特定技能外国人への生活オリエンテーションとは?実施にかかる費用や時間、内容を詳しく解説!

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生活オリエンテーションとは、特定技能外国人を雇い入れる企業が特定技能外国人に対して、日本で生活する上での知識や情報を身につけてもらうために行う講習です。

  • 生活必需品を買うためにはどこで買えばいいのか
  • お金を銀行から引き出したいときはどこにいけばいいのか
  • 災害の発生、犯罪の被害に遭ったときはどこに連絡すればいいのか

など、我々日本人としての「常識」を説明し、特定技能外国人が日本の生活で困らないようにする目的があります。

また1号特定技能外国人支援計画にも記載事項としてある義務的支援の1つです。

事前ガイダンスとの違いも説明するのでぜひ参考にしてください。

目次

生活オリエンテーションにかかる費用と時間は?

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費用

生活オリエンテーションの費用は、基本的にはかかりません。

生活オリエンテーションを自社で行う場合は、担当者の人件費が必要になります。

対面でも動画でも実施可能ですが、どちらにしても一から始める際は書類や機材などの諸経費が発生する可能性があります。

また、生活オリエンテーションは外部委託も可能で、費用は30,000円から50,000円程度が相場となります。

委託先によっては、事前ガイダンスとまとめた金額になる場合もあります。

時間

出入国在留管理庁によれば、特定技能外国人が必要な項目を十分に理解するには8時間以上の講習が必要とされています。

日本にすでに在住しており日本の生活事情などを理解している場合は、4時間以上でも可とされていますが、4時間未満になることは禁止されています。

ただし、重要なのは時間ではなく、特定技能外国人に内容を十分に理解してもらうことです。

法務省が出している第1号特定技能外国人支援に関する運用要領に記載がありますので、併せて確認しましょう。

生活オリエンテーションの実施方法

実施する言語

生活オリエンテーションの実施方法は、特定技能外国人が十分理解できる言語にて実施することが求められます。

ZOOMやYouTubeなどの動画コンテンツを利用しての実施も可能とされていますが、質問があった際には質疑応答ができる環境を用意する必要があります。

生活オリエンテーションの実施者

実施者についての特別なルールはありません。

ただし、前述したように、特定技能外国人が十分理解可能な言語でコミュニケーションを取れる担当者が行いましょう。

登録支援機関などに生活オリエンテーションを委託することもできますので、自社で対応が難しい場合は検討しましょう。

また、親族や代理人ではなく、特定技能外国人本人の出席が義務付けられています。

実施する時期

生活オリエンテーションは、特定技能外国人が日本に入国後、生活や仕事を滞りなく行えるように遅延なく実施される必要があります。

目安としては入国から数日後以内がいいでしょう。

事前ガイダンスとの違いは?

事前ガイダンスとは実施する内容や実施するタイミングが異なります。

事前ガイダンスでは、雇用契約の確認や日本へ持ち込んでいい物といけない物の確認など、主に業務上の契約関連と日本のルールの確認が目的となっています。

また、実施されるタイミングも、特定技能雇用契約の締結から特定技能外国人の在留資格認定証明書の交付までの期間とされています。

対して生活オリエンテーションは、入国後に特定技能の在留資格を受けてから実施する講習です。

生活オリエンテーションで理解してもらうべき11の情報

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生活オリエンテーションでは、以下の11の情報について説明しましょう。

  1. 金融機関の利用方法
  2. 医療機関の利用方法
  3. 交通機関等の利用方法
  4. 生活ルール
  5. 生活するための買い物
  6. 災害情報の入手
  7. 行政手続きの方法
  8. 支援に関する情報
  9. 外国人に対応してくれる医療機関の情報
  10. 防災・防犯に関する情報
  11. 法律に関する情報

1.金融機関の利用方法

金融機関での出入金の仕方やATMの操作方法などを説明します。

金融機関の営業時間も伝えるのがいいでしょう。

現在、主要な金融機関にはネットバンキングがあるので、アプリのダウンロード方法や使い方も説明しましょう。

手数料がかかる時間帯や他行のATMを使った際の手数料、コンビニATMの利用方法なども説明しておくのがおすすめです。

また、帰国の際などには口座を閉鎖する必要性があります。

将来的に日本に戻ってくる可能性がある場合は、銀行によって対応が異なるので、銀行に相談するように受講者に伝えておきましょう。

2.医療機関の利用方法

医療機関の受診方法についても説明します。

医療機関への行き方、初診の場合の手続き方法、再診時の手続き方法、来院手続き後の待合室での待ち方、診察後の薬は薬局から処方されることなど、医療機関にかかる前からかかった後の一連の流れの情報が必要です。

