特定技能の介護とは?外国人の受入れ要件や試験内容、メリットを解説

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特定技能の「介護」は、外国人が介護分野に就労できる在留資格です。特定技能の介護として仕事をするためにはどのような条件が定められているのでしょうか。

今回は特定技能の業務内容や試験の概要、雇用のメリットなどについて解説します。最後までぜひご覧ください。

目次

在留資格「特定技能」とは?

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特定技能とは、2019年4月に定められた在留資格です。

日本国内において十分な人材確保が困難であり深刻な人材不足に直面する12の特定産業分野で、外国人を労働者として受け入れるために創設されました。

日本の介護業界の現状

2021年7月9日に政府が発表した試算によると、2025年には団塊の世代が75歳以上となり、2025年までに約243万人、2040年までに約280万人の介護人材が必要であるとされています。

2019年度の介護職員数の比較によると、2025年度に約32万人、2040年度に約69万人の増加が必要な状況です。

また、介護を担う若い世代が減少傾向にあるため、介護人材不足は深刻な問題であり、迅速な対応が必要です。

介護人材を確保するためには、外国人労働者といった即戦力となる人材を採用することが求められます。

特定技能の介護は日本の介護産業の現状を改善し、今後の介護福祉サービスを明るく照らす制度として期待されています。

特定技能「介護」とは?

現在、特定技能1号では12の特定産業分野で就労が認められており、特定技能の「介護」は、12の特定産業分野のうちの1つです。

では、特定技能の介護にはどのような特徴や条件があるのでしょうか。詳しく解説します。

在留期間

特定技能1号の介護では、介護事業所で最長5年間就労することができます。そして、通常であれば、5年後には帰国することになります。

しかし、介護福祉士の国家試験に合格すれば、在留資格介護に変更し、永続的に働くことが可能です。

また、3年目までを修了した技能実習生は、特定技能1号に必要な試験が免除されます。

在留資格を特定技能1号に変更した場合、技能実習と特定技能をあわせて最長10年就労できます。

介護事業所受入れ人数の上限

介護事業所で受け入れることができる特定技能1号の外国人の人数は、事業所単位で日本人等の常勤介護職員の総数を上限とすることと定められています。

日本人「等」とは、下記の外国人労働者も含まれています。技能実習生やEPA介護福祉士候補者、留学生は含まれていないため、注意しましょう。

日本人等の常勤介護職員の定義

  • 介護福祉士国家試験に合格したEPA介護福祉士
  • 在留資格「介護」により在留する者
  • 永住者や日本人の配偶者など、身分や地位に基づく在留資格により在留する者

雇用の形態

特定技能外国人の雇用形態は、直接雇用に限られています。

アルバイトや派遣の雇用形態は認められていません。

業務内容

特定技能の介護で従事できる業務内容は、利用者の心身の状況に応じた入浴や食事、排せつの介助、レクリエーションの実施、機能訓練の補助などの訪問系サービス以外の業務です。

技能実習生が一人では従事できない夜勤や服薬介助も対応可能です。

特定技能「介護」の試験について

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特定技能1号の介護では、下記の3つの試験に合格する必要があります。

受験者は試験の概要や試験免除の要件を必ず確認しておきましょう。

また、ホームページにはサンプル問題なども掲載されています。学習の際に上手く活用してください。

【試験】

①技能試験:介護技能評価試験
②日本語試験:国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験N4以上
➂日本語試験:介護日本語評価試験

【試験免除の条件】

①介護職種の第2号技能実習を良好に修了した外国人
②介護福祉士養成施設を修了した外国人
③EPA介護福祉士候補者としての在留期間満了(4年間)の外国人

【試験の概要】

介護技能評価試験 介護日本語評価試験
試験内容 全45問 60分
(学科試験:40問)
・介護の基本(10問)
・こころとからだのしくみ(6問)
・コミュニケーション技術(4問)
・生活支援技術(20問)
(実技試験:5問)
・判断等試験等の形式による実技試験課題を出題
全15問 30分
・介護のことば(5問)
・介護の会話・声かけ(5問)
・介護の文書(5問)
試験水準 介護職種の第2号技能実習修了(3年間)相当の水準である介護技能実習評価試験と同等の水準※。
※介護業務の基盤となる能力や考え方等に基づき、利用者の心身の状況に応じた介護を自ら一定程度実践できるレベル。
介護現場で介護業務に従事する上で支障のない程度の水準

