日本語能力試験(JLPT)は、日本語を学ぶ外国人学習者にとって、日本語の理解度を客観的に評価できる重要な資格試験です。
N5は、JLPTの中でも一番易しいレベルとされており、はじめて学習する方にとって最適な目標と言えます。
合格するためには、基本的な単語や文法をしっかり身につけることがポイントです。
この記事では、N5に必要な語彙(vocabulary)を効果的に学ぶ方法や便利なオンラインツール、無料リソースの活用法などについて解説します。
はじめに
日本語を学び始めたばかりの皆さん、「日本語能力試験(JLPT)」という名前を耳にしたことはありますか?
自分の日本語スキルを証明するための公式試験として人気があり、多くの学習者が到達レベルを目標にしています。
JLPTのレベルはN5からN1までの5段階に分かれており、N5が一番初歩的なレベルです。
N5レベルの試験は、日常会話で必要となる簡単な単語や表現が中心で、日本語の勉強を始めたばかりの方にとって達成しやすい目標となります。
また、N5に合格すると、日本語の基本的なスキルを身につけた証明となり、自信にもつながります。
必要な単語を効率よく学習し、ぜひ合格を目指しましょう。
N5合格に向けた語彙力アップのポイント
JLPT N5は、日本語能力試験の中で一番やさしいレベルで、主に基本的な日本語の語彙と文法、日常会話について出題されます。
N5で必要とされる語彙数は約800語程度です。
ここでいう語彙とは、N5合格に必要な単語の数と考えてよいでしょう。
これらの単語は、日常生活や基本的なコミュニケーションでよく使われる動詞や名詞が中心です。
例えば「行く」「見る」「食べる」など、実用的で理解しやすい単語ばかりです。
また、このレベルでは、簡単な挨拶や自己紹介に使う単語に加え、時間や場所を表す基本的な言葉が、数多く問題に使用されてます。
JLPT N5合格を目指す際、まずはこの約800語をしっかり覚えることが重要です。
この約800語を効率よく覚えるポイント四つに関して、詳しく解説します。
➢ 試験によく出る単語から優先的に覚える
まずは、JLPT N5でよく出る基本の単語から学び始めましょう。
JLPT公式サイトや電子書籍、各種学習サイトのホームページでは、N5向けの語彙リストや例文が掲載されています。
このようなリストは、受験生が効率的に必要な単語を覚えられるように整理されており、よく出る単語がランキング形式やテーマ別にまとめられています。
例えば、品詞で分けたり同じカテゴリーのことばで分けられているものも多くあります。
- 品詞:名詞、動詞、形容詞など
- スポーツ:サッカー、野球、水泳など
また、日本語学習サイトには、日本語能力試験のレベルごとに語彙リストが一覧として表示されているものもありますので、うまく活用してみましょう。
例えば、以下は日本語カフェのN5 語彙リストです。
ファイルをダウンロードして、部屋に貼ったりクリアファイルに入れたりして活用できるツールです。
➢ 例文と一緒に学ぶ
単語の意味を暗記するだけでなく、例文を使って使い方を理解することが大切です。
例えば、「読む」という言葉を覚える場合、「本を読む」や「新聞を読む」という例文と一緒に学びましょう。
これにより、実際の会話で単語を使えるようになります。
多くの日本語学習アプリやオンラインツールは、例文とともに単語を表示する機能があるため、こうした機能を活用して効率的に学習しましょう。
➢ フラッシュカードや視覚教材を利用する
単語の暗記に効果的な方法として、フラッシュカードや視覚教材の利用があります。
初心者にとって、絵やイラストが付いている教材は覚えるのに役立ちます。
例えば「カメラ」という単語のカードには、カタカナの「カメラ」という表記と発音、カメラの絵や写真が出ていると非常にわかりやすいですね。
紙のフラッシュカードやアプリで提供されているデジタルフラッシュカードを活用して、スキマ時間に見ることで単語を記憶に定着させましょう。
➢ 無料で利用できる語彙学習アプリを活用する
最近では、無料でダウンロードできる日本語学習アプリが多くあります。
例えば、AnkiやQuizletなどは、ユーザーが登録してオリジナルの単語カードを作成し、効率的に語彙を学習することが可能です。
また、他の学習者が作成したJLPT N5用の語彙カードをダウンロードして学ぶこともできます。
上記のポイントに加えて、日本語の単語を日常生活の中で効率よく学びたい方は、以下の方法もできる範囲で取り入れてみてください。
これらはどれも難しいことではありませんが、毎日続けると、さらに語彙力をアップしてくれることでしょう。
