特定技能外国人を採用している現場では、言葉の壁が業務の円滑な進行や職場のコミュニケーションに影響を与えることがあります。
作業指示の誤解や意思疎通の難しさは、業務の遅れや安全管理のリスクにつながる可能性があるため、雇用側が積極的に日本語学習をサポートすることが重要です。
しかし、外国人従業員が日本語を学ぶ時間を確保するのは簡単ではありません。
そのため、仕事の中で自然に学べる環境を整えたり、効率的な学習ツールを活用したりすることが求められます。
本記事では、特定技能外国人の日本語習得を支援する方法や、職場で実践できる日本語練習法、さらに役立つ学習アプリを紹介します。
外国人従業員の日本語スキルが向上すれば、職場のチームワークが強まり、業務の生産性や安全性も向上します。
外国人を採用している現場の方は、ぜひ参考にしてください。

特定技能外国人が日本語を習得するメリット

特定技能外国人として日本で働く際、日本語の習得は仕事の質を高めるだけでなく、日常生活をスムーズにする上でも非常に重要です。
業務を円滑に進めるためだけでなく、職場での人間関係の向上や生活の充実にもつながります。
ここでは、日本語を習得することで得られる具体的なメリットについて解説します。
日本語力が仕事に与える影響
- 業務の正確性が向上する
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職場では、作業指示や業務手順を正しく理解することが求められます。
日本語が分からない状態では、指示を誤解したり、作業の流れを把握できなかったりすることがあり、それが業務の遅れやミスにつながる可能性があります。
しかし、日本語の理解力が向上すれば、業務内容を正しく把握し、指示に適切に対応できるようになります。
その結果、作業効率が向上し、生産性が高まるでしょう。
- 職場の安全対策に役立つ
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特定技能外国人が活躍する職場の多くは、建設、製造、農業、介護、飲食など、専門的な知識や技術を必要とする業種です。
これらの業種では、安全管理が非常に重要であり、日本語を理解することが事故防止につながります。
例えば、「注意」「危険」「止まれ」などの基本的な単語を理解していれば、事故を未然に防ぐことができます。
また、緊急時の対応もスムーズになり、従業員の安全確保に大きく貢献します。
- 職場のコミュニケーションが円滑になる
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仕事をする上で、上司や同僚との円滑なコミュニケーションは欠かせません。
言葉の壁があると、意見のすれ違いや誤解が生じやすくなります。
しかし、日本語を習得することで、意思疎通がスムーズになり、協力して仕事を進めやすくなります。
また、職場の会話に積極的に参加できるようになれば、人間関係も良好になり、働きやすい環境が整うでしょう。
日本語学習をサポートすることで職場環境が向上する
- チームワークの強化につながる
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職場では、従業員同士が協力して業務を進めることが重要です。
日本語が分かるようになれば、他のスタッフとスムーズに連携できるようになり、チームワークが強化されます。
特に、作業の分担や報告・連絡・相談(ホウレンソウ)が円滑に行えることで、業務全体の質が向上します。
- 外国人従業員の定着率が向上する
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日本語が分からないと、業務や日常生活にストレスを感じ、離職につながることがあります。
しかし、日本語を学ぶ環境が整っていれば、外国人従業員が職場に馴染みやすくなり、長期間にわたって働き続ける可能性が高まります。
雇用側にとっても、定着率が向上すれば、新たに人材を採用し育成するコストを削減できるというメリットがあります。

