日本語学習者が知っておくべき4つのプロセス

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日本語習得におけるプロセスには4つのポイントがあった。

日本語を学んでいる誰しもが少しでも日本語を早く話せるようになりたいと思っています。
しかし、学習方法については様々な情報がありますが、学習の「プロセス」についてはあまりありません。
日本語を習得するプロセスについてしっかりと理解することができれば、より効率的に日本語を習得することができます。
今回は日本語習得のプロセスについてご紹介します。
日本語の学習者がインプットをアウトプットに転換できるまでの間には「気づき」→「理解」→「内在化」→「統合」という4つのプロセスを経由しています。
ここで一番大事な点は、人はインプットせずして、アウトプットすることはできないということです。
更に、インプットだけでも不十分で、その後の「気づき」→「理解」→「内在化」→「統合」というプロセスを通じなければアウトプットはできないのです。
この4つのプロセスのどこかに問題があれば、インプット量に対するアウトプット量は減ってしまい、学習効率が下がります。
日本語習得における4つのプロセスの課題を特定し、その課題を強化することが重要です。
ここでは各プロセスの詳細について説明していきます。

1. 気づき

まずは最初のプロセスである「気づき」です。
人は、常に無意識のうちに大量の情報をインプットしていますが、その大量の情報をすべてを記憶しているわけではありません。
例えば、リスニングの学習として日本語のテレビを見ていたとします。
しかし、いつの間にか意識が違うところにいってしまい、結局は内容が何も思い出せないということはよくあります。
これは単に日本語が「聞こえている」状態であり、「聴いている」という状態ではありません。
日本語習得の効率的を上げるためには、まずはこの無意識のインプットの状態から抜け出し、学習するべきこと注意を向けて意識的にインプットを行う必要があります。
人は意識を向けることではじめて「気づき」が生まれ、気づきにより知覚された情報を「短期記憶」として保持するのです。

2. 理解

短期記憶に保持された情報は、次に「理解」へと進みます。
この理解には二種類あり、一つ目は情報の意味のみを理解している状態、二つ目は情報の形式や機能といったフレームワークをきちんと理解している状態です。
例えば、日本語の会話を聞いて細かい文法までは分からなくても、単語での理解からおおよその会話の意味を掴むことができるのが一つ目の浅い理解です。
しかし、言葉の形式や機能を深いレベルで理解していなければ本当の意味での「理解」にはなりません。
深いレベルまで理解が到達すると、学習者は会話の全てを完全に把握することができていなくても、仮説が立てられるようになります。
全ての会話を正確に聞き取ることができなくても、実際の会話のシーンと断片的に聞こえてきた日本語から推測することで、今は「こんな内容の会話をしている?」と仮説を立てられるようになります。
このような認知のプロセスを「仮説形成」と呼びます。

3. 内在化

次のプロセスは「内在化」です。
内在化とは、理解したインプットを自分自身の母国語と日本語との中間にある学習過程の中間言語として取り込むプロセスです。
すでに習得している中間言語と、新しくインプットされた情報との間で比較を行います。
これは、理解のプロセスにおいて立てられるようになった仮説を検証する作業となります。
会話の中で相手の言った言葉がはっきりと聴き取れなかったとしても、断片的な音を頼りに仮説を立て、それに対して答えることができるようになります。
結果として自分の答えを相手がその通りに返してくれれば、自分の仮説は正しかったと検証することができます。
この内在化というプロセスを通じて、人はインプットを内在化していくのです。

4. 統合

最後のプロセスは「統合」です。
統合とは、取り込んだ情報を「長期記憶」に保持することをいいます。
気づきの段階で得た「短期記憶」を、理解し、内在化しないとすぐに忘れてしまいます。
新たなインプットを深く理解し、内在化を通じて自分の中間言語体系を新たに再構築することで、人はその情報を無意識で理解、処理できるようになり、瞬間的に使いこなせるようになります。
相手が話す言葉やその意味を考えたり、仮説を立てたりする必要なく、瞬間的に回答できる状態です。
インプットされた情報はこの統合フェーズで「長期記憶」に保持されることではじめてアウトプットに活用できるようになります。言い換えれば、アウトプット力を高めるとは、長期記憶に保持される量を増やすということでもあります。

日本語習得のプロセスに基づくトレーニング

外国人の方が日本語をインプットし、アウトプットできるようになるには4つのプロセスが存在していることがご理解いただけたと思います。
そして、アウトプットの「量」はそのプロセスごと掛け算のように減っていきます。
つまり、日本語を効率的に習得するには、インプットの量を増やし、さらに各プロセスの質もできるかぎり高める必要があるのです。
それでもやはり、一番重要なことは、インプット量を増やすことです。
インプット量が10倍になれば、その後のプロセスが同じ質でもアウトプット量は10倍増え、できる限り「気づき」があるインプットを含むトレーニングをすることが最初にやるべきことなのです。
ただ漫然とトレーニングするのではなく、しっかりと「気づき」意識を傾けることが重要です。

まとめ

これまで日本語を学習する方が知っておくべき必要な4つのプロセスという点についてお伝えしてきました。
上記をまとめると、日本語の習得においては「内容が理解しやすい教材を使って、可能な限りインプットを増やし、学んだことをしっかりと試すこと」が実は習得への近道だということが分かります。
これは誰しも分かっているようで、気付いてないことが多いものです。
これら4つのプロセスに沿って、今の自分の学習方法に最も不足している部分を改めて見直すことで学習効率を向上するためのヒントが見つかるはずです。
日本語習得のプロセスを意識した、自分に合ったトレーニング方法で日本語学習に取り組みましょう。

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この記事を書いた人

三木 雅史(Masafumi Miki) 株式会社E-MAN会長
1973年兵庫県たつの市生まれ / 慶応義塾大学法学部法学科卒
・25歳で起業 / デジタルガレージ / 電通の孫請でシステム開発
・web通販事業を手掛ける
・2006年にオンライン英会話を日本で初めて事業化
・2019年外国人の日本語教育を簡単、安価にするため
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