外国人の技能実習制度と特定技能制度における送り出し機関の役割とは

外国人の技能実習制度と特定技能制度における送り出し機関の役割とは

技能実習制度と特定技能制度は、日本の労働力不足を補うために設立された重要なプログラムです。

これらの制度は、外国人技能実習生と特定技能者が日本で技術を習得し、自国でのキャリアに活かすことを目的としています。

送り出し機関の役割は、技能実習生と特定技能者が円滑に日本に渡り、適切な訓練を受けられるようサポートすることです。

そして、実習生の選抜や訓練、日本での生活支援など、多岐にわたる業務を行い、実習生が安全かつ効果的に技能を習得できる環境も整えています。

本記事は、各種技能制度における送り出し機関の役割や具体的な取り組みについてのガイドブックです。

目次

技能実習制度の概要

技能実習制度の概要

日本の技能実習制度は、国内の労働力不足を補うと同時に、国際協力の一環としても重要です。

今から、制度の概要や具体的な取り組みについて詳しく解説します。

技能実習制度の目的と意義

技能実習制度は、日本における技術や技能の国際貢献が目的です。

そして、発展途上国の青年は日本での実習を通じて技術を習得し、自国の産業発展に寄与します。

技能実習制度は、日本と他国との国際協力を深化させるための重要な取り組みです。

参考:技能実習制度の現状について

公益財団法人JITCOの役割

公益財団法人JITCO(Japan International Training Cooperation Organization)は、技能実習生、特定技能外国人等の外国人材の受入れの促進を図り、国際経済社会の発展に寄与することを事業目的としている機関です。

JITCOは、技能実習制度や特定技能外国人の受け入れ等に関する総合支援機関として、実習生が適切に技術を習得できるよう監理団体・実習実施者・送出機関等の制度関係者に対し、セミナーの開催や講習などを行い支援しています。

また、JITCOは技能実習生と受け入れ企業の間のトラブルを未然に防ぐ重要な役割を果たしている機関です。

参考:JITCO

技能実習生の送り出し機関

技能実習生の送り出し機関

技能実習生を送り出している主要3ヵ国の送り出し機関の状況とJITCOの関連性を解説します。

送り出し機関とJITCOの関連

JITCO(公益財団法人国際研修協力機構)は技能実習制度の適正かつ円滑な推進のための支援機関です。

主な役割として以下の通りです。

  • 企業や諸外国の送り出し機関に対し、総合的な支援・援助
  • 技能実習生の悩みや相談に応え、法的権利の確保のための助言、支援
  • 技能実習の成果向上のための総合的な支援

また、JITCOは最適な技能実習生が選ばれ、また、送出機関との折衝もスムーズに進むよう、送出し国の事情や送出し国特有の手続きの方法、規則等の各種情報や、送出機関等に関する情報を提供しています。

OTIT(外国人技能実習機構)の役割

外国人技能実習機構の役割

OTIT(外国人技能実習機構)は、技能実習生を受け入れる企業にとって深い関わりのある機関です。

今から詳しく説明していきます。

OTIT(外国人技能実習機構)の設立と使命

OTIT(外国人技能実習機構)は、2017年11月1日施行「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」に基づき、法務省・厚生労働省の認可法人として設立されました。

技能実習制度の円滑な運営を目的とし、技能実習生と受け入れ機関の間の調整を行い、実習生が適切な技術を習得できるよう支援しています。

また、技能実習生の権利を守るための保護機関として重要です。

OTITは、国内13か所に設置されており、自社の都道府県に設置されていない場合でも対応可能です。

参考:OTIT(外国人技能実習機構)

情報提供と失踪者対策

OTITは、技能実習生と受け入れ機関に対する情報提供を行っています。

また、技能実習生の失踪を防ぐための対策も重要な役割を担っています。

主な失踪者対策は以下の通りです。

  • 監理団体への監査と指導

OTITは監理団体や実習実施者に対して定期的な監査を行い、実習計画が適切に実施されているかを確認します。違反が見つかった場合には改善命令を出し、重大な場合には認定取り消しなどの行政処分が課されます。

