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育成就労ビザとは?技能実習との違いや知っておくべき制度のポイント

育成就労 ビザ

育成就労ビザという言葉を、耳にする機会が増えたものの、どういうビザなのかよくわからないという方も多いのではないでしょうか。

このビザは、長年課題が指摘されてきた技能実習制度に代わり、2024年に創設された新たな外国人材の在留資格です。

転職の柔軟化、日本語要件の明確化、そして特定技能への移行を制度的に支援するなど、より実態に即した仕組みに進化しています。

本記事では、育成就労ビザの概要や技能実習制度との違い、必要な準備や注意点などを、わかりやすく解説します

目次

育成就労ビザとは?技能実習制度との決定的な違い

建設現場で打ち合わせをしている作業員

ここでは、育成就労制度の概要と技能実習制度との違いについて、わかりやすく整理して解説します。

育成就労制度の概要

2024年に成立した「育成就労制度」は、長年にわたり運用されてきた「技能実習制度」に代わる新たな外国人材制度です

技能実習制度は当初、国際貢献を目的とした技能移転を掲げていましたが、実際には労働力確保が主な目的となっており、多くの問題点が浮き彫りになっていました。

たとえば、転職の原則禁止や人権侵害にあたるような労働環境、適切な監理が行われていないケースなどが国内外で問題視されてきました。

こうした課題を背景に、より実態に即した制度として育成就労制度が導入されることとなりました。

この制度の主な目的は以下の通りです。

  • 外国人材の育成と日本産業への定着を両立させる
  • 技能レベルと日本語能力の向上を支援する
  • 制度修了後に「特定技能」への円滑な移行を可能にする

そして、この新制度の下で来日する外国人材に付与される在留資格が、「育成就労ビザ」です

このビザを取得することで、外国人材は一定の分野・職種において最長3年間就労し、所定の要件を満たせば「特定技能1号」へと移行し、日本でのキャリアをさらに継続することができます。

技能実習制度と育成就労制度の主な変更点

育成就労制度は、単なる制度名の変更ではなく、根本的な理念と仕組みの見直しがなされた点が大きな特徴です

以下の比較表で、主な変更点を整理しましょう。

スクロールできます
項目技能実習制度育成就労制度(新制度)
制度の目的国際貢献(技能移転)人材育成・確保、特定技能への移行
転職(転籍)原則不可条件付きで可能
在留期間最長5年原則3年
日本語要件なし入国時にN5相当の日本語能力が必要
監理体制監理団体監理支援機関
特定技能への移行必須ではない制度の目的として想定されている

このように、育成就労制度では人材の定着とキャリアアップを前提にした仕組みが導入されています。

特に重要なのは、転職の柔軟化と特定技能への移行支援です

従来の技能実習では、外国人材が雇用先を変えることは非常に困難でしたが、新制度では一定の条件下での転職が認められるため、ブラック企業からの脱出やより良い環境への移行が現実的になったと言えるでしょう。

また、日本語能力も制度全体を通じて重視されており、日本語学習の成果がキャリアのステップアップに直結する構造になっています。

そのため、育成就労の期間中に、特定技能1号へ移行するための日本語能力を身につける必要があります。

参考:
育成就労制度・特定技能制度Q&A|出入国在留管理庁
育成就労制度の概要|厚生労働省

育成就労ビザで知っておくべき制度のポイント

ステップバイステップと書かれた木のブロックとその上に置かれた木製の人形

ここでは、育成就労ビザについて知っておきたい、育成就労から特定技能へのキャリアパスや転職(転籍)に関するルール、日本語学習の位置づけについて具体的に解説します。

日本でのキャリアパス:育成就労から特定技能へ

育成就労制度は、外国人材が段階的にスキルを習得し、日本での継続的な就労を目指すためのキャリアステップが明確に設計されています。

これは、単なる労働機会の提供ではなく、「学びながら働き、成長し続ける制度」であるという点が大きな特徴です

育成就労から特定技能の流れ
  1. 送り出し機関(母国側の訓練・準備)
  2. 育成就労(最長3年)
  3. 特定技能1号(最長5年)
  4. 特定技能2号(在留期間の上限なし)

育成就労ビザで来日した外国人材は、3年間の育成期間中に技能や日本語を習得し、試験に合格すれば、特定技能1号への移行が可能になります。

さらに、特定技能1号での実務経験を積み要件を満たすことで、より高度な「特定技能2号」への移行も見込めます。

この流れにより、日本で長期的なキャリアを築くことができ、日本での生活の安定も可能になります。

参考:育成就労制度の概要|厚生労働省

転職(転籍)の条件と支援

育成就労制度の大きな特徴の一つは、一定の条件を満たすことで転職(転籍)が可能になる点です

これは、技能実習制度では原則認められていなかった点であり、制度の柔軟性と人権保護の観点から高く評価されています。

転籍が認められる主な条件は、以下のようになっています。

育成就労制度においては、パワハラや暴力などの人権侵害を受けた場合等「やむを得ない事情」がある場合の転籍を認めるほか、一定の要件の下、本人の意向による転籍も認めることとしています。