音読を習慣にする
単語を学ぶ際は、声に出して発音することも効果的です。
音読により、単語の発音やイントネーションに慣れ、記憶に残りやすくなります。
特に、リスニングで聞いた単語を声に出して発音することで、理解力が高まります。
自分で単語帳や学習ノートを作る
自分で単語帳や学習ノートを作ることも有効です。
単語帳には、単語とその意味、例文などを書き込み、空いた時間に見返しましょう。
ノートにまとめることで、自分だけのリソースとして学びを深められます。
おすすめの日本語単語帳と学習法
単語を効率よく覚えるには、専用の単語帳やアプリを活用するのも効果的です。
専用のものであれば、覚えやすい絵や例文などが一緒に入っていることもあります。
時間を有効に活用したい場合は、ぜひ検討してみてください。
また、選んだ学習ツールをどのように使うかも重要です。
以下を参考に自分の好みのツールを選択しましょう。
➢ 電子書籍 vs 紙の本
最近は、日本語学習用の電子書籍も充実しています。
電子書籍のメリットは、スマートフォンやタブレットでいつでもどこでも学習できる点です。
一方で、紙の本は書き込みができるため、手を動かしながら覚えたい方には最適です。
どちらか一方ではなく、両方の良い点を取り入れて学習するとよいでしょう。
➢ JLPT対策アプリやツールの使い方
スマホアプリは、手軽に反復学習ができるため、単語や漢字の暗記に最適です。
例えば「JLPT test N1-N5-Migii」「Anki」「Quizlet」などのアプリでは、カード形式で単語を覚えることができます。
また、日本語カフェでも、語彙の学習コンテンツを提供しています。
eラーニング学習ですので、在宅・カフェなどでも学習できるツールです。
勉強を継続するためのポイント
語学学習は続けることが大切です。
そのためには、続けやすい環境を整備し達成感を得ることも大変重要です。
ここでは、モチベーションを維持しながら日本語学習を続けるためのポイントを二つ紹介します。
➢ 日常生活で使える日本語学習法
日本語の単語を単に覚えるだけでなく、実際に使ってみることが大切です。
例えば、
- 日記を書く時に、最近学習した単語を使う
- お店で店員さんに質問してみる
など、実生活に学習を組み込むと記憶が定着しやすくなります。
また、買い物をする時に商品名を日本語で思い浮かべるのも良い練習になります。
➢ リスニングやリーディングと一緒に学習
単語を覚える場合には、リスニングやリーディングと一緒に学習するとより効果的です。
最初は、単語のみで学習しましょう。一語ずつの音を聞いて自分で発音し、次に発音しながらその単語を書きます。
その後、自分で書いた単語を読むというように、「聞く→発声→書く→読む」を繰り返すことにより、単語は記憶の中に定着しやすくなります。
しかし、単語だけの学習では、日常生活の中でどのようにその言葉が使われているかが分かりにくいものです。
学習した単語がどのように使われているのかを自分で確認できると更に楽しく学習できるでしょう。
例えば、リスニングでは実際に日本語のアニメやドラマ、音楽などを注意して聞いてみましょう。
学習した単語が文章の中でどのように発音され、アクセントがおかれているのかが分かります。
リーディングの場合は、簡単な日本語の物語・ブログ記事・ニュース記事などを読むと実際の文章中での使い方についての理解が深まります。
このようにリスニングやリーディングを一緒に学習すると、単語学習を単調な暗記としてではなく、実用的な学びとして積極的に取り組めるようになるでしょう。
実際の学習スケジュールの立て方
試験に合格できるだけの語彙力を実現するには、計画的な学習スケジュールを立てることが重要です。
一気にたくさん覚えようとするのではなく、少しずつ定期的に進めることで、記憶に定着しやすくなります。
今回は最速3ヶ月間で語彙力を伸ばしつつ、N5語彙マスター学習スケジュール例を紹介しますので、参考にしてください。
手帳やスマホのカレンダー機能に予定を入れておくと良いでしょう。
(N5語彙マスター学習スケジュール例) | ||
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時期 | 目標 | やるべきこと |
1ヶ月目 | 基礎作り | ①語彙リストの取得と整理 まずは、JLPT N5向けの語彙リストを準備しましょう。 日本語学習アプリや電子書籍、ウェブサイトで配布されているN5 語彙リストを利用して、よく使われる単語をカテゴリー別に整理します。 リストを使って「人」「場所」「動詞」「形容詞」といったカテゴリーごとに分けて学習すると、視覚的にも覚えやすくなります。 |