  • 相談・支援体制の強化

技能実習生が困った時に相談できる窓口を設置し、母国語での対応が可能です。また、技能実習生が安全かつ安心して実習を続けられるよう、支援を強化しています。​

  • 法令違反の監視と対応

実地検査において法令違反が確認された場合、必要に応じて刑事告発も含め厳しく対応中です。特に悪質なケースでは、出入国在留管理庁と連携して失踪防止に取り組んでいます​。

  • 情報共有と意識啓発

OTITは定期的に監理団体や実習実施者に対してセミナーや研修を開催。法令遵守の重要性と失踪防止の対策について啓発を行い、監理団体や実習実施者が適切に対応できるよう、チェックリストを提供しています​。

ベトナム、ミャンマー、カンボジアからの送り出し状況

それぞれの送り出し状況は下記一覧表をご覧ください。

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ベトナムミャンマーカンボジア
送り出し状況技能実習生の数は増加傾向にあり、多くの若者が日本での技能実習を希望している。
ベトナム政府は、日本との二国間協定に基づいて、技能実習生の送り出しを積極的に支援している。  
技能実習生の送り出しも増加傾向。
ミャンマー政府は、日本との協力を強化し、技能実習制度を通じて労働者のスキル向上を目指している。  
技能実習生の送り出しは他の国々と比べてまだ少ないが、徐々に増加傾向。
カンボジア政府は、日本との協力を通じて技能実習制度を推進している。  
主な職種製造業、農業、建設業、食品加工業など多岐にわたる分野で働いている。
特に製造業と農業は、ベトナム人実習生にとって人気のある分野。
農業、建設業、製造業などの分野で活動中。
特に農業と製造業は、ミャンマー人実習生にとって主要な分野。  
建設業、農業、製造業などの分野で働いている。
特に建設業は、カンボジア人実習生にとって主要な分野。  

送り出し機関番号と整理番号

2022年8月16日付で「技能実習制度運用要領」が1部改正され、監理団体や実習実施者が作成する書類様式が変更になりました。

それによって、送り出し機関ごとに割り振られた「送り出し機関番号」「整理番号」の記載が必要となります。

「送り出し機関番号」とは外国政府認定の送り出し機関に付された9桁の番号、「整理番号」とは、二国間取決めがされていない国の送り出し機関に付された4桁の番号です。

特定技能制度の概要

特定技能制度の概要

特定技能制度は、企業の労働不足を解消するための制度です。

技能実習制度とは目的が異なるため、今から解説します。

特定技能制度の概要と対象分野

特定技能制度は、特定の分野で高い技能を持つ外国人労働者を受け入れるための制度です。

この制度は、2019年に導入され、日本の労働市場のニーズに応えるために設立されました。

特定技能制度は、建設、農業、宿泊、介護などの12分野(14業種)で適用されます。

この制度は、特定技能1号と2号で分類されており、以下の通りです。

  • 特定技能1号

特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格

  • 特定技能2号

特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格

以上のような特徴があります。

参考:特定技能制度運用状況

特定技能制度と技能実習制度の違い

特定技能制度と技能実習制度は、その目的と適用範囲が異なります。

技能実習制度は、発展途上国の技術移転を目的としており、特定技能制度は即戦力としての労働者を受け入れることが目的です。

また、特定技能制度は、日本語能力や実務経験が必要とされる点でも異なります。

特定技能制度の認定プロセス

特定技能制度の認定プロセスは、申請者が特定の分野で高い技能を持っていることを証明するために行われます。

プロセスは以下の通りです。

  1. 求職者の準備(日本語能力試験、技能試験など)
  2. 求職者の選抜(応募、選考、雇用契約)
  3. 在留資格認定証明書の申請
  4. 在留資格認定証明書の発行
  5. ビザ申請労働開始
  6. 継続的な支援と監督
  7. 在留資格の更新

