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日本語能力試験と日本語検定はどう違う?目的・出題分野・活用シーンの違いを比較

日本語検定 日本語能力検定 違い

外国人が日本で学び、働くうえで欠かせないのが、日本語力を客観的に証明する試験です。

「日本語能力試験(JLPT)」と「日本語検定」は、名称は似ていますが、試験の目的や評価内容、活用される場面には大きな違いがあります。

JLPTは主に「理解力」を測る国際的な試験で、進学や在留資格の取得、就職活動などに広く利用されています。

一方、日本語検定は「適切な使い方」に重点を置き、敬語や語彙、文法の正確さを問うことで、より実践的な日本語力を評価します。

本記事では、この2つの試験の概要を比較し、学習者や外国人を採用する企業がどちらを選ぶべきかを判断するための情報等をご紹介します

目次

日本語検定とJLPTの主な違い

相違点をイメージした木製の人形

日本語を学ぶ外国人や、外国人を採用する企業にとって、日本語力を客観的に評価する試験は重要です。

その中でも代表的なものが「日本語能力試験(JLPT)」と「日本語検定」です。

名前は似ていますが、それぞれ目的・試験内容・難易度・活用シーンが大きく異なります。

試験目的と活用シーンの違い

まずは、試験の目的と活用シーンの違いを見てみましょう。

JLPT(日本語能力試験)の試験目的と活用シーン

JLPT(日本語能力試験)は、日本語を母語としない外国人向けに、日本語をどの程度理解し、使いこなせるかを客観的に評価する試験です。

1984年の開始以来、受験者数は年々増加しており、現在では世界90か国以上の会場で年2回実施されている、国際的な認知度の高い試験です。

この試験の主な目的は、「聞く」「読む」能力を中心に、日本語の総合的な理解力を測定することにあります

学術的な場面やビジネスの現場でも通用する語学力を持っているかを判定するため、教育機関・企業・行政機関などでの信頼性が非常に高く、多くの場面で使用されています。

特に以下のような実生活の重要なシーンで活用されています。

活用シーン概要
日本国内の大学・専門学校への出願要件としての使用多くの教育機関がJLPTを入学基準に設定しています。
在留資格の取得・更新の要件としての利用「特定技能1号」ではN4レベル以上の合格が条件とされています。
日本企業への就職活動における日本語力の証明特にN2レベルは「即戦力」とみなされることが多く、履歴書や面接で高く評価される傾向があります。
学習者自身の日本語学習の進捗確認・目標設定レベル別に合格基準が明確であるため、モチベーションの維持や学習の計画に役立ちます。

日本語検定の試験目的と活用シーン

一方で、日本語検定は、JLPTとは異なる目的と評価軸を持つ試験です。

主な目的は、日本語を「どれだけ理解できるか」ではなく、「どれだけ正確かつ適切に使えるか」を評価する点にあります

特に、敬語の使い分けや文法の間違い、言葉の選び方といった「社会的にふさわしい日本語運用能力」を測ることに重点が置かれています。

この検定は、日本語を母語とする日本人も受験対象に含まれているため、外国人学習者にとっては、より実践的な日本語のスキルを身につけたことの証明になります。

また、社内でのコミュニケーションや接遇に関する日本語教育の評価ツールとしても利用が可能です。

実際の活用例としては、以下のようなシーンが考えられます。

活用例
  • 接客業・観光業・医療現場など、お客様対応が必要な職種での適切な敬語・表現力の確認
  • 日本語教師や言語指導者としての専門スキルや資格の証明
  • 学校教育の一環として、日本人の中高生や大学生の語彙力・国語力強化

また、日本語検定の出題範囲は実務に密接に関係しているため、学習の成果が日常会話や仕事に直結しやすいのも大きなメリットです

国際的な認知度という点ではJLPTに及ばないものの、日本国内では徐々に普及が進んでおり、今後さらにビジネスや教育の現場での活用が期待されています。

試験構成と出題分野の違い

JLPTの試験構成

JLPTの出題構成は、日本語の「理解力」を中心に据えており、以下の3つの分野に分けて試験が行われます。

スクロールできます
項目概要
言語知識(語彙・文法・文字)漢字の読み方、単語の意味、文法構造など、基礎的な言語力を測定します。
読解(文章の理解力)実用文・説明文・意見文など、さまざまな文体の読解力を問います。
長文問題も含まれ、内容の要約や筆者の意図を読み取る力が必要です。
聴解(音声理解)会話・説明・案内など、さまざまな場面での日本語の聞き取り能力を評価します。

