母国語を基本として会話をしている人が、別の国へ意識を向けたときに第二言語を学習することになります。しかし、第二言語の習得は簡単ではありません。その理由は、言語間の距離というものがあるからです。言語間の距離に関する知識を深め、弱点を克服するための参考とされてください。
言語間の距離とは
言語間の距離というのは、母国語と第二言語がどの程度似ているかという度合いです。文化や生活の中でも多くの違いがみられる世界の国々ですが、会話する言語にも距離が存在しているのです。似ているものは距離が近く、ほとんど似ていないものは距離が遠いと表現されます。
英語からどの程度離れた言語であるかが言語間の距離です。。単語や文法だけでなく、そもそもの発音などにも違いがあるばかりか、母国語には無い音が存在するなどということもあります。このように、言語によって似ている似ていないというものを言語間の距離というのです。
カテゴリーを知る
言語間の距離は、アメリカの国防総省語学研修所外国語センターが資料にまとめてあります。その資料によると、英語を基準とした場合の言語間の距離がカテゴリー別に分けられています。カテゴリー1から順に4まで存在し、英語を話す人にとってはカテゴリー4を習得するのが最も難しい言語であるというものです。
カテゴリー1 スペイン語、フランス語、ポルトガル語
カテゴリー2 ドイツ語、インドネシア語
カテゴリー3 ダリー語、ペルシア語、ロシア語、トルコ語など
カテゴリー4 アラビア語、中国語、韓国語、日本語など
言語間の違いを知ることは、他国との文化の相違が激しいという理解をする上で役に立ちます。もともと違うものだという認識をしているのであれば、それなりの覚悟をもって挑むことができるということです。
簡単な例えを出します。あなたの目の前に人がいますと言われるとどのような人を想像するでしょうか。怖い人かもしれませんし、素敵な人かもしれません。しかし、実際にその人を確認するまでは不安があります。ですが、あなたの目の前に美しい女性がいますと言われると、想像するのは簡単で恐怖よりも好奇心が芽生えることが多くなります。このように、わからないことを明確にすることで人の意識はとても変化します。言語間の距離を知ることは、なぜその言語を習得するのが難しく感じるのかを知る上で重要なのです。違いを知り、その中で共通点を探すことができるようになれば、あなたは第二言語を習得するための力を身に着けたと言えるのです。
克服するイメージ
言語間の距離が離れていることで、第二言語を習得しようと試みている人は不安になることがあります。距離が遠いから難しく、自分には無理だと感じてしまうことがあるということです。
しかし、言語間の距離は離れているから習得が困難だと言われますが、実際には習得している人は沢山います。言語は使うことで磨かれますが、あなたの脳には母国語が刻まれています。第二言語を習得する際には距離を知り、学ぶための意気込みを確認した後、具体的な方法を考える必要があります。
具体的な方法とは、言語を使うためのイメージを明確にすることです。言語間の距離が遠ければ遠いほど、あなたは相手国のイメージをすることができません。例えば、大都会に住んでいる人が田舎に憧れを抱くことがあります。逆に田舎に住む人が都会に憧れることはよくあります。例の場合、どちらの場合でも努力次第で田舎にも都会にも行くことは可能です。
言語間の距離も同様に、必ずたどり着くことができるものであるため、距離という表現をされているのです。第二言語を学習される際、あなたはイメージを膨らませる必要があります。単語を学習する場合も、文法やニュアンスを捉える場合でもイメージをすることはとても重要です。できれば現地へ足を運んで肌で体験するほうが良いでしょう。
考え方を変える
距離が遠い言語を学習している場合は、考え方を変える必要が出てきます。春夏秋冬の変化に慣れている国に住んでいる人は、季節の変わり目に敏感です。しかし、英語圏の人に春夏秋冬を実感することはできない場合があります。四季そのものが無かったり、変化がとても少ないことがあるのです。朝日が昇り夜が来るというのが当たり前の国もあれば、白夜が中心の国ではほとんどが昼間です。夜が来ない日すらあります。
学校の社会では、各国の気温や気候について学びます。気温が高い低いだけでなく、雨が降ったり降らなかったりというだけでも人の感覚はとても違います。ご自身の国が大きい場合には、国の北と南で人々が感じている感覚は違うのです。
あなたが当然だと感じることを逆に難しいと感じていることが多い場合、言語間の距離は激しくなるのです。真面目に生きることは良いことという国もあれば、アメリカンドリームといわれるように一獲千金を狙うことが当たり前の国もありますう。考え方そのものが大きく異なることを知れば、あなたの言語習得は早くなるのです。
違いをメモする
学習を進めていくと、単語などを沢山覚えることになります。覚えていく中で、辞書を調べたり人から聞いたりしながら他国の文化に触れることになります。ご自身が違和感を感じる表現や、言動などをメモする習慣をつけましょう。
言語間の距離は文化の違いです。文化とは多くの人が習慣にしていることの集大成です。人類が言語を使い始めてとても長い年月が経過しており、あなたの脳は母国語を使用することが当然という考え方になっています。当然だと感じることを疑いましょう。母国語を使用することは当然ではなく、第二言語を習得するためのスタート地点にすぎません。
あなたが違うと感じることを、できるだけ沢山メモを取りましょう。現地で会話をすることができるようになるには、メモしたことが当然と感じられるようになれば良いのです。
1つ1つの単語や文法を学習することは必要ですが、何よりも大切なのは1人1人の人間の違いを認めることです。母国に生きる人ですら違うのですから、他国はもっと違います。あなたの脳の国境を取り払うよう心がけてみてください。