特定技能制度の認定プロセスは、求職者が必要な試験に合格し、適切な雇用契約を締結した後、日本の入国管理局から在留資格認定証明書を取得することです。

そして、ビザの申請と日本への入国手続きが行われ、企業での就労となります。

特定技能1号の在留期間は通算で5年が最大、特定技能2号の在留期間は3年ですが、更新回数に上限はありません。

日本での技能実習と特定技能

日本での技能実習と特定技能

日本での技能実習生及び特定技能生の受け入れは進んでおり、その現状について解説します。

日本国内での受け入れ状況

日本国内では、技能実習制度と特定技能制度の受け入れが進んでいます。

日本における技能実習生の受け入れ人数は、令和5年度約40万人、特定技能生の受け入れは令和5年度約20万人となっています。

日本企業のさまざまな分野で実習を行い、特定技能者は即戦力として就労しています。

特に、建設や農業などの分野では、多くの技能実習生と特定技能者が活躍中です。

参考:
技能実習制度の現状|出入国在留管理庁
特定技能制度|出入国在留管理庁

二国間協定による優良実習生の受け入れ

二国間協定は、技能実習生の受け入れをスムーズに行うための重要な枠組みです。

日本はベトナム、ミャンマー、カンボジアなどの国と協定を結び、優良な実習生を受け入れています。

これにより、実習生の質を確保し、トラブルを未然に防ぐことが可能です。

参考:技能実習に関する二国間取決め

送り出し機関の状況

送り出し機関の状況

カンボジアの主な送り出し機関をリストアップしてみました。

1. Sok Leap Metrey

日本や他の国に技能実習生を送り出す政府認定機関です。

適切な候補者の選定や出発前の日本語および技術訓練を重視しており、実習生と受入れ企業間の相互理解を促進することを目指しています。

2. PROCAST Cambodia

カンボジア政府が認定している送り出し機関で、2007年設立、国内で最も歴史のある機関です。

日本人経営のため、円滑なコミュニケーションも可能で、迅速に対応できるのが特徴。

3. YAKUSHINKAI

2016年設立、2017年にカンボジア労働省から認可されました。母体は日本の医療法人躍心会です。

カンボジア在住歴15年以上の日本人が教育責任者として現地に常駐しており、日本語以外の日本式教育を取り入れているのが特徴。

その他サービスの提供状況

外国人労働者をサポートする団体として、各種NPO法人などがあります。

日本で働く外国人の労働環境、生活を支援することで、日本人と外国人の共生を図るのが目的です。

また、外国人材に特化した派遣会社も増えており、受け入れ企業の手間がかかる事務手続きなどのフォローも行っています。

海外大学生のインターンシップ受け入れも斡旋しており、企業側として、将来の人材確保の1つの手段として活用するのも良いでしょう。

まとめ

まとめ|外国人の技能実習制度と特定技能制度における送り出し機関の役割とは

今回は、技能実習制度と特定技能制度における送り出し機関の役割について解説しました。

各種制度を活用することで、日本企業の労働人口不足の問題を解決できます。

しかし、各国の送り出し機関の協力やその他サービス団体の協力無しでは円滑に受け入れはできません。

技能実習制度については、法改正により新制度への移行が決まっており、新しい取り組みが始まります。

企業は常に新しい情報を収集して、人材の確保に努めていくことが大切です。

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この記事を書いた人

三木 雅史(Masafumi Miki) 株式会社E-MAN会長
1973年兵庫県たつの市生まれ / 慶応義塾大学法学部法学科卒
・25歳で起業 / デジタルガレージ / 電通の孫請でシステム開発
・web通販事業を手掛ける
・2006年にオンライン英会話を日本で初めて事業化
・2019年外国人の日本語教育を簡単、安価にするため
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