試験レベルはN1(最上級)からN5(入門)までの5段階に分かれており、各レベルに応じた語彙・文法の知識が求められます。

すべての問題はマークシート形式で出題され、ライティング(記述)やスピーキング(発話)の能力は測定されません。

つまり、JLPTは日本語をどれだけ読めるか・聞き取れるかを中心に判定されます

そのため、対話や実際の業務でのやり取りといった「日本語を使う力」を確認するには、不十分という点もあります。

日本語検定の試験構成

日本語検定では、「正しい日本語の運用力」「文脈に応じた表現の選択」「適切な言葉づかい」といった、より実践的な言語能力を重視しています

出題される主な分野は以下の通りです。

スクロールできます
項目概要
敬語(尊敬語・謙譲語・丁寧語)上司・取引先・顧客など、相手や場面に応じた適切な表現力を評価。
語彙の正確な意味と使い分け類義語や意味の違い、表現の微妙なニュアンスを理解しているか。
文法の誤用の訂正よくある間違いを見抜き、正しい形に直す力が問われる。
表記(漢字・送り仮名・句読点など)正しい書き方、文章の見やすさにも焦点を当てる。
場面に応じた言葉遣い職場、公共の場、学校など、状況別の適切な言い回しを選べるかどうか。

1級(最上級)から7級(初級)までの7段階で、1級は日本語教育・国語教育の専門家レベル、7級は基礎的な日本語力の確認に適しています。

さらに特徴的なのは、一部に記述式問題が含まれている点です。

選択式だけではなく、自ら文章を構成し、間違いを修正する問題が含まれるため、思考力・表現力・運用力の3つの力が問われます。

これにより、日本語検定は実際の社会生活やビジネスの場面で使える日本語力をリアルに評価できる試験となっています。

難易度・出題形式と求められる能力の違い

日本語検定試験を受験している様子

JLPTの難易度と求められる能力

JLPT(日本語能力試験)は、日本語の理解力に特化した試験で、試験範囲は非常に広範です。

特にN2〜N1といった上級レベルでは、実生活ではあまり使わない抽象的な語彙、複雑な文法、長文の読解が出題され、高度な情報処理能力と論理的思考力が求められます。

出題内容は、新聞記事、学術論文、ビジネスレポート、社説など幅広い内容となっており、単に読む・聞くだけではなく、「筆者の意図をくみ取る力」「文脈の空気を読む力」までが問われます

聴解では、話し手の感情や立場の理解、間接的な表現の理解も必要です。

出題形式の特徴
  • すべてマークシート式(選択式)
  • 出題量が多く、時間配分とスピード勝負
  • スピーキング・ライティングは含まれない

JLPTでは、正確に理解しながらも限られた時間内で解答を進めなければならないため、単なる知識だけではなく、瞬時の判断力と処理能力も問われます。

また、スピーキングとライティングが評価対象に含まれていないため、「話せるのに落ちる」「読めるのに話せない」といったスキルの偏りに気づきにくいという注意点もあります。

日本語検定の難易度と求められる能力

日本語検定は、日本語を正確かつ適切に使えるかどうかを測る試験であり、「理解」だけでなく「判断」「表現」といったアウトプット型の日本語力が問われます


敬語、語彙の微妙な使い分け、文章の整合性など、実社会での日本語運用能力を評価する内容が中心です。

出題形式の特徴
  1. 選択式問題:文法・敬語・語彙・表記などから最適な表現を選ぶ問題
  2. 記述式問題(中〜上級):誤文修正や短文作成など、表現力や構成力を問う
  3. 場面対応型の設問:ビジネス・医療・接客など、職場での会話シーンを想定した実用問題
  4. 等級は1級〜7級まで:目的やレベルに応じて段階的に学習・評価が可能