出典:厚生労働省

介護分野で働ける4つの在留資格

特定技能の介護以外にも介護職に従事できる在留資格がいくつかあります。1つずつ解説します。

在留資格「介護」

日本の介護福祉士養成校に通う外国人留学生は、卒業して介護福祉士を取得すると、「介護」という在留資格を取得することができます。

在留資格の「介護」は、介護福祉士資格を持つ唯一の資格です。業務内容に制限がなく、訪問系サービス業務にも従事できることが大きな特徴です。

養成学校在学時に介護関連施設でアルバイトを経験している外国人もいることから、即戦力になるとされています。

在留資格「介護」の在留期間は、本人が望む限り繰り返し更新でき、長期的な雇用が期待できます。

優れた日本語能力を持つこともポイントです。

養成学校の入学要件に日本語能力試験N2以上に合格または日本語教育機関で6カ月以上学習し、日本語試験でN2相当以上と確認できることが求められているため、日本語のスキルは申し分ないでしょう。

EPA(経済連携協定)雇用

EPA(経済連携協定)とは、日本と相手国の経済活動の連携強化を図るものです。

インドネシア、フィリピン、ベトナムの3カ国から外国人を受け入れています。

従事できる介護業務は「介護保険3施設、認知症グループホーム、特定施設、通所介護、通所リハビリテーション、認知症デイサービス、ショートステイ」です。

特定技能の介護と同様に訪問系サービスには制限があります。

介護福祉士の資格取得後は一定条件を満たした事業所での訪問系サービスも可能です。

日本語能力の要件については、インドネシアとフィリピンの外国人労働者は現地で6カ月研修後、日本語能力試験N5程度以上で入国でき、入国後は6カ月の研修を受けると介護事業所での就労が可能です。

ベトナムの外国人労働者は、現地で12カ月間の研修後、日本語能力試験N3以上の合格で入国できます。

入国後は、2.5カ月間の研修を受けてから介護事業所で就労することができます。

入国してから4年目に介護福祉士の国家試験を受験し、合格すれば在留期間を更新しながら永続的に働くことができます。

不合格の場合は、帰国しなくてはいけないので注意が必要です。

技能実習制度で技能実習生を雇用

外国人技能実習制度は、日本から諸外国への技能移転を目的としています。

外国人を日本の産業現場に一定期間受け入れ、OJTを通じて技能や技術などを学んでもらい、母国の経済の発展に役立ててもらうための制度です。

従事できる業務内容は、利用者の心身の状況に応じた入浴や食事、排せつの介助、レクリエーションの実施、機能訓練の補助などの訪問系サービス以外の業務です。

1人での夜勤は認められていません。

日本語能力の要件は、入国時に日本語能力試験N4程度が必要です。1年後はN3程度が要件となります。

入国1年後の試験に合格し、追加で2年、3年後の試験に合格すると2年の実習を受けることができます。

帰国後は、母国で介護業務に従事します。

受け入れ事業所の注意点

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特定技能の介護で外国人を受け入れる企業には、注意するポイントがあります。

詳しくみていきましょう。

受け入れ事業所の条件

特定技能外国人を受け入れる事業所には、条件を満たし、義務を遂行する必要があります。

下記に受け入れ基準や義務をまとめました。

【受け入れ基準】

  • 適切な雇用契約を行うこと
  • 受け入れ機関が適切であること
  • 外国人を支援する体制があること
  • 外国人を支援する計画が適切であること

出典:出入国在留管理庁

【受け入れ機関の義務】

  • 外国人と結んだ雇用契約を確実に履行すること
  • 外国人への支援を適切に実施すること
  • 出入国在留管理庁及びハローワークへの各種届出

出典:出入国在留管理庁

分野別特定技能協議会への登録

特定技能1号の「介護」で外国人を受け入れた企業や機関は、 受け入れた日から4カ月以内に、介護分野における特定技能協議会の構成員になることが必要です。

協議会は、分野所管省庁や受入れ機関、業界団体、その他関係省庁で構成されており、各地域の事業者が必要な特定技能外国人を受け入れられるように制度の周知や情報の収集、法令順守の啓発、地域ごとの人手不足の状況把握など必要な対応を行っています。

