日本語を教える際に、会話練習のテーマで悩む先生も多いのではないでしょうか。
フリートークをする際には、日本語学習者のレベルに応じたテーマを用意すると、学習をより効果的に進められます。
この記事では、日本語教師が生徒とフリートーク練習をする際のテーマについて紹介します。
初級者から上級者まで使える具体的な方法や、オンラインでもオフラインでも行える練習方法についても解説するので、ぜひ内容を確認してみてください。
日本語の会話練習:フリートーク練習の効果
フリートーク練習は、「学んだ日本語をたくさん使うこと」と「会話の中で自然な日本語を使う練習をすること」を目的としています。
決められた文章を話すのではなく自分で文章を組み立てて話すことで、日本語力を上げることが可能です。
教科書などを使用した学習では、説明に学習する人の第1言語や英語を使用する場合が多く、日本語以外の言語を使用する機会があります。
一方、フリートークでは日本語のみを使用して講師と会話をするので、日本語に対する瞬発力を身につけられます。
フリートークを授業に取り入れることは、インプットした日本語の知識をアウトプットする練習として重要です。
実際にコミュニケーションを取る中で日本語を使うので、実用的な日本語を身につけられるでしょう。
日本語初級者向け 会話練習のテーマ
日本語の初級者にフリートーク練習を行う際は、簡単な自己紹介や日常会話のテーマがおすすめです。
テーマの詳細や授業の進め方について、詳細を確認していきましょう。
簡単な自己紹介や日常会話のテーマ
初級者には簡単な自己紹介や日常会話のテーマで練習を行って、フリートークに慣れさせましょう。
自分のことや日常会話は内容が簡単で話しやすいので、初級者の会話力を上げるのにおすすめです。
自己紹介を練習する際には、学習者の趣味や仕事、好きなことなどについて、教師から質問すると良いでしょう。
自分自身について話す機会を設けることで、楽しい授業を提供できます。
日常会話では、商品を買う場面や道を聞くシーン、時間を尋ねるシーンなどをテーマとして用意しておくと良いでしょう。
日常に実際にあるシーンや日本への旅行などを想像しながら会話練習ができるので、実用性を感じやすい授業になります。
基本的な質問と回答の練習
初級者とフリートーク練習を行う際は、基本的な質問に対して回答させることを意識しましょう。
自分の言いたいことを1から日本語でうまく表現することは、初級者にとって難しいので、教師が具体的に質問してリードすることが必要です。
質問する時は「何」や「どんな」「どこ」「なぜ」という質問の仕方をすれば、学習者の発話量を上げられます。
「あなたの家族について教えてください。」など、身の回りのことや学習者の経験、実際に見たことなどを質問すれば答えやすくなります。
初心者におすすめ!フリートークの会話練習のテーマ20選
- あなたの趣味は何ですか?
- 最近どこか旅行に行きましたか?
- 一番好きな食べ物は何ですか?
- 苦手な食べ物はありますか?
- 最近観た映画やドラマで面白かったものはありますか?
- 日本の文化で驚いたことは何ですか?
- 日本で行ってみたい場所はどこですか?
- 一番好きな季節は何ですか?
- 家族との楽しい思い出を教えてください。
- あなたの将来の夢は何ですか?
- 日本に来てどんな体験をしましたか?
- 好きな音楽のジャンルは何ですか?
- 好きなアーティストは誰ですか?
- どこに住んでいますか?
- アルバイトや仕事をしたことがありますか?
- スポーツをするのは好きですか?
- 最近読んだ本や漫画でおすすめはありますか?
- 将来、どんな場所に住みたいですか?
- 特技は何かありますか?
- 今までに習い事をしたことがありますか?