記述式が含まれていることで、単なる暗記力だけでなく「言葉を使いこなす力」が評価される点が、日本語検定の大きな特徴です。

学習者・採用する企業にとっての意味の違い

学習者にとって

JLPTを受けることで、自分のレベルを把握し、次の学習目標を設定しやすくなります

とくにN2以上の取得は、進学・就職・在留資格申請などにおいて実用的な価値のある証明書になります。

企業にとって

JLPTは、外国人材を採用する企業にとって、応募者の日本語力を客観的に比較できる有力なデータとなります

N2以上であれば、基本的に業務で必要な日本語理解力があると判断しやすいです。

そのため、JLPTのスコアは、採用判断・社内評価など、多方面で活用されています。

日本語検定とJLPTどちらの試験がおすすめ?

どちらにするか悩んでいる女性

日本語検定とJLPTのどちらの試験がよいかは、試験を活用する目的によって異なります。

日本語を学ぶ外国人の場合

進学を目指す場合:JLPTが必須

日本国内の大学や専門学校への進学を考えている外国人にとって、JLPTはほぼ必須の試験です

多くの教育機関では、JLPTを入学要件として定めており、出願時に合格証明書の提出を求められることが多いです。

日本での就職を目指す場合:まずはJLPT、職種によっては日本語検定も有効

就職活動では、JLPT N2以上を取得していると、業務に必要な日本語力があると判断してもらいやすいです

IT系や技術職の場合、N3程度でも受け入れられるケースもありますが、社内コミュニケーションやマニュアル理解の面で、やはりN2以上の日本語力があると安心です。

永住申請・在留資格変更を目指す場合:JLPTが法的に認定される

日本に長期的に滞在したい外国人にとって、在留資格の取得や在住資格申請に関わる日本語力の証明は非常に重要です

  • 「特定技能1号」ビザ取得に必要(N4以上)
  • 高度専門職ポイント制で加点対象になる(N1/N2)

外国人を採用する雇用主の場合

外国人労働者の採用が増える中で、雇用側にも「どの程度日本語ができるのか?」を客観的に判断する力が求められています。

JLPTと日本語検定の違いを理解することは、採用や的確な社内育成のために非常に重要です。

採用基準として使いやすいのはJLPT

JLPTは国際的にもスタンダードな試験で、履歴書やエントリーシートにも広く記載されています。

特に、N2以上のスコアは、即戦力としての日本語力を一定程度証明する指標として、採用現場でよく使われています

また、以下のような法的にも活用されている試験であり、選考指標として信頼性が高いのが、JLPTの最大の利点です。

入社後の研修や評価には日本語検定も有効

採用時にはJLPTで基礎的な日本語力を確認できたとしても、実際の業務では正しい敬語や適切な言葉の使い方ができるかどうかが重要です。

特に以下のような業種では、日本語検定の活用が有効です。

業種
  • 接客・販売・ホテル・観光業
  • 介護・医療・福祉
  • コールセンター・事務・電話対応が必要な業務

日本語検定を導入すれば、言葉の選び方や表現の適切さ、敬語の運用力などを評価できます

また、昇格試験や社内認定制度の一環として導入すれば、外国人社員のモチベーションアップにもつながります。

JLPT対策にはオンライン講座が効果的

オンライン講座を受講している様子

JLPT(日本語能力試験)の合格を目指すうえで、効率的な学習方法の選択は非常に重要です。

JLPTの各レベルは、どれも体系的に設計されており、N2・N1のような上級レベルではもちろん、N4・N5といった初級レベルでも、基礎文法や語彙、聴解力がバランスよく問われるため、正しい学習法を選ばなければ合格は難しいのが現実です。

特に、外国人を雇用する場合、N4の取得は特定技能1号の外国人を採用する際の必須条件となっています。

また、特定技能2号を目指す場合は、N3の取得が必要な分野もあります。

外国人労働者の教育を効率よく行いたい企業や、働きながら学ぶ学習者本人にとって、時間や場所に縛られず、自分のペースで学習できるオンライン講座は、非常に有効な学習方法です