現場で役立つ日本語練習方法

日本語を勉強する時間を確保するのが難しい場合でも、日常業務の中で練習する工夫を取り入れれば、無理なく言語スキルを向上させることができます。
ここでは、現場で役立つ具体的な日本語練習方法について紹介します。
職場で使う単語・フレーズを学ぶ
仕事をスムーズに進めるためには、業務に関連する単語やフレーズを優先的に覚えることが重要です。
特定技能の業種ごとに、必要とされる言葉は異なりますが、基本的な指示フレーズを覚えておきましょう。
作業指示に関する言葉を覚える
- 「これを運んでください」 → 荷物や材料を移動する際に使用
- 「道具を片付けてください」 → 作業後の整理整頓に関する指示
- 「ここを掃除してください」 → 清掃作業の指示
- 「作業を始めてください」 → 作業開始を促す際に使用
- 「休憩に入ってください」 → 休憩時間の開始を伝える
- 「すぐに止まってください」 → 緊急時に使用
- 「そこは危険です」 → 危険な場所への注意喚起
- 「手袋をつけてください」 → 作業時の安全対策
- 「大きな音がしたら報告してください」 → 異常発生時の報告指示
- 「火事の場合はこの出口を使ってください」 → 避難指示
- 農業の現場でよく使う指示
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- 「この野菜を収穫してください」 → 収穫作業の指示
- 「傷のあるものは分けてください」 → 仕分け作業の際に使用
- 「サイズごとに箱に入れてください」 → 梱包作業の指示
- 「ハサミを使って切ってください」 → 収穫時の作業方法を指示
- 「この列から順番に作業してください」 → 作業順序を伝える
- 建築現場でよく使う指示
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- 「この材料を倉庫に運んでください」 → 材料の運搬指示
- 「足場を組み立ててください」 → 建築作業の指示
- 「ここに印をつけてください」 → 設計や測定の際の指示
- 「この部分を塗装してください」 → 壁や床の塗装作業に関する指示
- 「ヘルメットをかぶってください」 → 安全管理に関する指示
- 工場・製造現場でよく使う指示
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- 「部品を正しく並べてください」 → 組み立て作業の指示
- 「異常があったら報告してください」 → 機械の異常やトラブル対応の指示
- 「ここをしっかり締めてください」 → ネジやボルトを締める作業に関する指示
- 「機械を動かす前に確認してください」 → 機械操作前の安全確認の指示
- 「製品を検査してください」 → 品質管理業務の指示
- 飲食業・厨房でよく使う指示
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- 「この野菜を細かく切ってください」 → 調理の際の指示
- 「お皿を並べてください」 → 配膳作業の指示
- 「食材を冷蔵庫に入れてください」 → 食品管理の指示
- 「注文を確認してください」 → 接客や調理担当者への指示
- 「お客様に料理を運んでください」 → サービス業務の指示
- 介護の現場でよく使う指示
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- 「この方を車いすに移動させてください」 → 介助業務の指示
- 「お食事の介助をお願いします」 → 食事の補助に関する指示
- 「薬を確認してください」 → 服薬管理に関する指示
- 「お風呂の準備をしてください」 → 入浴介助の準備指示
- 「利用者さんとお話ししてください」 → コミュニケーション促進の指示

業界ごとによく使う言葉を覚える
職場で使用する道具や設備の名称を覚えることで、上司や同僚の指示をより正確に理解できます。
- 手作業の道具
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- クワ(hoe) → 土を掘り起こしたり、畝(うね)を作るための道具
- スコップ(shovel) → 土を掘ったり、肥料を混ぜるときに使う
- レーキ(rake) → 土をならしたり、枯れ葉や雑草を集める道具
- カマ(sickle) → 雑草を刈る、収穫作業に使う
- ハサミ(scissors) → 枝や葉を切る、野菜の収穫に使う
- ジョウロ(watering can) → 手作業で水をやるときに使用
- ホース(hose) → 水をまくための長い管
- 機械・設備
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- トラクター(tractor) → 土を耕したり、畑の準備をする機械
- コンバイン(combine harvester) → 稲や麦を刈り取る機械
- 耕運機(tiller) → 小規模な畑の土を耕す機械
- ビニールハウス(greenhouse) → 植物を保護しながら育てるための施設
- 散水システム(irrigation system) → 自動で水をまく設備
- 堆肥(compost) → 肥料として使う有機物
建築現場では、多くの道具や材料が使われるため、それぞれの名称を理解することが大切です。
- 道具・設備
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- ハンマー(hammer) → 釘を打ち込んだり、物を叩いて加工するための道具
- のこぎり(saw) → 木材や金属などを切断するための道具
- ドライバー(screwdriver) → ネジを締めたり緩めたりするための道具
- スパナ(wrench) → ナットやボルトを回すための道具
- メジャー(measuring tape) → 長さや距離を測るための巻尺型の道具
- 電動ドリル(electric drill) → 穴を開けたりネジを締めたりする電動工具
- クレーン(crane) → 重い資材や機材を高所に持ち上げる大型機械
- 足場(scaffolding) → 高所作業のために設置される仮設の作業台
- コンクリート(concrete) → 建物や土台を造るための強固な建築材料
- セメント(cement) → コンクリートやモルタルを作るための粉状材料
飲食店の厨房やホールでは、多くの調理器具や設備の名前を覚えることが必要です。
- 調理器具・設備
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- フライパン(frying pan) → 食材を焼いたり炒めたりするための平らな鍋
- まな板(cutting board) → 食材を切るときに使う下敷きの板
- 包丁(kitchen knife) → 野菜や肉などの食材を切るための刃物
- おたま(ladle) → スープや煮物をすくうための丸い柄付きの道具
- しゃもじ(rice paddle) → ご飯をよそう・混ぜるためのへら状の道具
- ボウル(mixing bowl) → 食材を混ぜたり、材料を入れておくための深い容器
- コンロ(stove) → 鍋やフライパンで加熱調理をするための器具
- 電子レンジ(microwave oven) → 電子の力で食材を温めたり調理したりする家電
- 冷蔵庫(refrigerator) → 食材を冷やして保存するための電化製品
- 食洗機(dishwasher) → 食器を自動で洗浄するための機械
介護施設では、高齢者のケアに関する用語や道具の名前を理解することが大切です。
- 介護用具・設備
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- 車いす(wheelchair) → 歩行が困難な人の移動を助けるための椅子型の乗り物
- 手すり(handrail) → 移動や立ち座りを補助するために設置される支え
- エプロン(apron) → 食事や介助中に衣服が汚れないように着用する保護具
- 歩行器(walker) → 歩行を安定させるために使うフレーム型の補助器具
- ベッド柵(bed rail) → ベッドからの転落防止や体位保持のための柵
- おむつ(diaper) → 排泄の自立が難しい人のための吸収性のある下着
- 介護用リフト(patient lift) → 移動や体位変換を補助するための吊り上げ機器
- 介護用マット(care mat) → 転倒時の衝撃を和らげたり、床ずれを防止するマット
- 食事用スプーン(feeding spoon) → 食事をとりやすくするために工夫されたスプーン
- 入浴用イス(bath chair) → 入浴時に安全に座るための防水性のイス
工場の製造ラインでは、機械や作業工程に関する言葉を覚えることが重要です。
- 機械・設備
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- ベルトコンベア(conveyor belt) → 製品や部品を自動で運ぶための帯状の搬送装置
- プレス機(press machine) → 金属や素材を押しつぶして加工する大型機械
- 溶接機(welding machine) → 金属同士を高熱で接合するための機械
- エアコンプレッサー(air compressor) → 空気を圧縮して工具などに供給する装置
- フォークリフト(forklift) → 重い荷物を持ち上げて運搬するための車両
- 検査装置(inspection machine) → 製品の欠陥や不良を自動でチェックする装置
- ハンドリフト(hand lift) → 手動でパレットなどを持ち上げて運ぶ道具
- ネジ締め機(screw fastener) → ネジを正確に締めるための機械工具
- 作業台(workbench) → 部品の組み立てや作業を行うための平らな台
- 仕分けライン(sorting line) → 製品を種類ごとに分類するための自動搬送システム