特定技能「介護」のメリット

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特定技能の介護にはいくつかのメリットとデメリットが考えられます。

メリットからみていきましょう。

採用活動のサポート

特定技能の外国人を採用する場合は、民間の外国人の人材紹介会社などを通して、採用活動が可能です。

行政書士などの申請書類の作成や提出のサポートや採用広告費用の削減、採用時の外国人労働者とのミスマッチの防止などのサービスを受けることができます。

人手不足の解消

特定技能の「介護」では、初年度から日本人等の常勤介護職員数と同じ人数を採用することができます。新しい事業所でも同様です。

開業時から多くの外国人労働者を採用したい企業や機関には大きなメリットです。

また、特定技能介護では、技能実習3年を修了した人材と介護技能が同じレベルであるため、下記のような一定期間の要件を満たせば、雇用後す ぐに人員配置に加えることができます。

【要件】

  • 外国人材と日本人職員が一体となって介護にあたること
  • 介護技術習得の機会の提供
  • 外国人材に対する日本語習得の機会の提供

上記のように、受け入れ施設では外国人労働者を適切にサポートし、ケアの安全性を確保する体制を整えることが大切です。

幅広い業務内容

介護分野の特定技能外国人労働者が訪問系サービス以外の幅広い業務に従事できることもメリットです。

利用者の心身の状況に応じた入浴や食事、排せつの介助などの身体介護やレクリエーションの実施、機能訓練の補助などを行うことができます。

また、日本人スタッフが通常実施しているお知らせなどの掲示物の管理や物品の補充などに従事することは問題ないとされています。

特定技能「介護」のデメリット

メリットがある反面、デメリットもいくつか考えられます。

デメリットを考慮して制度を活用しましょう。

雇用期間は最長5年

特定技能の介護で働く外国人の雇用期間は原則、最大5年です。

基本5年後は帰国しますが、介護福祉士の国家資格を取得し在留資格「介護」の変更手続きを行うと、永続的に仕事をすることができます。

転職が可能

特定技能の介護分野で働く外国人は、介護職種での転職活動が可能とされています。

外国人本人が職場を選ぶことができることを雇用する側は理解しておく必要があります。

より良い職場環境づくりや取り組み日頃からお互いを理解し良好な関係性を築いておくことが重要です。

特定技能「介護」で 外国人を雇用するために大切なこと

特定技能の介護で外国人と一緒に仕事をする際にどのようなことに気を付けたら良いのでしょうか。

良好に仕事をするコツをご紹介します。

生活面の支援

介護で外国人労働者が働いていくためには、生活環境を整えることが重要です。

住居の支援や職場までの交通手段の案内などの支援が大切になります。

さらに、外国人労働者が職場に定着し成長していくためには、現場での指導や教育も重要ですが、生活面も考慮し幅広い支援を心掛けましょう。

宗教や風習の違いを理解

外国人労働者は、母国の宗教を信仰していることが多いです。

日本人にはあまり馴染みのない習慣や文化を持っており、食事の制限やお祈りの時間、宗教行事の日の休暇などが必要なことも多くあります。

宗教や文化などをきちんと確認し、尊重することが大切です。

日本語学習

介護は対人サービスのため、日本語によるコミュニケーションが必要不可欠です。

利用者に不安や誤解を生まないように、外国人介護職員には必要なレベルの日本語を習得してもらいます。

外国人介護職員に対する利用者や利用者家族からの評価にもつながります。

日本語学習や日本語教室の開催など、適切な支援の実施を検討しましょう。

まとめ

今回は、特定技能の介護について解説しました。

特定技能の介護は、日本が直面している介護分野の人材不足を解消することを目的として、即戦力となる外国人を受け入れるために創設された制度です。

他の在留資格と比較してもメリットが多く、これからますます普及していくでしょう。

制度の詳細とメリットを把握して、介護の現場で特定技能外国人の受け入れを検討してみてください。

※記事内容は執筆時点の情報に基づきます。

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