この記事では、アジアに住む外国人の方に日本語を教えたいと考えている日本企業の担当者や日本語学校の経営者の方向けに、学習時間やレベルの目安をご紹介します。
JLPTは、日本語を母語としない外国人の方が日本語の能力を測定して、認定するために作らた世界最大規模の試験です。日本人には全く馴染みのないJLPTについて説明します。
JLPTとは
JLPT はJapanese Language Proficiency Testの頭文字です。Proficiencyとは熟達や堪能など意味します。
そのJLPTを日本語で「日本語能力試験」と言います。試験は5つのレベルに分かれており、N5が一番下、N1が一番上のレベルです。
JLPTの基本的な知識についてご説明します。
JLPTは会話力の試験も、面接試験もない
JLPTは「文字・語彙」「文法読解」「聴解」の紙による試験で、全て4択の問題となっており、N5からN1まで共通しています。
問題の傾向や試験時間、また合格ラインは各レベルによって異なるのでご注意ください。
合格ラインはレベルによって異なる
合格ラインはレベルによって異なります。例えばN5なら総合で44%、N1は55%で合格です。
合格率は国外より国内の方が高く、N5で60〜75%、N1で30〜45%になっています。また、合格ラインは総合得点のだけではなく、各セクションの最低ラインがあり、それをクリアすることが必須です。
そして総合得点も合格ラインをこえていなければならないという仕組みになっています。
日本全国で受験できる
日本国内では、全国45の主要都市で例年7月と12月の第一日曜日に行われています。また、海外でも行われおり、国や場所によっては実施回数が異なります。
申し込み方法は郵送かwebから可能で、どちらかといえばwebがお勧めです。また、申し込み時期が早いので、そのあたりも注意しましょう。
早めの申し込みで、比較的近い試験会場で受験ができるとも言われています。試験会場は主に大学ですが、地域を選択することで、受験会場がふりわけられるようになっています。
JLPTに合格するために学習時間とレベル
JLPTは、各レベルごと目安となる学習時間や求められる語彙数と漢字数を発表しています。
レベルごとの学習時間を日本語学校、出版会社が発表している数字を目安に、おおよその学習時間などをを紹介します
学習時間には個人差がある
学習時間と学習スピードは比例します。しかし、その学習スピードには個人差があり、これが正解というものはありません。
しかし、学習スピードを左右する要素はいくつか存在します。下記がその一部です。
- 日常的に日本語を使う環境にいるか
- 言語の学習が得意か
- 自宅で学習する時間が取れるか
- 日本語を学ぶ動機や目標があるか
- 継続して日本語を学べるか
これらの要素があるかどうかで必要となる学習時間が異なります。この要素を取りいれることができる環境を創りましょう。
各レベルの目安
各レベルの目安を会話で例えると下記にようになります。
- N5 – 片言の日本語しか話せず、母国語が多く混ざる
- N4 – いくらか会話ができるが、まだ不自由
- N3 – 日常的な内容についておおよそ話せる
- N2 – 知らない言葉もあるが、日本人と普通に話して理解してもらえる
- N1 – 日本人でも難しい言葉を知っていたり、本や新聞の内容をもとにディスカッションができる
これらを一つの目安として、捉えてみましょう。
JLPTの目指すべきレベル
JLPTのN1レベルは、日本語を話せる貴重な人材として企業から採用されやすくなりますが、その難易度はかなり高いです。その中でもまずはN5、N4でしっかりと学習して、N3を一つの目標とすることをおすすめします。
N3からは急に合格が難しくなり、日本語能力も伸び悩むと言われています。N3レベルを合格するには、N4、N5レベルの復習することがなにより効果的な学習方法です。
JLPTを合格するには
JLPTを合格することで日本語への理解が高まり、日本語の基礎的な力がつきますが、それが会話に直結するわけではありません。
短期間で無理をして受験しようとすると、知識ばかりを詰め込むことになり、会話の練習がどうしても疎かになります。時間に余裕を持ち、長期的なプランを作って、合格を目指しましょう。
過去の問題集を購入しよう
JLPTを合格するには、過去の問題を繰り返し学習することが有効的です。実際の問題2回分を1年分にまとめた公式の問題集も販売されています。
ちなみに、試験問題は持ち帰ることができませんのでご注意ください。webサイトでも似た内容のPDFファイルや音声ファイルを無料でダウンロードすることができるので調べてみましょう。
職場で日本語を教えてあげる
やはり実際の仕事の中で、日本語を教えてあげることも有効は方法の一つです。仕事内容にもよりますが、日本語で顧客とのやり取りをするとなるとN1、N2レベルが必要となります。
ただし、N1、N2を持っていれば、必ずそのレベルの日本語が話せるということではありません。上級であるN2、 N1を知識だけで合格してしまった場合でも複雑な内容は話せないという場合が多くあります。
特に漢字圏の方にこの傾向が強いでしょう。お客様とのやり取りや社内、チーム内でのコミュニケーションを通して、実用的な日本語を教えてあげることが重要です。
合格の基準を知る
JLPTの合格基準の知っておきましょう。合格基準は「総得点が合格点を上回っていること」と「各項目ごとの得点が配点の25%以上であること」の2つの条件を満たしている場合に合格となります。
つまり、総得点は合格点に達していても、どれか一つの項目が25%未満の得点の場合には不合格です。現在は、それぞれの分野で25%以上の得点を「合格に必要な最低基準点」としています。
まとめ
これまでJLPTの学習時間やレベル、基本的な知識についてご紹介しました。皆さんの周りで日本語が話せる外国の方がいたら、JLPTは何級か聞いてみれば、この記事の内容がより実感出来るかもしれません。
日本語の習得には、とても多くの時間を必要とします。その為、外国人の方に日本語を学ぶ環境をしっかりと整えることが何より重要です。
環境を整え、そして動機づけすることで、早く外国人の方に日本語を習得してもらいましょう。