フィリピンでの英会話事業で外国人とのつながりができた
――御社を設立された経緯をお聞かせください。
まず、現在の当社に関わる前身の事業からお話ししますと、2006年にフィリピンのセブ島でオンライン英会話の事業を始めました。現地でフィリピン人の先生を150人くらい雇って、Skypeというソフトで日本にいる日本人の方に、オンラインで英会話レッスンを提供し始めたんです。
フィリピンでは、小中学校や大学の授業は英語で行われていますので、みんな英語は普通に話せるんですね。
それにフィリピンの方はお話が非常に上手で、ホスピタリティにあふれていました。
――2006年と言うと、オンライン英会話レッスンの先駆けですね。
そうですね。オンラインのため、わざわざどこかに通う手間がいらず、ご自宅でレッスンが受けられて教室費もかからないので、「非常に安価に勉強できて続けやすい」と好評をいただいていました。
このオンライン英会話の事業で多くの外国人と関わったことが、当社を設立する一つのきっかけとなりました。
会社設立のきっかけになった特定技能制度
――現在は外国人に向けた日本語学習の事業をされています。英会話事業から転換されたきっかけは何かありましたか?
2017年頃から、「2019年に“特定技能”という新しい制度ができる」と巷で話題になり始めました。
その制度ができると、外国人の方が、日本でいわゆる単純労働を行えるようになると。
それを知ったときに、「これは非常に大きなターニングポイントになる」と感じたんですね。
そして、フィリピンやアジアの方が日本に来て働かれるイメージがわいてきて。
そうなれば、外国人の方は、おそらく日本語をどんどん勉強したくなるだろうなと思いました。
――そういった社会的な背景があったんですね。
そうなんです。その頃にはオンライン英会話の事業で、効率的な語学学習の知見が蓄積されていましたので、それを多くの外国人の方に生かしたいなと考えるようになりました。
また、それまでフィリピンの方には英会話で大変お世話になっていましたので、何か恩返しできないかな、という思いもあったんです。
そういう背景や思いがあって、外国人のための日本語学習の事業を計画し始めました。
外国人が安く日本語を学べる学習システムを開発
――事業を計画するなかで、問題点はありましたか?
授業料の問題がありました。フィリピンと違って日本の人件費は高いので、日本人の先生をたくさん雇うと授業料もその分高くなります。フィリピンやアジアの方で、しかも出稼ぎで日本に来たいという方が、その授業料を支払うのはちょっと厳しいだろうなと思ったんです。
――どのようにその問題をクリアされましたか?
「セルフラーニング」という方法を考えました。先生が直接教えるのでなく、自分で勉強していくような学習システムを用意すれば、非常に安く提供できるかなと思ったんですね。
そのため、日本語の説明動画や演習問題を作りました。
さらにその動画は各国の方が理解しやすいように、きちんと字幕を設置するといった仕組みにしたんです。
このような計画や準備を2017年から2年ほどかけて進めて、日本語学習の事業を行う現在の会社を設立したというのが経緯ですね。
外国人の就労をサポートして、企業の人手不足の解消に貢献したい
――多くの外国人との出会いや社会的な背景があって、現在の会社を設立されたんですね。最後になりますが、社会のために、どのような企業でありたいとお考えでしょうか?
当社は、「事業を通じて、人手不足に悩む会社様のお役に立ちたい」と考えています。
多くの会社様がコロナ禍で人手不足に苦しみました。
また、日本では高齢化が進み、働き手が減っていて、これから様々な業界で人手不足がより深刻になると言われています。
当社は現在、外国人の就職活動のサポートや、企業様への外国人の人材紹介といった事業も行っています。
いい人材を発掘し、当社のシステムで育成して、外国人の就労のお手伝いをすることで、日本の会社様の人手不足の解消につとめていきたい、と考えています。