にも納税の義務があります。
留学中に、以下の税金を納めているかきちんとチェックしておきましょう。
- 国税
- 住民税
- 国民健康保険
- 国民年金
在留資格の条件を変更する場合には、源泉徴収票や納税証明書の発行が必要な場合もあります。
税金の滞納があった場合、「公的義務履行に関する誓約書」を用意しなければなりません。
ただし、緩和措置や社会保険料の納付免除措置の申請中や、その他に納付できない事情がある場合は免除となる可能性もあります。
しかし、免除になった内容を証明するための資料を出入国在留管理庁に提出しなければなりません。
さらに、複数のアルバイト先で掛け持ちをしている場合、日本の企業と外国の企業の両方から給与を得ている場合、確定申告を行う必要があります。
日本企業のみからの給与の場合は、日本で働く日本人と同じ扱いになるため、確定申告は不要です。
本国もしくは日本に扶養家族がいる場合
特定技能を取得した留学生が日本で就労する場合、扶養家族の在留が認められるケースと認められないケースがあります。
まず、特定技能1号の場合は、ケースバイケースです。
例えば、中長期の在留者で、在留資格を取得する以前から配偶者もともに日本に住んでいる場合。
配偶者も「家族滞在」「留学」などの在留資格を持っている場合は、特定技能外国人の認定を受ける際に配偶者の申請をすれば、家族として在留が認められます。
対して、日本に留学したのち、特定技能試験や日本語試験に合格して在留資格を得た後に本国で婚姻関係になった場合は例外。
特定技能変更前に配偶者が日本に住んでいなかった場合は、家族は日本への在留は認められません。
出典:【認められる場合あり!】特定技能外国人の家族の帯同・在留について|家族ビザ申請サポート池袋
留学生から特定技能1号への申請のステップ
留学生から特定技能1号に申請するための方法として、以下のようなステップを踏む必要があります。
- 技能試験に合格する
- 日本語能力試験に合格する
- 就職活動を行う
- 特定技能の雇用契約を締結
- 健康診断を受ける
- 事前ガイダンスの受講
- ビザ変更の準備・申請
- 在留資格変更許可の申請
技能試験と日本語能力試験で一定の水準に合格すれば、就職活動ができるようになります。
採用が決まった後は特定技能の雇用契約を結び、健康診断やガイダンスを受けて、ビザ変更の申請をする流れです。
最後に、在留資格変更許可の申請を、住居地を管轄する地方出入国在留管理官署にしましょう。
在留資格変更許可申請を出してから審査結果が出るまでの期間は、1〜3ヶ月ほど。
許可申請には12万円程度の料金がかかります。
問題なく審査が通ればすぐに会社に所属し、働き始めることが可能です。
不明点があれば、その都度地方出入国在留管理官署に問い合わせをしましょう。