フィリピン人人材を日本で雇用する場合に必要なMWO申請手続き。
申請が必要なのは理解できていても、英語での表記が多かったり、聞きなれない機関名が多かったりと流れが把握しにくいですよね。
この記事では、MWO申請の概要や手続きの流れを詳しく解説していきます。
気をつけるべきポイントを踏まえて申請に必要な期間や、スムーズに進めるためのコツも解説しているのでぜひ最後まで確認してみてください。
MWO申請の概要
まずはMWO申請とはどのような申請なのか、概要を大まかに確認していきましょう。
フィリピン政府は海外で働くフィリピン人の就労環境を守るため、一部の条件を除いて外国企業のフィリピン人直接雇用を禁止しています。
MWO申請の目的はフィリピン人人材を雇用する企業が、問題を抱えた企業ではないかを事前に精査することです。
MWOは日本以外でもさまざまな国で活動しており、フィリピン人人材が適正な雇用環境で働けるよう、受け入れ企業の精査や就労者の労働実態の聞き取りをおこなっています。
日本の企業がフィリピン人を雇用する前には、必ず一度MWOに登録申請をして、MWOを統括しているDMWの登録企業として認定される必要があります。
ただこの申請はフィリピン政府のルールに準じて進める必要があり、企業側にとって手続きの流れが混乱しやすいシステムと感じてしまう部分も多いようです。
またMWO申請は基本的に一度承認されてしまえば、そのあと新しく従業員を雇用する場合には申請は必要ありません。
POLOやMWO・送出機関っていったい何?
MWOの申請手続きの流れを確認する前に、手続きの流れの中ででてくる機関名について確認しておきましょう。
MWOは2021年に組織名を変更したこともあり、旧組織名での情報もまだ多く存在しています。
そのため各機関の名称や役割を事前に簡単に把握しておくと、この後に説明する手続きの流れがよりわかりやすくなるでしょう。
ここでは以下の3つの組織について紹介していきます。
MWO(旧POLO) | DMWの出先機関で各国の受け入れ企業の審査や労働実態を精査する組織。 |
DMW(旧POEA) | フィリピン移住労働者省。 海外労働者の保護や医療その他必要手続きを行う政府機関。 |
送出機関 | DMWに認定された、現地での人材の募集・採用を行う機関。 労働者の募集や採用は原則送出機関を通して実施する必要がある。 |
MWO
正式名称をMigrant Workers Officeと言い、フィリピン移住労働省の出先機関として、日本以外にもさまざまな国と地域に設置されています。
MWO申請はMWOを統括するDMWに受け入れ企業として認定を受ける手続きの総称です。
現在日本にはMWOの事務所が下記の2ヶ所にあります。
MWO東京 | 東京都港区六本木5-15-5 フィリピン大使館 移住労働者事務所 |
MWO大阪 | 大阪府中央区淡路町4-3-5 アーバンセンター御堂筋7階 在大阪フィリピン共和国総領事館 移住労働者事務 |
MWOの日本事務所とのやり取りに関しても、基本的に全て英語で行う必要があります。
DMW
DMWはDepartment of Migration Workersの略称で、フィリピンの政府機関の1つです。
2022年にPOEAを含むフィリピン人の国外労働に関する、複数の窓口を一本化する目的で設立されました。
MWOへの申請も最終的にはこのDMWに承認を得る必要があります。
またフィリピン人の労働者を雇用する際に必要な、OEC(海外雇用許可証)の発行もこのDMWによって行われます。
送出機関
送出機関はフィリピン現地で、受け入れ企業の条件にあった人材を募集し、日本の受け入れ企業に送り出す機関です。
送出機関はフィリピン政府に認定されている機関の中から、自由に選び契約をすることができます。
機関ごとに料金体系や契約内容も異なるので、各企業にあった送出機関の選定が必要です。
日本語での対応ができる送出機関は限られているので、そのような点も考慮して選定するとよいでしょう。
政府に認定されている送出機関一覧は、下記のサイトから確認することができます。
MWO申請の流れや手続きの注意点
それではここまで確認した情報を基に、実際の手続きの流れを確認していきましょう。
MWOの申請手続きが完了した後の手続きもあわせて紹介しますので、参考にしてみてください。
また各手続きに関して注意したいポイントについても触れていきます。
MWO申請手続きの手順と気をつけておきたいポイント
MWO申請手続きはフィリピン政府側が重視するポイントを、いかにうまく押さえていけるかが短期間で申請を完了させられるコツです。
送出機関の選定・募集取り決めを締結
MWO申請で最初に決めなければならないのが送出機関です。
送出機関を選定した後は、送出機関と共に募集内容の取り決めの内容を決めます。
募集取り決めが締結できたら、取り決め内容を公証役場にて公証を受ける手続きが必要です。
※公証には公証費用11,000円が必要になります。
注意点としては送出機関のほとんどが日本語での対応をしていません。
日本語対応機関を自身で探すか、申請サポートなどを利用して提携している送出機関を紹介してもらうのがよいでしょう。
MWOへの提出書類の準備および提出
募集取り決めを締結したら、必要書類を東京もしくは大阪のMWO事務所に送付します。
書類は全て英語で記入が必要です。
また郵送の際の宛名なども英語で記入して送る必要があるので注意しましょう。
必要書類はMWOのホームページに記載されており、書式も全てダウンロード可能となっています。
