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JLPT対策の教え方|合格に導くポイントと企業の日本語教育におすすめの方法

jlpt 対策 教え方

企業の教育担当者や日本語教師の方からは、「どうやって日本語を教えたらいいかわからない」「忙しくて試験対策まで手が回らない」「学習者によってレベル差がありすぎる…」といった声をよく聞きます。

日本語能力試験(JLPT)にはN1~N5までのレベルがあり、必要とされる力もさまざま。文法・語彙・読解・聴解と、学習すべき内容も多岐にわたるため、きちんとした指導の方針がないと、学習者が迷子になってしまうこともあります。

この記事では、JLPTの基本的な仕組みから、技能ごとの効果的な教え方、学習者の悩みに寄り添ったサポート方法まで、やさしく解説していきます。企業での教育担当、講師としての指導がもっとスムーズになり、学習者が「合格できた!」「日本語が楽しくなった」と感じられるようなサポートのヒントをお届けします。

目次

JLPT(日本語能力試験)の概要

日本語能力試験の回答をマークシート用紙に記入している様子

指導を始める前に、まずはJLPTの概要を簡単に確認しておきましょう。

JLPT(日本語能力試験)は、日本語を母語としない人の日本語能力を測定し、認定することを目的とした試験です。N1からN5までの5段階のレベルに分かれており、N5が最もやさしく、N1が最も難しくなっています。

J試験は主に「言語知識(文字・語彙・文法)」「読解」「聴解」の3つのセクションで構成されています。合格するためには、総合得点と、各セクシ​​ョンの基準点の両方をクリアする必要があります。それぞれのレベルで求められる能力の特徴を理解しておくことが大切です。

【STEP1】指導の前に!まず準備すべき3つのこと

積み上げられた日本語学習のための教材

効果的な指導をするには、事前の準備が大切です。指導を始める前に、以下の3つの点を必ず押さえておくようにしましょう。

1. 学習者のレベルを正確に把握する

まず一番にすべきことは、学習者の現在の日本語レベルを正確に確認することです。過去問や簡単なレベルチェックテストなどを使い、何が苦手で、どのくらい理解しているのかを把握します。目標レベルと現状のギャップを考​​え、埋めるべき課題を明確にしましょう。

2. 学習者本人と一緒に学習計画を考える

一方的に教えるのではなく、学習者本人と一緒に合格までの計画を立てることが重要です。 「いつ試験を受験するのか」「1日にどのくらいの学習時間を確保できるのか」などを話し合い、無理のないスケジュールを立てます。どの技能(語彙・文法・読解・聴解)に重点を置くか意識させるだけでも、学習効果は変わってきます。

3. 適切な教材を準備する

学習者のレベルに合った教材を選ぶことは非常に重要です。市販の問題集はたくさんありますが、解説がわかりやすいか、練習問題が豊富かなどの点で選びましょう。最近では、オンライン教材やアプリも充実しており、多くの学習者が活用しています。動画コンテンツなどは、視覚と聴覚の両方から日本語に慣れることができるのでおすすめです。

【STEP2】技能別!明日から使えるJLPTの教え方と実践ポイント

企業内で試験対策を教えている場面

ここからは、日本語能力試験(JLPT)の各技能に対応した、具体的かつ効果的な指導方法と授業内での実践ポイントをご紹介します。ただ知識を教えるだけでなく、「学習者が使える日本語を身につける」ことを目指した指導が重要です。

【言語知識(文字・語彙)】の教え方

ポイント

関連づけと文脈を通じて、生きた語彙として学ばせる

語彙の指導は、最初に取り組みやすい分野ですが、覚えた語彙が実際の会話や文章の中で使えなければ意味がありません。単語の意味だけを暗記させるのではなく、「どんな場面で、どんな文脈で使われるのか」ということを意識させることが重要です