オンライン講座で日本語を学ぶメリットには、以下のような点があります。

メリット:その
好きな時間に学べる柔軟性

通学型の日本語学校では、決まった曜日・時間に通う必要がありますが、オンライン講座であれば、24時間いつでも受講可能。

仕事やシフトに合わせて柔軟に学べるため、忙しい技能実習生や外国人社員の語学力向上にもぴったりです。

メリット:その
交通費・通学時間ゼロ

オンライン講座なら、通学にかかる交通費や時間が不要です。

地方や海外に住んでいる学習者にとっては、地理的な制約なしに日本語の質の高い教育を受けられるのが大きな魅力です。

メリット:その
反復学習とデジタル教材で理解が深まる

動画やクイズ形式の教材は何度でも見直し可能。

重要な文法や語彙を繰り返し復習できるので、記憶の定着がしやすくなります。

メリット:その
合格に直結する戦略的な学習ができる

オンライン講座は、JLPTの出題傾向に沿った演習問題や模試が用意されていることが多く、無駄のない効率的な学習により、短期間でのスコアアップが可能です。

教材の質や解説の分かりやすさも、オンラインならではの魅力です。

日本語カフェのオンライン講座とは?

日本語カフェのロゴ

日本語カフェでは、JLPTに特化したオンライン講座を提供しています。

日本語教育の専門家が監修した質の高い教材と、柔軟に学べる環境により、学習者の目的やライフスタイルに合わせた「本当に役立つ」日本語教育を実現しています

特徴①:レベル別のJLPT対策講座(N5〜N1まで対応)

学習者のレベルに応じて、基礎から上級まで段階的に学べるカリキュラムをご用意。

試験の合格に向けた実践的なトレーニングを行います。

特徴②:プロ講師による動画講義と豊富な演習問題

プロによる分かりやすく丁寧な動画講義と、豊富な練習問題や模擬試験によって、実力を確実に積み上げることができます。

特徴③:スマホ・PCどちらでも受講可能。場所を選ばず続けやすい

すべての講座はスマートフォン・パソコン・タブレットに対応。通勤・休憩時間などのスキマ時間を学習に変えられるので、働く学習者にとっても続けやすい仕組みです。

特徴④:安心のサポート体制

進捗管理ツールや理解度チェック機能で、自分の学習状況を把握できます。

また、わからない点は講師に質問することもできるため、独学では不安な学習者にも安心してご利用いただけます。

現在、日本語カフェでは、JLPT対策講座の無料体験を実施中です。

実際の動画講義や問題演習を体験しながら、講座の内容やレベル感を確認いただけます。

ぜひ一度、日本語カフェを体験してみてください。

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JLPTと日本語検定の違いまとめ

日本語の勉強をイメージした画像

日本語能力試験(JLPT)と日本語検定は、それぞれ異なる角度から日本語力を評価する試験です。

JLPTは読む・聞くといった理解力を測るのに優れ、特に留学や就職、ビザ取得などで国際的に活用されています。

一方、日本語検定は敬語や言葉の使い分けなど、実務に必要な“使える日本語”の能力を問う実践的な内容です。

進学や法的手続きにはJLPTが、現場での円滑なコミュニケーションには日本語検定が適しています。

目的に応じて試験を選び、効率的な学習法を取り入れることで、日本語力は確実にレベルアップします

とくにJLPT対策にはオンライン講座の活用が効果的で、働きながらでも無理なく学習を続けることが可能です。

自分に合った試験と学び方を選び、日本語力を次のステージへと高めていきましょう。

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この記事を書いた人

三木 雅史(Masafumi Miki) 株式会社E-MAN会長
1973年兵庫県たつの市生まれ / 慶応義塾大学法学部法学科卒
・25歳で起業 / デジタルガレージ / 電通の孫請でシステム開発
・web通販事業を手掛ける
・2006年にオンライン英会話を日本で初めて事業化
・2019年外国人の日本語教育を簡単、安価にするため
 日本語eラーニングシステムを開発、1万人超の外国人が日々学習中

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