特定技能外国人の採用面接で質問することは?質問例と注意点を詳しく解説

特定技能 面接 質問

特定技能外国人を受け入れる際、最初の重要なステップとなるのが「面接」です。

文化や言語の違いがある中で、どのような質問をすれば相手の人柄や適性、意欲を正しく見極められるのでしょうか。

面接では、日本語のレベルや仕事のスキルを確認するだけでは、十分とは言えません。外国人の方が長く安心して働けるようにするためには、質問の仕方にも工夫が必要です。

さらに、面接中の話し方や伝え方、相手への気づかいによって、相手がどれくらい内容を理解できるかも大きく変わってきます。

この記事では、特定技能外国人との面接で役立つ質問例をテーマ別に紹介しながら、スムーズな面接を行うための注意点についても詳しく解説します

目次

特定技能外国人の受入れ前に確認すること

確認事項をイメージしたチェックマーク

外国人材を特定技能で受け入れる場合には、採用前の準備や確認事項が非常に重要です。

事前に必要な情報をしっかり把握しておくことで、採用後のトラブルを防ぐことができます。

ここでは、実際に受け入れを検討する前に、企業側が確認しておくべき主な項目を解説します。

特定技能の要件を満たしているか

外国人を特定技能として雇用するには、法的に定められた条件をクリアしている必要があります。

ここでは主に2つの要件、技能試験と日本語能力について確認しましょう。

分野ごとの試験に合格しているか

特定技能の在留資格を申請するためには、分野ごとに定められた技能測定試験に合格していることが必須となります

例えば、外食業であれば「外食業特定技能1号技能測定試験」、介護分野であれば「介護技能評価試験」など、それぞれ分野ごとの認定試験が用意されています。

面接の際に、合格証を提示してもらうと良いでしょう。

ただし、技能実習2号を修了している外国人については、修了した分野に限り技能試験が免除される場合があります。

日本語能力試験に合格しているか

外国人が職場での基本的な指示や会話を理解できるよう、日本語能力も特定技能の要件に含まれます。

特定技能1号では、日本語能力試験(JLPT)のN4レベル以上、またはJFT-Basicに合格している必要があります

こちらも合格証を提示してもらうとスムーズです。

なお、試験の合格証が本物であるかも注意が必要です。

近年、偽造された証明書の報告もあるため、不安がある場合は試験実施機関に照会する方法もあります。

日本語能力試験の問い合わせ先は以下の通りです。

日本で受験した場合

日本国際教育支援協会

  • 受付時間 月〜金曜日 9:30〜17:30
  • 電話  03-5454-5215
海外で受験した場合

国際交流基金

メール jlptinfo@jpf.go.jp

参考:よくある質問|日本語能力試験 JLPT

すでに在留資格がある場合は就労可能か確認

日本にすでに在留している外国人を採用する場合は、現在の在留資格を確認しましょう。

面接では「特定技能1号」「特定技能2号」と明記された在留カードの提示を求めてください

また、資格を持っている分野も確認が必要です。

留学生や技能実習生が特定技能へ切り替える予定の場合には、許可がおりるまで特定技能として働くことはできません。

また、在留資格についても、法務省の公式サイトで確認しておくと安心です。

以下のサイトで在留カードの失効情報を確認できます。

雇用条件と働き始める時期

採用前には、雇用条件をしっかりと説明し、働く時期についても確認しておきましょう

特に、外国人にとっては「手取り」「総支給額」などの概念が馴染みのない場合もあります。

そのため、給与や休日、勤務時間については、できるだけ簡単な表現で具体的に伝えることが大切です。

また、留学生や技能実習生からの転職希望者の場合は、卒業や実習修了のタイミングも踏まえて「いつから勤務できるのか」を確認しておきましょう。

ビザ申請の状況や学校の卒業予定日によって、実際の勤務開始日が後ろ倒しになるケースもあります。

家族の同意が取れているか

外国人を採用するうえで意外と見落とされがちなのが、家族の承諾です。

たとえ本人が働く意思を示していても、家族の理解が得られていなければ、採用後に辞退や帰国という事態になることもあります

面接時には「ご家族も日本で働くことに賛成していますか?」といった質問を加えておくと、トラブルを未然に防げます。

特定技能外国人と面接をする際の質問例

大きな吹き出しを手にした男性

特定技能外国人を採用する場面では、応募者の日本語能力にばらつきがあることも多く、質問内容や聞き方には工夫が求められます。

面接の時間配分にも配慮し、質問や確認事項を事前に整理しておきましょう。

ここでは、面接時に役立つ具体的な質問を紹介します。

志望動機と条件についての質問

まずは、応募した理由や、どのような条件で働きたいのかを確認しましょう。

ここでのやり取りは、ミスマッチを防ぐために重要です。

【質問例】

・日本で働こうと思ったきっかけは何ですか?

・なぜこの会社を選びましたか?

・どんな仕事をしてみたいと考えていますか?

・希望する給与や勤務時間はありますか?

・どのくらいの期間、日本に滞在したいですか?

これらの質問を通して、応募者が会社の業務内容をどれだけ理解しているか、また働くことへの具体的なイメージを持っているかが見えてきます

人柄を知るための質問

外国人材と長く良好な関係を築くためには、人間性や価値観を理解することも重要です。

特に、文化の違いを乗り越えるためには、相手の考え方を知っておくことが役立ちます

【質問例】

・あなたの長所と短所は何ですか?

・休日はどんなことをして過ごしますか?

・日本のどんなところが好きですか?

・困ったときは、どうやって解決していますか?