当該一定の要件としては、

(1)転籍先の育成就労実施者の下で従事する業務が転籍元の育成就労実施者の下で従事していた業務と同一の業務区分であること

(2)転籍元の育成就労実施者の下で業務に従事していた期間が、育成就労産業分野ごとに1年以上2年以下の範囲内で定められる所定の期間を超えていること

(3)育成就労外国人の技能及び日本語能力が一定水準以上であること

(4)転籍先の育成就労実施者が適切と認められる一定の要件に適合していること

などがあり、その詳細については、今後主務省令等において具体化していく予定です。

引用:育成就労制度・特定技能制度Q&A Q23|出入国在留管理庁

日本語学習の重要性

育成就労制度では、入国時に求められる日本語の要件は以下のようになっています。

日本語能力に係る要件として、就労開始前に、日本語能力A1相当以上の試験(日本語能力試験N5等)の合格又はこれに相当する認定日本語教育機関等による日本語講習の受講が求められます。

なお、必要となる日本語能力レベルについては、技能実習制度における取扱いを踏まえ、育成就労産業分野ごとに、より高い水準とすることも可能とする予定です。

引用:育成就労制度・特定技能制度Q&A Q25|出入国在留管理庁

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企業が育成就労ビザを持つ人材を受け入れるメリット

パソコンの作業をしながらサムズアップをしている外国人社員

育成就労制度は、従来の技能実習制度で課題とされていた点を見直し、企業と外国人材の双方にとってより実効性のある人材育成と定着支援を目的とした制度です。

企業側にとって、以下のような明確な利点があります。

計画的・継続的な人材育成が可能

育成就労制度では、企業が作成する「育成計画」に基づいて人材を指導・育成します。

これは単なる労働力確保にとどまらず、将来の戦力として外国人材を育て上げるプロセスが制度的に保証されるということです

特定技能へのスムーズな移行が可能

育成期間終了後、所定の要件を満たせば「特定技能1号」に移行できます。

これにより、企業は育成コストをかけた人材を引き続き雇用でき、安定的かつ継続的な労働力確保が可能となります

制度の透明性と信頼性が向上

監理団体から「監理支援機関」へと制度が移行し、支援体制や責任が明確になる予定です。

そのため、コンプライアンスリスクが軽減され、企業の社会的信頼性も高まります

人権配慮と労働環境改善の後押し

転籍の自由や生活支援の制度化により、外国人材の人権や就労環境がより尊重されるようになり、健全な職場環境の整備につながることが期待されています

これらのメリットを活かすことで、企業は国際化・多様化する労働環境の中で、競争力を維持・強化することが可能になります。

育成就労制度の今後の展望と注意点

赤いピンが刺さったカレンダー

育成就労制度は、2024年に法改正が成立したばかりの新しい制度であり、今後の施行・運用に向けて段階的に制度設計が進められています。

ここでは、制度の施行スケジュールや今後の見直しの可能性、企業および外国人材が今から準備しておくべきポイントについて詳しく解説します。

制度が本格始動する前の今こそ、正確な情報をつかみ、適切な対応を進めるべき重要なタイミングです。

制度の施行時期と今後のスケジュール

育成就労制度は、2024年6月に成立した出入国管理及び難民認定法(入管法)の改正に基づいて導入されるもので、具体的な施行日は政令や省令によって定められる予定です。

現時点では、制度の一部運用開始に向けた準備が進行中であり、2027年に本格施行される見込みとされています

参考:育成就労制度の概要|厚生労働省

制度の見直しや変更の可能性

育成就労制度は新設制度であるため、実際の運用状況を踏まえた見直しや制度変更が今後発生する可能性が十分にあります。

たとえば以下のような点が、議論や調整の対象になると予測されます。

転籍条件のさらなる緩和または厳格化

労働市場の動向や悪質な受入れ事例の有無に応じて調整。

日本語能力の評価基準の詳細化

技能試験との統合やレベル設定の明確化。

監理支援機関の役割拡大または資格要件の見直し

支援の質の向上を目的とした制度強化。

対象業種の追加や制限の変更

産業ごとの人材需要や社会的影響に基づく見直し。

したがって、企業や支援機関、外国人材は、常に最新の法令や運用通知を確認し、制度変更に柔軟に対応できる体制を整えておくことが重要です

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育成就労ビザを活用し、持続可能な外国人材の未来を築こう

ガッツポーズをしている外国人社員たち

育成就労ビザは、技能実習制度の課題を克服し、外国人材の人権を尊重しながら、日本社会に必要な労働力を安定的に確保するための新しい制度です

育成、支援、キャリア移行という三つの柱を軸に、外国人材と企業の双方が長期的に成長できる仕組みとして設計されています。

外国人材にとっては、日本語能力の向上と制度理解が重要な準備要素であり、自らのキャリアビジョンを持つことが成功のカギとなります。

一方で企業は、受け入れ体制の整備や育成計画の実行、支援機関との連携を通じて、信頼される受け入れ先となる必要があります。

今後、制度の施行や見直しが進む中で、柔軟かつ正確な対応が求められます。

育成就労制度の本質を理解し、主体的に行動することが、双方にとって実りある未来を築く第一歩です。

今こそ、この制度をチャンスと捉え、前向きに準備を始めましょう。

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この記事を書いた人

三木 雅史(Masafumi Miki) 株式会社E-MAN会長
1973年兵庫県たつの市生まれ / 慶応義塾大学法学部法学科卒
・25歳で起業 / デジタルガレージ / 電通の孫請でシステム開発
・web通販事業を手掛ける
・2006年にオンライン英会話を日本で初めて事業化
・2019年外国人の日本語教育を簡単、安価にするため
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