日常業務の中で日本語を練習する工夫

忙しい業務の中で、特別に勉強時間を取ることは難しいかもしれません。
しかし、日常業務の中で少しずつ日本語を使う機会を増やすことで、無理なく言語力を向上させることができます。
- メモを取る
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新しい単語や業務指示を聞いたときには、すぐにメモを取る習慣をつけましょう。
短いメモでも良いので、日本語で書くことで記憶に残りやすくなります。
また、業務終了後にそのメモを見返し、復習することで、自然と語彙が増えていきます。
- 復唱する
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上司や同僚の指示を聞いたら、一度自分で繰り返して確認するのも効果的です。
例えば、「この材料をあの棚に置いてください」と言われた場合、「この材料をあの棚に置きますね」と復唱することで、正しく理解できているかを確認できます。
また、復唱することで言葉のリズムや発音も身につきやすくなります。
- 簡単な会話を増やす
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日常の業務中に、日本語での会話を増やすことも練習の一つになります。
たとえば、以下のような短い会話から始めると良いでしょう。
- 「今日は忙しいですね」
- 「この作業は難しいですね」
- 「次は何をしますか?」
- 「お疲れ様です!」
最初は簡単な挨拶や短いやり取りから始め、徐々に長い会話に挑戦していくと、自然に日本語に慣れることができます。
- 視覚的な教材を活用する
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言葉だけで覚えるのが難しい場合、視覚的な教材を活用すると理解しやすくなります。
特に、特定技能の職場では、イラストやピクトグラム(視覚的な記号)を活用することで、日本語が分からない従業員でも直感的に意味を理解しやすくなります。
例)イラスト付き単語カード
道具や設備、作業工程などをイラストと一緒に覚えると、単語をイメージしやすくなります。
例えば、「掃除する」「持ち上げる」「切る」といった動作をイラストで表現し、裏面に日本語の説明を書いておくと、より効率的に学習できます。
職場の休憩時間や隙間時間に活用すると良いでしょう。