・家族や友人からはどんな人だと言われますか?

・チームで働くのと、一人で働くのはどちらが得意ですか?

・友達とはどんなことをして過ごしますか?

・あなたの国の文化で、大事にしていることは何ですか?

・これまでの人生で一番うれしかったことは何ですか?


こういった質問は、表面的な受け答えだけでなく、相手の性格やストレス耐性、協調性なども見えてくる貴重な機会です。

スキルやこれまでの経験についての質問

実際の業務に必要なスキルや経験があるかは、採用後の即戦力としての期待値に直結します

過去の仕事やアルバイト、勉強内容についても丁寧に聞き取りましょう。

【質問例】

・これまでにどんな仕事を経験しましたか?

・前の職場で身につけたことを教えてください。

・日本語はどのように勉強しましたか?

・コンピュータや機械の操作は得意ですか?

・前の仕事で一番大変だったことは何ですか?

・自分の強みが生かせた仕事のエピソードはありますか?

・仕事で失敗したとき、どうやって乗り越えましたか?

・今まで学んだことで、今後役立つと思うことはありますか?

・一番得意な作業や、好きな作業は何ですか?

特に留学生や技能実習経験者の場合、日本語を使った業務経験の有無は重要な判断材料になります。

仕事への意欲についての質問

働くことに対する意識や今後の目標を知ることは、長期雇用を見据えた際に欠かせません。

熱意や継続力の有無を見極めるポイントとなります。

【質問例】

・この会社でどんなスキルを身につけたいですか?

・難しい仕事にチャレンジしたいと思いますか?

・将来、日本でどのように働きたいですか?

・資格や技術の勉強に関心はありますか?

・この仕事で一番がんばりたいことは何ですか?

・昇進やステップアップを目指していますか?

・自分の将来について、どんな計画を立てていますか?

・5年後、どんな自分になっていたいですか?

・新しいことを覚えるのは得意ですか?


このような質問を通して、現時点でのスキルだけでなく、成長意欲や前向きな姿勢も確認できます

面接をする際の注意点

社内で面接をしてる場面

面接をする際には、外国人がスムーズに受け答えできるように、日本人への面接とは異なる配慮が必要です。

以下に、実際の面接で意識すべきポイントを紹介します。

簡単な日本語を使う

応募者の多くは、日本語の読み書きにはある程度慣れていても、会話になると理解が追いつかず、うまく返答できないことがあります。

特に、ビジネス用語や難しい言い回し、早口の日本語は混乱を招く原因となりがちです。

そのため、面接ではできる限りやさしい表現を使い、相手の理解度に合わせて丁寧に話すことが大切です

質問は具体的に・ひとつずつ聞く

「なぜ日本で働きたいと思いましたか?そして、いつから働けますか?」のように、複数の質問を一度にまとめて尋ねると、混乱の原因になることがあります。

長い文章の中で複数の問いかけが含まれていると、どちらに答えるべきか迷ってしまったり、片方だけを聞き取ってしまったりすることがあります。

そのため、質問はできるだけシンプルにし、1つずつ質問することが重要です

ゆっくりと話しかけ、相手が答え終わったことを確認してから次の質問に進むことで、円滑なコミュニケーションが生まれやすくなります。

わからなそうな様子があれば言い直す

相手の表情や反応を見て、「もしかしたら理解できていないかもしれない」と感じたときは、そのまま次の話題に進まず、一度立ち止まることが大切です。

日本語での会話に慣れていないことも多く、わからないままうなずいてしまうこともあります。

そんなときは、「今のこと、もう一度言いますね」や「ゆっくり話しますね」といった一言を添えるだけで、相手の不安を和らげ、安心感を与えることができます

このような配慮をすることで、応募者は「この人は自分のことを理解しようとしてくれている」と感じやすくなり、信頼関係の構築にもつながります。

表情やジェスチャーを使って伝える

言葉だけではうまく伝わらないと感じたら、身振り手振りを使って補うのも効果的です。

特に、応募者が日本語を聞き取る力に不安を感じている場合や、緊張してうまく反応できないような場面では、表情や体の動きを交えたコミュニケーションが安心感につながります

「OK」「ここ」「見る」などの基本的な動作は、言葉と一緒にジェスチャーを添えることで、意味がより明確になります。

言語以外の方法を積極的に活用することで、より自然で伝わりやすいコミュニケーションが可能になり、場の雰囲気も和らぎます。

特定技能外国人の面接の質問|まとめ

採用決定後の握手

特定技能外国人との面接では、志望動機や就労条件だけでなく、人柄や経験、将来の目標まで幅広く質問することが大切です。

質問はひとつずつ具体的に聞き、相手の回答を丁寧に受け止める姿勢が、信頼関係の第一歩となります

また、外国人応募者の多くは日本語での会話に不慣れなため、やさしい言葉でゆっくり話す、表情やジェスチャーで補うなどの工夫も欠かせません。

面接は、企業と応募者の双方が理解を深める大切な場です。

質問の質や配慮の仕方ひとつで、採用後の働きやすさや定着率も大きく変わってきます。

ぜひ本記事を活用して、お互いが気持ちよく働ける関係づくりを進めていきましょう。

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この記事を書いた人

三木 雅史(Masafumi Miki) 株式会社E-MAN会長
1973年兵庫県たつの市生まれ / 慶応義塾大学法学部法学科卒
・25歳で起業 / デジタルガレージ / 電通の孫請でシステム開発
・web通販事業を手掛ける
・2006年にオンライン英会話を日本で初めて事業化
・2019年外国人の日本語教育を簡単、安価にするため
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