具体的な指導法
  1. 絵や写真、ジェスチャーなど視覚的・身体的な要素を活用することで、言葉のイメージが定着しやすくなります。特に初級ではこのアプローチが効果的です。
  2. 対義語や類義語をセットで教えることで、語彙の意味を立体的に理解でき、語彙同士の関連性が自然と頭に入ります。例えば、「静か」と「にぎやか」、「寒い」と「暑い」などの組み合わせを通じて、語彙を広げましょう。
  3. 例文の中で単語を使う練習は、語彙の運用能力を高めるうえで非常に重要です。できるだけ学習者自身に例文を考えさせることで、理解の深まりが期待できます。

【言語知識(文法)】の教え方

ポイント

文法の形だけでなく、意味や用法の背景まで丁寧に説明する

文法は、日本語学習者がつまずきやすい分野の代表格です。特に中上級になると、似たような文型の違いに混乱しがちです。単なるパターン練習に終始せず、「なぜこの形になるのか」「どういう場面で使うのか」という“意味の理解”が非常に重要です

具体的な指導法
  1. 「導入→練習→応用」のステップを踏む授業展開が基本です。まず簡単な例を通して導入し、文型の構造を確認。次にパターン練習で形に慣れさせ、最後は自由作文や会話などで応用的に使わせます。
  2. 似た文法の違いを明確に比較すると学習者にわかりやすいです。たとえば、「~ために(目的)」と「~ように(目標)」の違いを、図解や状況設定などを使って説明すると理解が進みます。
  3. 学習者自身に例文を作らせることを取り入れましょう。これは理解の定着だけでなく、誤用のチェックやアウトプット能力の育成にもつながります。

【読解】の教え方:読み方の「戦略」を身につけ、本番形式に慣れる

ポイント

時間内に要点をつかみ、設問の根拠を明確にするトレーニングを重視

読解は、内容理解に加えてスピードも求められる技能です。特にJLPTでは設問数が多く、時間管理が合否を左右します。ただ読むのではなく、「何をどう読むか」という戦略的な読み方を指導しましょう

具体的な指導法
  1. 本文を読む前に設問と選択肢を確認させ、何を探して読むのかを明確にさせます。
  2. 接続詞や指示語、対比表現などのキーワードに印をつけながら読む習慣をつけさせることで、文脈の流れや筆者の主張を把握しやすくなります。
  3. 模擬問題を使って「時間を計って解く」練習を繰り返すことで、実戦感覚を身につけます。復習時にはなぜその選択肢が正解(または不正解)なのかを検討する時間も取りましょう。

【聴解】の教え方

ポイント

音声形式に慣れ、キーワードの拾い方を体得することが上達の近道

聴解は苦手意識を持つ学習者が多い技能ですが、コツをつかめば確実にスコアアップが望める分野です。「聞こえるようになる」には、量と質の両面でのトレーニングが不可欠です

具体的な指導法
  1. シャドーイングは、聞く力・話す力の両方を鍛える効果的な方法です。最初はスクリプトを見ながら、徐々に音声のみで練習するように段階を踏んで進めましょう。
  2. 音声を聞く前に問題文と選択肢を読み、どんなやりとりが展開されそうか、どういう情報が必要そうかを予測させることで、聞き取りの準備が整います。
  3. 音声を聞き終わった後は、スクリプトと照らし合わせて確認し、「なぜ聞き取れなかったのか」「どこで取りこぼしたのか」を一緒に分析しましょう。聞き取れなかった原因を明確にすることで、今後の学習にもつながります。

【STEP3】レベル別!指導で特に意識すべきポイント

日本語検定試験を受験している様子

JLPTはN5からN1まで、難易度に大きな差があります。そのため、学習者のレベルに応じて、指導の内容や重点を変える必要があります。ここでは、各レベルごとに「教師が特に意識すべきポイント」と「効果的な指導アプローチ」を詳しくご紹介します。

N4・N5レベルの教え方:日本語学習の「土台」を築く

【指導の基本方針】

N4・N5は初級段階であり、学習者にとって「日本語」との最初の出会いの時期です。この時期の指導で「楽しい」「できるようになった」という成功体験を持たせることが、学習継続の鍵となります。