日本語学習におすすめのアプリ5選

日本語を学ぶ方法にはさまざまな選択肢がありますが、アプリを活用することは効率的な学習手段の一つです。
スマートフォンがあれば、仕事の合間や移動時間などのスキマ時間を利用して、日本語の練習ができます。
ここでは、特におすすめのアプリを紹介します。
Duolingo

Duolingoは、ゲーム感覚で楽しく日本語を学べる無料の語学学習アプリです。
世界中で人気のあるアプリで、初心者でも無理なく学べるシンプルな設計が特徴です。
短いレッスンを毎日続けることで、少しずつ日本語のスキルを向上させることができます。
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LingoDeer

LingoDeerは、日本語を文法からしっかり学びたい人向けの学習アプリです。
単語やフレーズを覚えるだけでなく、文章の構造や文法ルールを理解しながら学べるため、日本語を深く学びたい外国人におすすめです。
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JA Sensei

JA Senseiは、日本語を基礎からしっかり学びたい外国人向けの総合学習アプリです。
ひらがな・カタカナ・漢字の学習から、日常会話、文法の解説まで幅広く対応しており、特に日本語学習を始めたばかりの方におすすめです。
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Learn Japanese: Sensei

Learn Japanese: Sensei は、日本語を基礎から学びたい初心者向けの学習アプリです。
ひらがな・カタカナ・漢字の習得から、日常会話のフレーズ学習、リスニング強化まで幅広く対応しています。
日本語初心者や特定技能外国人にとって使いやすい設計になっています。
\ ダウンロードはこちら /
わかりやすい日本語レッスン

わかりやすい日本語レッスンは、短時間で実践的な日本語フレーズを覚えられる学習アプリです。
特に、旅行や仕事で日本語を使う必要がある外国人向けに設計されており、シンプルなインターフェースで誰でも簡単に学習を始められます。
\ ダウンロードはこちら /
日本語カフェ
日本語カフェでは、日本語能力検定N5〜N3程度の日本語レベルの外国人を対象に、効率よく日本語を学べる会話トレーニングコースを開講しています。
実際のシチュエーションに沿って、よくある日本語の表現を学べるので、すぐに使える日本語を習得できます。
また、各セクションの後に復習用のクイズがあるので、学んだことを復習して記憶の定着を図れます。
会話トレーニングコースでは無料体験も実施しているので、ぜひチェックしてみてください。


業務が忙しくても続けられる勉強法は?

特定技能外国人として働いていると、業務が忙しく、日本語の勉強時間を確保するのが難しいことがあります。
しかし、短時間で効率よく学ぶ方法を取り入れれば、忙しい中でも日本語を習得できます。
- 短時間の学習を習慣化する
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長時間の勉強は難しくても、毎日10分だけ日本語に触れる時間を作ることで、無理なく継続できます。
- 通勤時間を活用する
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スマートフォンの学習アプリや、ポッドキャスト(音声学習)を活用すると、移動中でも勉強できます。
- 仕事の休憩時間に単語を復習する
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メモ帳や単語カードを持ち歩き、休憩時間に1〜2個の単語を覚えるだけでも効果があります。
- 業務の中で日本語を意識的に使う
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職場での会話の中で、新しく覚えた言葉を積極的に使うことで、実践的な学習ができます。
- ゲーム感覚で学ぶ
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学習を続けるためには、楽しむことも大切です。
以下の方法を取り入れることで、勉強を負担に感じにくくなります。
- 学習アプリを活用する
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DuolingoやLingoDeerなどのアプリは、ゲームのようにクイズ形式で学べるため、飽きずに続けやすくなります。
- 単語カードを使って遊ぶ
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ひらがなやカタカナ、漢字を覚えるために、自分で単語カードを作るのも効果的です。
覚えた単語と覚えていない単語を分け、ゲーム感覚で復習すると、記憶に残りやすくなります。
- 日本語で好きなアニメや映画を観る
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興味のある内容を日本語で楽しむことで、自然と学習を継続できます。
特に、字幕付きの動画を活用すると、リスニング力も向上します。
- リスニングを活用する
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忙しくて机に向かう時間が取れない場合でも、リスニングを中心に学習する方法があります。
- 日本語のニュースやラジオを聞く
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NHK WORLD JAPANの「やさしい日本語ニュース」は、ゆっくりとした話し方でニュースを伝えているため、リスニングの練習に適しています。
- 日本語の音楽を聴く
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歌詞を見ながら日本の音楽を聴くことで、言葉のリズムや発音に慣れることができます。

