日本語を初めて学ぶ人にとって、会話の練習はとても重要です。しかし、どこから手をつけて良いのか分からないことも多いでしょう。
ここでは、初級者向けに日本語会話を効果的に習得するためのステップを紹介します。
基本的なフレーズの暗記から実践的な会話練習、カジュアルとフォーマルの使い分けまで、段階的に学びながら確実に会話力を伸ばしていきましょう。
初級向け:会話練習の方法をステップバイステップで紹介
ここでは、日本語の会話練習の方法をステップバイステップで紹介します。
以下で紹介するステップに従うことで、効率的な学習を実現できます。
基本的な日本語フレーズの暗記
日常生活や職場で使用するフレーズはそう多くはなく、最低限のものにしぼれば比較的短期間で覚えることが可能です。
まずは、生活や仕事先でよく使うフレーズを頭に入れましょう。
例えば、基本的な日本語のフレーズには以下のものがあります。
ありがとうございます
こんにちは
行ってきます
おつかれさまです
それについて詳しく教えてください
仕事に出かけてきます
今回の仕事はどこに行けばいいですか?
〇〇はどうすればよいですか?
〇〇はどこに置けばよいですか?
それはどういう意味ですか?
〇〇が分からないのですが、どこに問い合わせればよいですか?
トイレはどこですか?
お会計をお願いします
この商品はいくらですか?
切符売り場はどこですか?
どの電車に乗れば〇〇駅に行けますか?
休みはいつですか?
明日の準備をしておきました
誕生日は〇月〇日です
私は食べ物では〇〇が好きです
ペアワークやグループディスカッションで会話練習
語彙やフレーズをある程度暗記したら、ペアワークやグループディスカッションを行いましょう。
実際のシチュエーションを想定しながら、家族や仲間と一緒にフレーズを口にすることで、より定着させられます。
また、何度も口に出すことで、各シーンにおいて言葉がすぐ出てくるようになります。
例えば、ペアワークを二人で行う場合、どちらかが店員、どちらかが客を演じます。
以下のように進めてみてください。
いらっしゃいませ。
牛乳がほしいのですが、どこにありますか?
牛乳はここをまっすぐ行き、左に曲がったところにあります。
ジュースなどと一緒に冷蔵コーナーに置いてあります。
ありがとうございました。
また、グループディスカッションでは学習者が関心のあるトピックや身近なテーマで議論を行います。
例えば、新聞記事で大々的に取り上げられている時事問題、日本と母国とのルールの違いなどのトピックがおすすめです。
カジュアルな会話とフォーマルな会話の違い
外国人にとって日本語の難しい点として、カジュアルな会話と敬語のようなフォーマルな会話の使い分けが挙げられます。
日本に来たばかりの人であれば敬語を使えず、フォーマルな会話ができなくても多めに見てもらえることもありますが、状況を察してくれる優しい人ばかりではありません。
インプットした語彙が増え、ある程度の会話ができるようになったら、カジュアルな会話とフォーマルな会話の違いを意識して練習してみましょう。
例えば、カジュアルな会話は仲間や同僚、家族とすることが多く、「〇〇してもいいよ」「ありがとう」といった表現になります。
一方、フォーマルな会話は会社の上司やお客様に対して行うことが多く、「〇〇していただけるとうれしいです」「ありがとうございました」といったように表現が少々複雑になります。
日本語の会話における重要な文法事項
いずれの言語にも文法がありますが、日本語には特有の文法事項があります。
形容詞や動詞の修飾は母国語と共通することがほとんどですが、普通形と丁寧形に馴染みがない外国人は多いでしょう。
短い会話や最低限の会話では文法をそこまで気にする必要がありませんが、中級以上の会話を目指すのであれば、日本語の文法事項を押さえておくのは必須となります。
普通形と丁寧形の使い分け
日本語では聞き手への敬意の度合い、話し言葉と書き言葉などによって普通形と丁寧形を使い分けます。
家族や親しい友人と話すときは普通形ですが、上司や初対面の人、お客様に対しては丁寧形を使います。
丁寧形の例 | 普通形の例 |
---|---|
「どちらがよろしいですか?」 | 「どっちがいい?」 |
「これはどなたの財布ですか?」 | 「これはだれの財布?」 |
「お水を飲みますか?」 | 「お水、飲む?」 |
「これは何ですか?」 | 「これは何?」 |