意識すべきポイント
  • 「日本語=難しい言語」というイメージを払拭するよう、ゲーム・歌・ロールプレイなどを積極的に活用し、楽しさを感じられる授業を心がけましょう。
  • 語彙や文法は文脈の中で繰り返し使うことで、自然に定着させます。例:「~です」「~ます」など基本文型を使った自己紹介の練習。
  • 書く力よりも「聞く・話す」を優先し、簡単な会話のキャッチボールを目指します。やり取りを通じて“使える”日本語にしていきましょう。
  • 誤りを必要以上に指摘するよりも、「伝わった!」という体験を重視する姿勢が、学習意欲の向上につながります。

N3レベルの教え方:表現力を広げる段階

【指導の基本方針】

N3は「初中級~中級」にあたるレベルであり、学習者が日常的なやりとりはある程度こなせるようになってきた段階です。ここからは、表現の幅や語彙の量を増やし、文章や会話の理解力を高めることが主な目標になります。

意識すべきポイント
  • 新しい語彙や文法を導入する際は、実際の生活や場面と結びつけて教えることで、記憶の定着が期待できます(例:「~てもいいですか」「~たほうがいい」など)。
  • 文の長さや構造が少し複雑になるため、主語・目的語・動詞などの位置関係を図解しながら理解を助けましょう。
  • 長文読解や会話練習では、情報を整理しながら要点をつかむ力を育てる必要があります。「この文章は何が言いたいのか?」を問いかける癖をつけさせましょう。
  • 音読やシャドーイングを取り入れることで、リズムやイントネーションの習得と同時に、語彙・文法の復習にもなります。

N2・N1レベルの教え方:実践力と抽象的な思考力を鍛える

【指導の基本方針】

N2・N1は「上級」レベルであり、単に日本語を使えるというだけでなく、文脈理解・抽象的概念・論理的思考・語用的知識(言葉の使い方の微妙な違い)などが求められます。試験に合格するだけでなく、実際の社会生活や職場で通用する日本語力の養成を視野に入れましょう。

意識すべきポイント
  • 語彙のニュアンスや文法の用法の違いを的確に説明することが求められます。たとえば、「~に違いない」と「~はずだ」の意味の違いや、使える場面の違いを明確に示します。
  • 論説文・評論文などを読む機会を増やし、筆者の主張を要約したり、背景知識と結びつけて考える力を養います。ディスカッションや文章作成も効果的です。
  • 聴解ではスピードが速く、情報量が多い問題に対応する必要があるため、「聞き取りながらメモを取る練習」「必要な情報だけに集中するコツ」を伝えます。
  • 模擬試験を通して、本番の時間配分や出題傾向に慣れさせることも重要です。ただし、間違いの分析や復習に重点を置き、「どうすれば次は正解できるか」という視点を育てましょう。

レベルが上がるにつれて、「教える内容」も「教え方」も高度になっていきますが、共通して重要なのは学習者一人ひとりのニーズと課題を見極める観察力です。

単にJLPTの出題傾向に合わせるのではなく、「この学習者には今、何が必要か?」という視点を常に持つことで、より効果的な指導につながります。

【お悩み別】学習者がつまずきやすい点と指導のヒント

外国人労働者にとって日本語はなぜ難しいのか?

JLPTの指導において、学習者の「つまずき」や「伸び悩み」は避けて通れない課題です。しかし、その多くは学習の進め方や意識の持ち方を少し変えるだけで、着実に改善が可能です。

ここでは、学習者からよく聞く悩みを取り上げ、それぞれの背景にある原因と、教師としてどのようにサポートすればよいかについて、具体的なヒントを交えて解説します。学習者の気持ちに寄り添いながら、前向きに乗り越えていける指導を目指しましょう。

悩み1:「読解問題に時間がかかりすぎる…」

主な原因

読解問題に時間がかかってしまう主な理由として、語彙力や文法力の不足が挙げられます。文中に知らない単語や構文が多いと、内容理解に時間がかかり、結果として最後まで読み切れないというケースがよく見られます。

