外国人社員向けのオンライン日本語教室の活用の可能性

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オンライン日本語教室は外国人社員向けに有効か?

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日本には今人口の2%の外国人がおり、2018年10月時点で外国人労働者数は146万人に達しています。

もちろん、業種ごとに外国人労働者がどのような業務に従事されているのか、一概にいうことはできないと思いますが、日本人社員とのより円滑なコミュニケーションのために、各自の日本語スキルを高めて頂くことは、皆さまの会社の利益にかなうことと思います。

他方、新卒研修時といったタイミングであればまだしも、一度外国人社員がそれぞれの部署に配属になり、実務を担当し始めてしまえば、同じ時間帯に同じ部屋で日本語を教育する時間を設ける、というやり方は現実的でなくなってきます。施設費・社員や講師の交通費等も必要になり割高になります。

そこで、現在注目され始めている、「オンライン日本語教室」の活用を社員に促すことは一案かもしれません。

数年前より、Skype経由で日本人がフィリピン人などの英語教師と英会話の学習をしていたのと、似たようなイメージのプラットフォームです。

オンライン日本語教室を社内の教育制度として導入すれば、時間帯・場所を問わず、外国人社員の空いた時間彼らは日本語学習に励むことができるので、大変現実的な方法といえると思います。

こんなオンライン日本語教室を選んではいけない!

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身も蓋もない言い方をしますと、オンライン外国語教室の運営者は、一方では講師陣を募集して登録させ、他方では生徒を募集して登録させ、お互いを各自マッチングさせて、生徒側からの授業料に対して一定のマージンを取った後の額を講師に支払えば、それで経営はできてしまいます。

このような杜撰な経営方針を取っているオンライン日本語教室を採用するとどういうことになるでしょうか?

この手のオンライン日本語教室は「生徒の希望に応じたカスタムメイドの授業を提供します。」と宣伝します。

とはいっても、実際問題としては、生徒自身が何を勉強していいかわからないわけですから、苦し紛れに「じゃあ、ミーティングのシチュエーションをお願いします。」といったりします。

母語話者にとって、模擬のミーティングをすることなどは容易なことですから、即興でミーティングらしき会話が展開されることになります。

その瞬間教わっている生徒にしてみれば、流暢に日本語で会議に臨む先生が恰好よく見え、また優秀にも見えるのかもしれません。

優秀な講師であれば、このようなスタイルの授業でも生徒の日本語力を高めることができるのかもしれません。

しかし、皆が皆、優秀な講師ではあり得ないことと思います。

ビジネス用の日本語を教える日本語講師は、講師自身にある程度のビジネス経験があることが望ましいかと思います。

ビジネス経験の講師であれば、その場でミーティングのための日本語を教えてくれと頼まれたとしても、例えば「プロジェクトの進捗遅れに対する対応を協議するミーティング」という、現実にあり得そうなお題を比較的容易に思いつくことができると思います。

そして、一通りの会話のやり取りが終わった後、「タイムチャート」「納期」「アヘッド(予定よりスケジュールが進んでいること)」「ビハインド(予定よりスケジュールが遅れていること)」「リスケ(リスケジュールを略した和製英語。予定変更のこと)」など、一線のビジネスマンの使っているビジネス単語を教えることができると思います。

しかし、ビジネス経験がない日本語講師に、このようなパフォーマンスを期待することは難しいと思います。

とすれば、皆さまの会社の社員の間で、実際に受けられる教育の水準に差が生じ、皆様の会社の目的である、「全外国人会社員の日本語力強化」という目的に照らして不適当であると思います。

こんなオンライン日本語教室を選びたい(1)

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極端な話、日本語講師というのは、日本語を話すことができさえすれば、だれでもできてしまうところがあります。

しかし、実は日本には「日本語教育能力検定試験」という試験が実施されており、一定程度のクオリティが保証された日本語講師が存在します。

まず、「原則的には、検定試験合格者相当以上の人しか講師に採用しません。」とうたうスクールを選択した方が、無難かとおもいます。

そしてより重要なのは、その日本語教師にどれだけの社会経験(特に組織人としての経験)があるかどうかがポイントになると思います。

いくら英語と中国語に流暢な日本人大学院生でも、企業研修の一環として英会話やるのだとしたら、あまり適当な人選とは言えないかもしれません。

むしろ、65歳まで企業に勤めあげて、老後のお小遣い稼ぎがてらオンライン講師をやっている元サラリーマンの方が、企業研修向けの講師としては適しているように思います。

オンライン日本語教室の選択に当たっては、どのようなバックグラウンドを持った講師がどのような割合で所属しているのか、この点をしっかり確認したいものです。

こんなオンライン日本語教室を選びたい(2)

日本語は奥の深い言語ですから、学ぼうと思えばどこまでも学べてしまいます。

また、様々な領域に通用する日本語があり、幅も非常に大きな言語です。

しかし、皆さまの会社の外国人社員に習得してほしい日本語、という限定をかけると、相当程度学ぶべき内容が絞れてくるのではないかと思います。

そこで、皆さまには、皆さまの企業の語学ニーズを詳細にヒアリングしてくれ、かつそのヒアリング内容に基づいたカリキュラムを作り、そのカリキュラムを個々の講師にきちんと理解させ、講師に会社の目的に沿ったカリキュラムにのっとって授業するよう管理できる日本語オンライン学校を、パートナーとして選択されるのがよいかとおもいます。

授業が進むにつれて、定期的にテストを行い、その結果を基に成績の劣る社員に補習を受けさせたり、追加で宿題を課したりといったきめ細やかな対応をしてくれるかどうかも、ポイントかと思います。

「オンライン日本語教室」の有効活用の為には社内の雰囲気作りも大切

オンライン日本語教室は、受講する場所や時間を選ばないため、容易に受講者が適当な時間に日本語教育を受けることができる利点があります。

しかし一方で、教室内での集団講義の受講に比べて、会社が社員の受講状況を管理できる範囲が制約されてしまう面もあります。

オンライン教室によっては、個々の社員のログインログや受講記録を会社に提供してすることで、会社が基準の受講時間を満たしていない社員、基準の合格点を満たしたりていない社員を罰することも可能かとは思います。

しかし、元来オンライン日本語教室は、個人が各々各自で受講するものであって、長い目で見れば「受講していない者を罰する」よりも「受講したい気分にさせる」社内施策を打つことが有効であると考えます。

たとえば、四半期に一度日本語試験を実施して優等者を表彰する、であるとか、月に一度、あえて日本人と外国人社員を一緒にしたランチタイムを設定するなど、日本語を使うことが「楽しい」と思える社内環境を作っていくことも、一見迂遠に見えて大切なことだと思います。

 

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

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この記事を書いた人

三木 雅史(Masafumi Miki) 株式会社E-MAN会長
1973年兵庫県たつの市生まれ / 慶応義塾大学法学部法学科卒
・25歳で起業 / デジタルガレージ / 電通の孫請でシステム開発
・web通販事業を手掛ける
・2006年にオンライン英会話を日本で初めて事業化
・2019年外国人の日本語教育を簡単、安価にするため
 日本語eラーニングシステムを開発、1万人超の外国人が日々学習中

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