「休みはいつですか?」 | 「いつ休み?」 |
形容詞や動詞の修飾
英語などの言語と同じように、日本語にも形容詞や動詞の修飾があります。
形容詞とは性質や状態などの意味を説明するものです。
例えば、きれいなコップの「きれいな」はコップがどのようなコップなのか説明する形容詞です。
また、動詞とは動きを表す言葉ですが、他の言葉を詳しく説明する役割を担うこともあります。
形容詞や動詞の修飾をマスターするには、形容詞や動詞のフレーズを暗記した後、修飾のパターンを覚えていきます。
例えば、「白い紙」の「白い」は紙を修飾する形容詞、「大きい箱」の「大きい」は箱を修飾する形容詞です。
また、「履歴書を買いに出かける」の「買いに」は出かけるを修飾しています。
参考書に掲載されている例文を何度も口に出すことで、日常生活において使えるようになります。
効果的な教材とツールの紹介
日本語学習にはさまざまな学習方法がありますが、初めて学習する人には以下のツールがおすすめです。
日本語の会話テキスト
日本語の会話テキストにはよく使うフレーズや日常生活においてよくあるシーンとそのフレーズが分かりやすく記載されています。
テキストに書かれている内容を先生や仲間と一緒に実際に声を出しながら読んだり、自分で暗記したりすることで、日常会話ができるようになるでしょう。
オンラインで学習できるサイト
オンラインで学習できるサイトを活用すれば、スマホやパソコンがあればいつでもどこでも日本語学習ができます。
スキマ時間を活用して学習できるので、効率的な学習が可能です。
オンラインリソースの中でも、日本語カフェがおすすめです。
eラーニングで動画講座を受けたり、演習問題を解いたりでき、日本語学校に実際に通わなくても、通学に近いスタイルで学べます。
仕事や家事などで忙しい人も移動の時間がかからないため、空き時間を活用して効率的に学べます。
会話練習アプリ
ロールプレイングの相手がいない人でも、会話練習アプリを使うことで実際の会話を体験できます。
また、仲間と一緒に練習する際は時間を合わせる必要がありますが、アプリであれば自分の都合がよいときに学習できるので便利です。
日本語の授業やレッスンにおすすめのアクティビティ&テーマ
日本語の授業やレッスンでは、アクティビティをうまく取り入れることで、日本語力をスピーディーに高められます。
複数人で練習するときは以下で紹介するようなアクティビティを取り入れてみてください。
アクティビティを取り入れることで仲間との会話も生まれ、一人で学ぶときとは違う充実感を得られるはずです。
ロールプレイやシミュレーションにおすすめのテーマ
ロールプレイやシミュレーションでは、日常生活でよくあるパターンを想定して練習しましょう。
例えば、以下のようなテーマで練習するのがおすすめです。
- 初対面の人への自己紹介
- 日常的な挨拶
- 天気の話題
- 趣味や休日の過ごし方
- 買い物
- レストランでの注文
- 病院での会話
- 道を尋ねる
- 就職活動の面接
- 職場での会話
- 接客
指示・依頼の仕方の練習
日本で暮らしていると「~てください」「~ましょう」などのフレーズを使って、指示・依頼をするシーンがよくあります。
仕事においても指示・依頼ができるかどうかは重要なポイントなので、よく使う指示・依頼について練習しておきましょう。
指示・依頼の中でも以下のフレーズはよく使います。
- 〇〇を持ってきてください
- はやく戻ってきてください
- あなたはレジをしてください
- 一緒に掃除しましょう
- きれいに片付けましょう
- 遅刻しないで出勤しましょう
よくある質問(FAQ)
日本語を学習している中で疑問が浮かぶことが多いと思います。
ここでは、日本語学習者がよく抱く質問を取り上げ、回答します。
まとめ
日本語を学習していると、思いどおりに上達しない、練習量に対してあまりうまくならないと悩むこともあるかもしれません。
しかし、語学はいきなり上達するものではありません。
あきらめず、継続的に学習することで、日本語力は着実にアップします。
日本語を話せるようになれば、日本で仕事を見つけやすくなったり、待遇のよい仕事につけたりする可能性が高まります。
また、日本人の友人が多くできるかもしれません。
日常生活でよく使うフレーズをマスターしたら、長文や細やかな表現を学習する中級者向けの学習への移行を検討してみてください。