②毎日20〜30分の学習を習慣化 言語学習では、短時間集中・毎日継続学習することが効果的です。 毎日ほんの少しでも学習を進め、1週間ごとに進捗を確認していきます。 最初の月は基礎単語とその意味を覚えることに集中します。 例文を使って簡単な使い方を理解しておくことも忘れないでください。 | ||
2ヶ月目 | 復習と応用 | ①覚えた単語の復習と実践練習 1ヶ月目で学習した単語を使いながら、応用的に文を組み立てる練習を進めます。 (例) 覚えた単語を使って簡単な日記を書く フラッシュカードアプリで例文に単語をあてはめてみるなどの練習も効果的です。 この時に、日常的に使う単語で文を構成すると、記憶に残りやすくなります。 |
②リスニングを取り入れる リスニングで基礎単語を聞き取り、音声に慣れることも大切です。 デジタル教材や学習アプリの音声付き教材を活用し、耳で単語や文法の使い方に慣れましょう。 視覚で覚える語彙学習と音声を組み合わせることで、理解が深まります。 | ||
3ヶ月目 | 総仕上げ | ①模擬試験やクイズ形式のアプリを利用 最後の月は、今まで覚えた単語を確認しつつ、模擬試験やクイズ形式の問題を利用して総復習を行います。 JLPT形式の模試を実施することで、実際の試験の流れや出題傾向に慣れておきましょう。 問題を解いた後、間違った部分を確認し、弱点を補強します。 |
②総合的な理解と仕上げ これまで学んだ語彙や文法、リスニングの内容を総合的に確認し、最終的な理解を深めます。 eラーニングツールやリソースを活用して自分のペースで進め、全体の理解を固めてから試験に臨むと安心です。 |
日本語カフェのeラーニングおすすめポイント
さて、語彙学習の方法はいろいろありますが、ここで日本語カフェeラーニング『JLPT N5コースの語彙学習』のおすすめポイントを紹介しましょう。
eラーニングですので在宅学習はもちろん、カフェやちょっとしたスキマ時間にもビジュアル付きの学習が可能です。
多言語対応しているので学びやすい学習環境を整えられるでしょう。
(画像元:日本語カフェeラーニング)
大人の語学学習に最適な母国語の語彙を生かした動画パターンがあります
子どもとは違い、大人は母国語に関しての豊富な知識や語彙力をすでに持っています。
それをうまく生かせるのが、日本語カフェの語彙学習の動画でしょう。
英語を含めた13の言語から選んで学習できるので、母国語で意味を理解しつつ学習を進められます。
また、単語の意味にふさわしい絵や写真も入っているので、イメージしやすいのもいいですね。
ひとつの動画が5~6分程度だから、スキマ時間を活用できます
一つの動画が5〜6分のため、限られた時間で学習しなければいけない大人の学習にぴったりです。
スキマ時間に動画を見て、日常生活で使いながら覚えるという方法なら、無理なく学習できるはずです。
たくさんのワークシートが用意されているので、しっかり練習できます
動画に連動したワークシートもたくさん用意されています。
なぞり書きもできるので、ひらがなやカタカナも一緒に練習できて一石二鳥です。
品詞(名詞、動詞、形容詞など)ごとのワークシートもあるので、学習の状況に合わせてワークシートを選べます。
学習の進捗をオンラインで管理できます
各解説・字幕ごとに、eラーニング上で自分の学習状況を把握できます。
この機能によって、お仕事をしている外国人の場合でも、効果的な学習計画を立てられるのではないでしょうか。
また、この学習進捗状況は、講師からも確認できますので、学習者の進捗具合に応じて、適切な指導も受けられます。
よくある質問(FAQ)
まとめ
N5レベルの約800語をマスターすることは、日本語学習の大切な一歩です。
語彙力は様々な学習方法を組み合わせて継続的に学習すれば、効果的かつ楽しく伸ばせます。
さらに、日本の文化や社会に興味を持つことで、学習のモチベーションを高めることもできます。
日本の音楽、アニメ、映画、料理など、自分の興味のある分野と関連付けて語彙学習を進めると、より楽しく学べるでしょう。
もしかすると、気づいたら1,000語覚えていたということもあるかもしれませんね。
日本語を学び始めたばかりの外国人にとって、N5語彙約800語の習得は決して簡単ではありませんが、達成可能な目標です。
この記事で紹介した方法を参考に、自分に合った学習スタイルを見つけ、楽しみながら日本語の世界を広げていってください。
スタートラインに立ったばかりの日本語学習の旅、次はN4・N3へとマイルストーンを置いて楽しみながら進みましょう!