現場での日本語学習の成功事例を紹介

農業分野での成功事例:作業マニュアルと会話練習の導入
- 背景
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ある農業法人では、特定技能外国人としてベトナムやフィリピン出身の従業員を複数名採用していました。
しかし、日本語があまり話せず、作業指示を理解するのに時間がかかることが問題になっていました。
特に、「収穫」「選別」「梱包」といった工程では細かい指示が必要であり、指示が正しく伝わらないことで作業ミスや業務の遅れが発生していました。
- 取り組み
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STEPイラスト付きの作業マニュアルを作成
- 「収穫 → 選別 → 梱包」の一連の作業手順をイラスト付きのマニュアルにまとめ、使用する道具の名前も日本語で記載。
- 例えば、「ハサミで茎を切る」「傷がついた野菜は選別する」「サイズごとに箱に詰める」など、具体的な指示を簡単な日本語とイラストで表現。
STEP朝礼時に簡単な日本語会話の練習を導入- 「今日は何をしますか?」→「収穫をします」
- 「この野菜はどうしますか?」→「選別して箱に入れます」
- 短い会話を毎朝練習し、業務で使える表現を身につける。
STEP指導係の日本人スタッフがゆっくり話し、重要な言葉を繰り返す- 「今日はトマトの収穫をします。収穫(しゅうかく)とは、野菜を取ることです」
- 簡単な言葉で説明し、重要な単語を何度も繰り返して覚えられるように工夫。
- 結果
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- 作業手順の理解が早まり、指示を受けてからの作業開始時間が短縮。
- 言葉の壁によるミスが減少し、選別・梱包の精度が向上。
- 従業員が簡単な日本語で会話できるようになり、作業の指示がよりスムーズになった。
- 外国人従業員からも「わかりやすくなった」と好評で、働きやすい環境が整った。
建築分野での成功事例:業務フレーズ集とOJTの活用
- 背景
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ある建設会社では、特定技能外国人としてインドネシアやネパールの従業員を採用。
しかし、「材料を運ぶ」「壁を塗る」「足場を組む」といった建築現場での基本的な指示が伝わらず、作業の遅れや安全管理の面で課題がありました。
特に、高所作業や重機の取り扱いでは、安全確認の日本語が理解できないことが大きな問題となっていました。
- 取り組み
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STEP現場で使う日本語フレーズ集を作成
- 「材料を運んでください」「ここに印をつけてください」「ヘルメットをかぶってください」など、現場で頻繁に使うフレーズをまとめた冊子を配布。
- フレーズの横にはイラストを添え、実際の作業シーンをイメージしやすくした。
STEP指差し確認とジェスチャーを活用- 作業指示を出す際、日本人スタッフが「この柱を組み立ててください」と言いながら実際に指をさす。
- 外国人従業員が指示を正しく理解したか確認するため、復唱してもらうようにした。
STEP安全に関する日本語研修を実施- 「危ない」「落ちる」「止まれ」など、安全確認に必要な単語をピクトグラムと一緒に学習。
- 実際の現場で、作業開始前に「今日の作業で気をつけること」を日本語で言う練習を実施。
STEPOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)で実践的に学ぶ- 「この道具は何ですか?」「これはドリルです」といった会話を交えながら、実際の作業を通じて言葉を覚えられるように工夫。
- 作業後に「今日は何をしましたか?」と質問し、日本語で答える練習をすることで、業務の振り返りを兼ねた学習を実施。
- 結果
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- 日本語フレーズ集を活用することで、作業指示の理解がスムーズになり、現場の進行が早まった。
- 「指差し確認」と「復唱」を徹底することで、安全管理の意識が向上し、ヒヤリハット事例(事故につながりかねない危険な状況)が減少。
- 研修とOJTを組み合わせることで、日本語の定着率が向上し、新しく入った外国人従業員も短期間で業務に慣れるようになった。
- 現場の日本人スタッフとのコミュニケーションが改善し、チームワークが向上。


特定技能外国人の日本語練習法|まとめ

特定技能外国人が日本語を習得することで、業務の精度が向上し、職場の安全管理や円滑なコミュニケーションにもつながります。
しかし、彼らが自主的に学習を進めるだけでは限界があり、企業側のサポートが欠かせません。
職場で実践的なフレーズを学べる環境を整えたり、日々の業務の中で日本語を使う機会を増やしたりすることで、外国人従業員が無理なく言語を習得できるようになります。
また、学習アプリを活用すれば、業務の合間や通勤時間を使って効率的に学ぶことも可能です。
企業が日本語学習をサポートすることで、外国人従業員の定着率向上や、より円滑な職場環境の実現につながります。
現場の負担を軽減しながら、外国人従業員と共に成長できる環境づくりを進めていきましょう。
