日本語を科学に裏付けされた方法で学習しよう!
日本語習得の道のりは簡単なものではありません。
やみくもに勉強しても効率がなかなか上がらず、途中で投げ出したくなります。
しかし、日本語を「科学」の観点から学習することでより楽しく、効率的に取り組むことができます。
そこで科学に基づいた学習法をまとめていきます。
どれもどこかで聞いたことある基本的なものが多いですが、大事なのは「理論」に裏付けされているかどうかです。
分野を絞ってインプットしよう!
日本語を学習する上でインプットする分野を絞るとその背景にある知識を理解できることができます。
自分の専門分野や興味のある分野に絞って徹底的に読んだり、聞いたりすることは科学的にも推奨されています。
日本語は分からなくても、知識ある分野であれば推測ができるので、新しい単語も比較的簡単に習得できますし、何より動機づけが高まるので長続きします。
脳科学的にもリスニングで2割しか理解できないものより、8割以上理解できるものを繰り返し聞いたほうが記憶効果が高まります。
例えば、2カ国語放送などを活用し、まず外国語で聞き、次に日本語で聞くのも有効です。
リスニングで聞き取れなかった文字を記録し、もう一度聞きます。
そして、単語・意味を追いかけながら、読み返すことで文法構造を理解でき、日本語理解が深まります。
つまりほとんどわからないものより、興味ある分野を聞くだけでもそれなりに効果があるということです。
どんな音声情報自体にも脳は処理しているので、日本語のリズムに慣れる効果があります。
「聞く」と「読む」、「話す」と「書く」のセットで学ぼう!
日本語を科学的に学習する上で効率が良いのは、「聞く」と 「読む」 を1セット、「話す」 と「書く」 を1セットで行うことです。
なぜなら、母国語ではなく第二言語習得の場合は、この2つは脳の同じ部分を使って処理しているからです。
1.「読む」とは
・フレーズで区切り訳して読む。
・ブロックで区切り訳して読む。
・3つ、4つに分けて読む。
実際に見たことのある表現、区切りの場所を理解することで日本語を早く読めるようになります。
2.「聞く」とは
・ブレスする場所を理解する。
・イントネーションを記憶する。
・聞いた音を真似て喋ってみる。
つまりは見ないでやることを「聞く」といいます。
3.「話す」とは
・自分の話す言葉を録音して、違和感があれば直す
・Skypeや音声チャットなどを活用し、ディスカッションした上で指摘しあう。
自分の言葉を第三者的に見た時にどう感じるのか自己・他者共に評価します。
4.「書く」とは
・自分で考えて書いた文章を繰り返し書き、他者に何度も添削してもらう。
単語はもちろんのこと文法や接続詞におかしな部分がないか日本人に見てもらいます。
この、組み合わせと順序が日本語習得において最も近道になります。
「文法は理解していても、日本語を話せない」というのは、この事が関係していると言われています。
発声・音声を真似てみよう!
日本語の発音のよさを決める要素は多くあります。
学習開始年齢や日本の滞在期間、性別、記憶力、発音への興味、日本語の使用頻度など様々です。
しかし、この中で自らの意思で一番コントロールしやすいのは「発音の正確さに対する興味」です。
よって、日本で尊敬できる人や好きな芸能人など模範対象を決めて、その人のように話せるまで繰り返し真似てみます。
また、発声や音声を真似ることで「模倣能力」を高める効果があると考えらています。
実は、大人が学習する場合、「完璧な発音」を身につけるのはほぼ不可能と言われています。
そのことを理解して、完璧を目指しすぎないことも重要です。
日本人がわかりやすく、不快に感じない発音とは、イントネーションやリズムの方が個々の音の発音より重要という研究結果があります。
重要なポイントは「特徴を真似る」ことなのです。
例文暗記をしてみよう!
言語の本質はとても創造的で、単語と文法の組み合わせで「無限」の文を作れます。
しかし、実際は日常言語のかなりの部分は「決まった言葉」で構成されているとの研究結果もあり、やはり日本語習得に暗記は不可欠です。
実際に自分が置かれている環境の中でよく使われる表現、例文、ダイアローグを暗記するのは効果があります。
しかし、単文を暗記するだけでは、社会言語的能力がつかないのでダイアローグ、つまり「対話」の方がよいのです。
ダイアローグは議論でも雑談でもなく、お互いの立場を理解しながら互いの意見をきちんと伝え合い、相互理解を深めていくものです。
日本語の文章には無限の組み合わせがあるからこそ、対話の中に存在する「決まった言葉」を探して、それを丸暗記してしまうことが日本語習得を早めるコツなのです。
無意味学習と有意味学習の違いを理解する
外国の方が日本語の単語を覚えるのはとても難しいものです。
なぜなら「猫=cat」「車=car」のように、単語同士に連想される何の繋がりもないからです。
このような学習を「無意味学習」といいます。
特に年齢を重ねるにつれてこの「無意味学習」での記憶力が年々低下していきます。
よって、日本語を学習するには、自分の持っている知識と単語を関連づけて覚える「有意味学習」の必要があると脳科学では言われています。
その「有意味学習」とは、単語を語呂合わせで覚えたり、イラストなどを使って暗記することをいいます。
さらに、単語を文脈の中で記憶することも効果的です。
「動物園に行ってゾウを見た」という文で「ゾウ」を知らなくても「動物園」を関連づけて、動物園にいる動物という文脈を付与して記憶していけば単語から連想でるようになります。
まとめ
外国人の方が母国語を変えるということはできません。
だからこそ日本語をどのように学んでいくのかを真剣に考える必要があります。
そんな時、誰にでも当てはまる「科学」に裏付けされた学習方法を取ることはとても望ましいことだと思います。
普段一生懸命に日本語の学習をしているにもかかわらず、思ったような成果を得られていない場合は、いったん「科学的」な学習に寄り道してみると良いかもしれません。