漢字は50〜100個ずつ、繰り返し学ぶと学習効果がアップ
――漢字の効果的な学習方法を教えていただけますか。
学習効率の観点から、漢字も単語と同じ方法で学習するのがいいと考えています。
まず、50個から100個の漢字を1つのブロックとして、漢字それぞれの文字と意味、訓読みと音読み、書き順を一通り学びます。
それができれば、そのブロックを通して見て、漢字の意味、訓読みと音読みが全部言えるかを確認します。
また逆に、訓読みと音読み、意味からその漢字の文字自体が思い浮かぶかもチェックしていきます。
そして間違えた漢字だけピックアップをして、再度学習する。そんな勉強の仕方が一番いいですね。
――漢字も「ノートに書いて覚える」という方法はあまり効果がないのでしょうか。
最新の学習効率に関する研究から、1つ1つノートに書いて覚えるのは、それほど意味がないことが分かっています。
なので、漢字を見てその書き順がパッと思い浮かんだり、指でささっと書けたりすれば、すぐに次の漢字に進んでいただくといいですね。
そのほうがノートに書いて勉強するより、学習のスピードアップにつながりますし、それを2、3回繰り返せば学習効果も上がります。
――1つ1つの漢字に時間をかけ過ぎずに、繰り返し学習することが大事なんですね。
そうですね。また学習する際は、最初の10分ほどで前回までに勉強した漢字50個とか100個をざっと一通り見直して、全部わかるかを確認していただくといいかなと思います。
記憶定着のためには、そういう学習を何回か繰り返していくことがとても大事です。
読解攻略のポイントは試験問題のクセを知り、慣れること
――読解の学習はいつ頃始めればいいですか。
読解や聴解では総合的な日本語の理解力が求められます。
そのため学習の流れとしては、単語と文法、漢字の勉強ができた段階で始めるのがいいですね。
ただ、「単語と文法等を全部終わらせてから読解に進もう」 と単語や文法だけを勉強していても、日本語能力試験の読解問題のイメージはつかめません。なので、ある程度、単語と文法等の学習が進めば、ちょこちょこ読解や聴解にも取り組んでいくという流れがいいかなと思います。
また、こういった単語・文法等と読解・聴解をミックスした学習は、モチベーションの維持や、飽きないための工夫という点でも良いと考えています。
――読解問題に取り組む上では、何が大事になりますか。
読解に関しては、試験でどういったポイントで聞かれるかというところの「慣れ」が大事になるかと思います。
細かいテクニックのようなものはないので、多くの演習問題を解くなかで慣れていくことが重要です。
ただ、出題の仕方にはパターンがあるので、そんなパターンを知っておくと正解を導きやすくなります。
たとえば、ある設問で「AがBであることは、絶対ない」という選択肢があれば、「この選択肢は怪しいな」と判断できるようになるといいですね。
多くの問題を解くなかで、そういう「質問の仕方のクセ」を感覚として学んでいくことが大事です。
――日本語カフェでは、どのように演習問題に取り組めばいいですか。
日本語カフェでは様々なパターンの問題に取り組んでいただけるように、ドリルやテスト等の演習問題を多数用意しています。
演習問題は1回解いて終わりにするのでなく、 2回、3回と取り組めば学習効果はさらに上がります。
たとえば、一度解いた問題を1週間くらい経ってから再度解き直してみるんです。
すると2回目に取り組むときには、「あ、こういう感じで聞いてくるんだな」と選択肢を冷静に分析できるので、正解を得やすくなると思います。
聴解対策は多くの問題にふれ、試験問題の型を学ぶこと
――聴解の勉強はどのように進めていけばいいですか。
聴解に関しては、YouTubeや市販の教材で簡単な日本語の会話や、日本語での物語などを聴いてリスニング力を上げていただくのが一つ効果的です。
ただ最終的には、問題の「型に慣れる」ことが大事だと考えています。
試験では、どういう感じの会話の例文が出されて、どういうふうに問われるかというパターンですね。
そして、決められた時間で「どの部分に集中して聴かないといけないか」といったことに慣れていく必要があります。
――そのためには読解と同様に、多くの問題に取り組むことが大事ですか。
そうですね。最短で試験合格を目指すなら、本試験に準拠した聴解の問題をたくさん解くことが重要です。
問題演習を通して、「どんな選択肢が用意されて、どういった理由で最適な選択肢を選べばいいか」を学んでいくことが大事かなと考えています。
――試験合格を目指す場合は早い段階で模擬テストにもチャレンジしたほうがいいですか。
単語と文法、漢字の勉強が一通りできれば、どんどん模擬問題に取り組んでいただくといいですね。
模擬テストを受けるとトータルで何点くらい取れるかなど、現在の自分の位置を把握できます。
そうすると、合格に向けてその後の学習の計画も立てやすくなると思います。
日本語カフェでは多数の模擬問題を用意しているので、そちらを一つ一つ順番に学んでいただければ、最短で試験に合格できるんじゃないかなと考えています。