必要書類に含まれるものは以下のような内容はとなっています。
書類名(英語) | 日本語内容 |
---|---|
Accomplished MWO Application Form | MWO申請書 |
Copy of Business License/Permit | 営業許可書の写しと翻訳された書類 |
Company Profile | 会社情報 |
Company Registration | 登記簿謄本 |
Copy of Business Permit | 営業許可書の写しと翻訳された書類 |
Payment receipt | 納税証明書の写しと翻訳された書類(個人事業主の場合) |
List of tasks, duties, and responsibilities | 業務・義務・責任者の一覧 |
Occupational category to be performed by Filipinos with Specified Skills | 特定技能者の仕事内容 |
Recruitment Agreement | フィリピン送出機関との協定書 |
Copy of the valid POEA license of the Sending Organization | 送出機関の営業許可書の写し |
Identification page of the Passport of the owner of the Sending Organization, and the authorized representative of the Accepting Organization | 受入れ機関・送出機関それぞれの代表のパスポートの写し |
Manpower Request/Job Order | 人員要請および職務命令 |
Master Employment Contract, Written Employment Conditions, and Payment of Wages | 基本雇用契約・雇用条件書・賃金の支払いに関する書面 |
Salary Scheme | 給与制度 |
Official Standard Salary Scale of Company with Company Seal/Hanko | 社印・はんこ付き会社公式標準給与表 |
Company Brochure/Pamphlets/Flyers | 会社のパンフレット |
書類は雇用対象によっても若干異なるので、状況に応じて書類を用意していく必要があります。
MWOのホームページからダウンロードできるフォーマットには、日本語で各項目の説明が記載されているので参考にしてみてください。
審査は基本的に15日営業日以内に返信があり、不備がある場合には再度修正した書類を提出します。
MWOでの面接
書類審査に通過したあとは、MWOオフィスでの面接を行う場合があります。
面接は受け入れ企業の役員以上の役職者が受ける必要があり、通訳以外の第三者の帯同や、代理面接は認められていません。
面接を受けるにはMWOの東京もしくは、大阪のいずれかにいく必要があります。
MWOが必要と判断した場合には、受け入れ企業の実地調査が実施される場合もあるようです。
質問内容は提出した書類で記載した内容に誤りがないかの確認がメインになります。
その他にも、外国人人材とコミュニケーションがとれる環境が用意されているのか、といった点に関する質問があるようです。
DMWへの登録
面接を通過できたら、DMWへの登録手続きが必要です。
審査通過後にMWOから承認印がおされた提出書類一式と、推薦状が受け入れ企業に届きます。
これらの書類は送出機関を通してDMWに提出することで登録が完了です。
DMWで登録が完了すると、改めて送出機関を通じてDMWが認証印を押した書類が返送されてきます。
登録完了した後からフィリピン人人材の採用活動を進めることができるようになります。
申請後の流れ
ここまででMWOの申請手続きは完了になります。
ここからは現地人の採用を決めた後の流れを簡単に確認しておきましょう。
採用後はDMWの申請手続きに比べると、受け入れ企業側が実施する作業の量は大幅に軽減されます。
在留資格認定証明書の交付申請
受け入れ企業は在留資格認定証明書の公付申請が必要です。
交付申請は地方出入国在留管理官署に対して行い、発行した証明書を送り出し機関へ送付します。
書類を受け取った送り出し機関は、フィリピンの日本大使館に書類を提出して特定技能や技能実習など入国に関わる査証の発給申請手続きを行います。
オリエンテーション受講・健康診断受診
発給手続きを終えた被雇用者は、フィリピンの海外労働者福祉庁の実施するオリエンテーションの受講が義務づけられています。
またオリエンテーション受講の前後で、送出機関を通じて健康診断の受診も必要です。
オリエンテーションと健康診断の手続きは、同時に行うことができます。
OECの発行および渡航
ここまでの全ての工程が完了したら被雇用者は、OEC(海外雇用許可証)の発行を送出機関を通して行います。
OECはフィリピン側で必要な手続きを被雇用者が全て完了していることを示す書類です。
OECを取得したら、被雇用者は出国し就労を開始できます。
フィリピン人雇用や申請に関するよくある疑問点
ここまでMWO申請の手続きの流れを確認してきました。
実際に手続きの流れを1つひとつ追っていくと、かなり量が多くわかりづらい部分も多いですよね。
ここからはフィリピンのMWO申請に関するよくある質問に回答していきます。
フィリピン人人材の雇用にMWO申請は必須ですか?