日本語中級者の会話練習のテーマ
中級者は、日本語を話すことに慣れてきた頃です。
ペアワークやグループディスカッションを通して意見交換ができるテーマを選びましょう。
意見交換ができるテーマを選ぶ
意見交換ができるテーマを選ぶことで、学習者は日本語でも自分の意見を言えるようになります。
簡単な質問に答えるだけでなく自分の意見も言えるようになれば、様々な場面で日本語を使えるようになるでしょう。
意見交換ができるテーマには、社会問題や映画のレビューなどが挙げられます。
ニュースや映画の主題には関連するテーマが多くあるので、話を広げやすいです。
ペアワークやグループディスカッションの導入
意見交換をする際は、ペアワークやグループディスカッションを導入することで、効果的な授業ができます。
意見交換ではそれぞれの意見を伝えるために相互のコミュニケーションが必要となるので、ペアや少人数のグループを作ることは、生徒同士の意見交流に最適です。
1人で話すだけでなく相手と意見を交わすことで、表現の幅を広げることもできるでしょう。
同じ意見を言う場合でも使う単語や論調が異なるので、相手の表現を聞く中で自分が使っていない表現に気づけます。
日本語上級者のための発展的なテーマ
上級者には、発展的なフリートーク練習がおすすめです。
これまでに学習した表現や単語をフル活用して、自分の意見を発表するように促しましょう。
ディベートや長時間のトーク練習で、より高度な会話力を身につけられます。
ディベート形式の練習
上級者のトーク練習として、ディベート形式の練習は発言力を向上させるのに一番効果的です。
ディベートでは、1つのテーマに対して異なる意見を持つグループに分かれて議論します。
物事を分かりやすく伝える能力が必要とされるため、日本語上級者が自分の意見を相手に伝える練習に最適です。
ディベート形式の練習をする際には、テーマ決めが重要です。
今世間で取り上げられている問題でどちらの意見も正しいトピックを選べば、生徒が意見を持っている場合が多く議論が進みやすくなります。
長時間のトーク練習
長時間のトーク練習も、上級者の会話練習におすすめです。
連続的に話を進めることで、日本語の会話力を上げられます。
テーマを決める際には、長時間話しやすいように学習者の特に興味のあるテーマを選びましょう。
自分の国や文化についてなど、会話を広げやすいテーマを選ぶことで長時間話しやすくなります。
日本語のフリートーク練習に必要な教材と準備
フリートーク練習を行う際はトピック集などの教材を準備して、授業前にテーマを決めておきましょう。
フリートークのテーマ選びにおすすめの本は、以下の3つです。
日本語 おしゃべりのたね
『日本語おしゃべりのたね』は、日本語教室で学ぶ学習者が、楽しくおしゃべりをしながら日本語を学ぶためのテキストです。
会話のネタが60個以上掲載されており、初級レベルの学習者にもおすすめです。
会話に挑戦!日本語ロールプレイ
実際の生活で遭遇する場面を取り上げた、中級者向けのロールプレイ集です。
学習者が自ら表現を考えて、コミュニケーション能力を高めることを目的としています。
日本語生中継
日常会話のリスニングとスピーキング能力を同時に高めることを目的とした教材です。
リアルな会話を再現した音声を通じて、時代に即したトピックや語彙を学習できます。
教材以外にも、SNSやネット検索などでトピックを選べます。
ネット検索したり、フリートークの話題が載っているサイトを参考にしたりして、会話テーマを決めましょう。
日本語の会話練習を楽しくするコツと注意点
フリートーク練習をする際には、コツをおさえて楽しい授業を心がけましょう。
フリートークを授業に取り入れる際の注意点も一緒に解説していきます。
楽しさを重視したトピック選び
フリートーク練習では、楽しさを重視したトピック選びが重要です。
楽しさを大切にすればあっという間に授業が終わり、生徒は飽きずに会話練習ができます。
フリートークがメインの授業では、文法の学習はストップして会話に集中することで、生徒が楽しく授業を受けられます。
本を読むことではなく、会話を楽しむことを大切にしましょう。
教師が気を付けるべきポイント
フリートークの授業をする際に教師が気を付けるポイントには、以下の2つがあります。
- 学習者の年齢やスキルに合わせた対応
- 個々の悩みに寄り添う教え方
例えば、学習者が子供の場合と大人の場合で話し方やトピックを変えることが必要です。
初級者には、単文や意味を中心とした意味が分かりやすいシンプルな話し方を心がけ、上級者になるにつれて、日本人が普段使う複雑な構造の文を使うようにしましょう。
また、生徒によって授業に求めている内容が異なります。
一人ひとりのニーズを聞いて悩みに寄り添う姿勢を見せることで、生徒は教師を信頼できると思います。
困っていることの相談やレッスンについての問い合わせがあったときは、積極的に生徒のニーズを聞くようにしましょう。
日本語の会話練習のテーマまとめ
今回の記事では、日本語学習における会話練習について解説しました。
日本語の会話練習としてフリートークを取り入れることで、生徒がより実践的な日本語を学べます。
学習者のレベルに応じたフリートーク練習の方法は、以下のとおりです。
初級者向け
簡単な自己紹介や日常会話、基本的な質問に対する回答
中級者向け
ペアワークやグループディスカッションを通した意見交換
上級者向け
ディベート形式の練習や自由テーマでの長時間トーク
レベルごとに適切な練習方法で授業を行えば、学習者が日本語を話す自信をつけられます。
日本語の基礎を学習した後には、会話力を向上させるために効果的にフリートーク練習を取り入れましょう。