また、文章の構成や論理展開に慣れていない場合、読み進めながら情報を整理することが難しくなります。さらに、「すべての文を丁寧に読もう」としてしまう傾向があり、設問に対する意識が薄いまま読み進めてしまうことも原因の一つです。

指導のヒント

まずは学習者に、語彙や基本的な文法の復習の必要性を伝え、基礎力をしっかり固めることの重要性を説明しましょう。そのうえで、読解問題を解く際には「設問を先に読む」「目的を持って読む」という読み方の戦略を指導します

授業では、短めの文章を使って要点を抜き出す練習や、段落ごとの要約トレーニングを取り入れると効果的です。また、制限時間を設けた読解演習を繰り返すことで、時間配分の感覚を養いながら、試験形式にも慣れさせていきましょう。

悩み2:「聴解の点数が伸びない…」

主な原因

聴解力が伸びない原因の多くは、日常的に日本語の音声に触れる機会が少なく、学習者の耳が日本語のリズムやスピードに慣れていないことにあります。特に初中級の学習者は、すべての音を聞き取ろうと集中しすぎるあまり、肝心なポイントを聞き逃すことも少なくありません。

また、音声を聞く前に問題の選択肢を確認せず、漠然と聞き始めてしまうことで、情報を効果的に整理できない場合もあります。

指導のヒント

まずは「毎日少しずつ音声に触れる習慣」を身につけるように促しましょう。好きなアニメやドラマ、YouTubeなど、学習者の興味に合ったコンテンツを日本語音声で視聴することは、自然に耳を慣らすうえで非常に効果的です。

さらに、授業ではシャドーイングやディクテーションなどのトレーニングを取り入れ、音のまとまりやイントネーションにも注目させましょう。また、聴解問題を解く際には、音声が流れる前に選択肢に目を通し、場面や内容を予測させることが重要です。

音声を聞いたあとはスクリプトを活用し、「どこで聞き取れなかったのか」「なぜ間違えたのか」を一緒に分析する時間を設けると、理解が深まります。

悩み3:「勉強しているのに合格できない…」

主な原因

勉強時間をしっかり確保しているにもかかわらず合格できない場合、実は自分の苦手分野を避けて勉強しているということが多く見られます。好きな分野や得意な技能に偏って学習を続けていると、総合力が求められるJLPTでは思うようにスコアが伸びません。

また、学習方法そのものが非効率であったり、模擬試験や過去問演習を十分に行っていない場合も、試験本番で実力を発揮できない原因となります。

指導のヒント

まずは、模試や実力チェックを通じて各技能の得点状況を確認し、苦手分野を明確にすることが第一歩です。学習者には、点数が低かった分野こそが合格への鍵であることを丁寧に説明し、逃げずに向き合う重要性を伝えましょう

いきなり難しい問題に取り組むのではなく、まずは苦手分野に対して目標を設定し、無理なく取り組める環境を作ることが効果的です。また、学習記録や進捗表などを活用し、「どれだけ進んだか」を可視化することで、努力の実感が得られ、モチベーション維持にもつながります。

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JLPT対策の教え方 まとめ

職場での日本語教育

今回は、JLPT対策の効果的な教え方について、準備段階から技能別・レベル別の具体的な指導ポイントまで解説しました。

  • 教え方の基本は、学習者のレベルと課題の正確な把握から始める
  • 技能別(語彙・文法・読解・聴解)にポイントを押さえた指導を実践する
  • 学習者が継続できるよう、計画を立ててモチベーションを維持する

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この記事を書いた人

三木 雅史(Masafumi Miki) 株式会社E-MAN会長
1973年兵庫県たつの市生まれ / 慶応義塾大学法学部法学科卒
・25歳で起業 / デジタルガレージ / 電通の孫請でシステム開発
・web通販事業を手掛ける
・2006年にオンライン英会話を日本で初めて事業化
・2019年外国人の日本語教育を簡単、安価にするため
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