フィリピン政府は基本的にフィリピン人人材を直接雇用することを禁止しています。
そのため基本的にフィリピン人人材を雇用する場合には、MWO申請の承認を得ることは必須条件の1つです。
しかし、一部の条件に合致する人材に関しては、直接雇用が最大5名まで認められています。
直接雇用できる人材の条件に関しては以下のような内容があげられています。
- 業種・職種は高度技術・専門職であること(管理職、エンジニア、研究職等)
- 採用候補者は大学または大学院卒業で相応な学力その職種での就業経験
また人材側だけでなく、企業側にも一定の条件が求められています。
また、永住者や日本人の配偶者等、いわゆる身分系在留資格を持っている場合や、企業内転勤のばあいでも申請はいりません。
その一方で転職者を雇用する場合には、MWOの申請が必要になりますので注意しましょう。
MWOの申請は送出機関に委託できますか?
送出機関は基本的に現地での採用活動や、採用後のサポートを行う機関となっています。
そのためMWO申請に関するサポートは基本的に行っていません。
一方でMWO申請サポートをしている業者は、送出機関の選定も含めて対応しているのが一般的です。
送出機関は採用後の人材のアフターケアなども行うため、受け入れ企業にとって重要なパートナーでもあります。
そのため、送出機関の選定はしっかりと行うようにしましょう。
どの手続きで英語が必要になりますか?
MWO申請手続きは、基本的に全ての工程を英語での手続きが必要になります。
公証役場での公証手続きなどはもちろん日本語でできますが、その他書類の作成や面接などは全て英語です。
ただ全てを英語で記載するだけでなく、申請が承認を得るためのポイントを抑えた書類作成が必要になるので複数回トライするつもりで作成した方がよいでしょう。
書類作成以外にも、書類の郵送先などの記載も英語で記入する必要があるので注意してください。
MWO申請をスムーズに進めるためのポイント
フィリピン人人材を確保するために必要なMWO申請ですが、できるだけ短時間で労力を少なくすすめたいですよね。
実際にMWO申請にかかる期間などについても確認しながら、スムーズに申請を進めるためのポイントを確認していきましょう。
実際に要する期間は?
MWO申請は最短でも3ヶ月程度に期間を要する手続きです。
実際3ヶ月で全ての書類作成や、審査を終えるにはかなりの労力が必要になります。
また面接は東京・大阪で行わなければならないなど、場所的な制約も大きいので遠方の企業の場合には、さらに日数が必要になる可能性が高いです。
MWO申請は申請が却下されてしまっても、何度でも再申請できるシステムとなっています。
そのため時間をかければほぼ確実に承認を得ることができるでしょう。
しかし、採用活動はその間停滞してしまい、実際に就労が開始できるのはさらに遅くなってしまう可能性も少なくありません。
申請サポートに外注する
MWO申請をできる限りスムーズにするには、MWOの申請支援をしているプロに相談するのがおすすめです。
申請サポートは公証役場での手続きの代行、送出機関の選定、面接時の通訳紹介など全てまとめて対応してくれます。
また最も時間のかかる書類の作成も、ポイントを抑えながら日本語で記入すれば、全て専門の翻訳者によって翻訳しれくれるなど、ほとんどの工程で負担を大幅に軽減できます。
その間、採用担当者は採用の準備を進めることで、実際の就労開始までの期間も短縮可能です。
MWOサポートは基本的に一度承認されてしまえば、再度申請する必要はありません。
そのため、受け入れ企業の社員が申請に関する手続きを熟知してもメリットが少ないとも言えるでしょう。
申請サポートは10~15万円程度の場所も多いので、スムーズに申請手続きを進めたい方はぜひサポートサービスの利用を検討してみてください。
まとめ
MWO申請はフィリピン政府が自国の労働者を守るために行っている制度なので、基本的に手続きは全て英語です。
MWO申請サポートでは約10万~25万ほどの料金で、英語が苦手な方やMWO申請に時間をかけたくない方に向けて、円滑なMWO申請を行うためのサービスを展開しています。
MWO申請に必要な作業(外国人への書類の説明、申請書作成、各機関とのメールのやり取り、翻訳者サイン欄の作成、MWOへの郵送など)は大変な手間がかかります。申請に慣れている方でも完了するまでに約60時間かかるそうです。
しかし、MWO申請サポートでを利用することで、書類作成から面接における日本語サポートまで、通常60日かかる手続きを最短3日で完了させることが可能です。
日々の仕事と並行してMWOの手続きを行うのは大変な労力ですが、ノウハウのある専門家を頼ることで、スピーディーでストレスのない、確実な手続きを行えます。
また、政府ライセンスのある正規の送り出し機関と提携を結んでいるため、すぐに信頼できる送り出し機関を紹介することも可能です。ぜひ利用を検討してください。