また、アレルギー等がある特定技能外国人は、問診時に説明が必要であることを伝えます。

合わせて処方される薬の受け取りのために、薬局の利用方法も伝えましょう。

医療機関では重篤患者へのリスク削減のために、現在でもコロナ対策を徹底していることがほとんどです。

世界的に見ると対策をしていないことが多いですが、病院側がマスク着用を指示している場合はそのルールに従うように指導しましょう。

特に医療機関では高齢者も多くいるので、細心の注意が必要です。

3.交通機関等の利用方法

主要な交通機関の使い方を説明します。

説明内容は地域によって異なりますが、交通系ICカードの発行や利用方法、乗り換えアプリの紹介など、最低でも通勤に関係する説明を実施しましょう。

特に新宿駅や渋谷駅などの主要都市の駅構内は、多くの路線が通っているため複雑です。

そうした場所での注意点は、乗り換え専用口と出口を混同しないよう指導しましょう。

出口に出たつもりなのに、乗り換え専用口に入ってしまい他の路線のホームにしか行けず混乱する恐れがあります。

また、プライベートで電車を使用する際は、できる限り担当者に相談してから乗るよう促しましょう。

出勤に使う経路に不安を覚える場合は、一度一緒に電車に乗ったり路線の色を教えたりして、細かい注意点を確認するのがいいでしょう。

4.生活ルール

日本で生活する上でのルールを説明します。

ゴミの出し方や騒音を出さないなど、近隣住民とトラブルにならず気持ちよく生活ができるようにするための説明をしましょう。

特定技能外国人は国籍が様々なので、文化の違いから近隣住民とのトラブルに発展する可能性があります。

母国ではどんな生活をしていたのか、日本で感じる違和感はないのかなど、あらかじめ文化の違いを聞いておくことで有効的な情報提供ができるでしょう。

特にゴミ出しは、居住している建物や地域ごとにルールが決まっているので細心の注意を払って説明しましょう。

燃えるゴミ、燃えないゴミなど種類によって出す日が異なることや、指定ゴミ袋の情報はトラブルを回避するために必要な情報です。

5.生活するための買い物

主に生活必需品を購入できる場所を説明します。

営業時間や利便性などを伝えるといいでしょう。

また、文化・宗教上の理由から買い揃えなければいけないものや、購入してはいけないないものなどがある特定技能外国人もいるので、予め確認して十分に説明ができるようにしましょう。

6.災害情報の入手

災害発生時の情報収集に関することを説明します。

気象庁では多国語に対応している災害情報収集用のページもあります。

参考:気象庁多国語対応ホームページ

また、アプリやwebニュースからも災害情報の入手は可能です。

国別のインターネット上のコミュニティーもあるため、予め登録してもらい、特定技能外国人自ら情報収集できるように促すのもいいでしょう。

7.行政手続きの方法

役所などでの手続き方法を説明します。

具体的には、雇用契約を結んだ後の届出や転入、転出時などの届出、社会保障関連の手続きの仕方、マイナンバーカードの発行手続き方法などの情報を提供しましょう。

現在、都道府県の役所では外国人に対してのサポートも手厚くなっています。

担当者は必要に応じて、特定技能外国人の手続きを手伝うことも視野に入れましょう。

8.支援に関する情報

外国人の支援を積極的に行なっている行政機関や民間企業などの説明をしましょう。

ネットで調べて存在を伝えるだけではなく、実際にいくつかの団体に登録してもらうことで、企業側だけではなく多方面からの支援が可能となります。

参考:出入国在留管理庁 外国人在留支援センター

9.外国人に対応してくれる医療機関の情報

外国人への対応が可能な医療機関の情報を説明します。

使う言語によって対応可否も変わってくるため、あらかじめ何語が話せるのか、対応してくれる医療機関は近くにあるかなどを調べておきましょう。

訪日外国人向けではありますが、厚生労働省から外国人対応可能な医療機関の一覧が公表されています。

参考:厚生労働省 外国人患者受け入れ可能な医療機関の一覧

10.防災・防犯に関する情報

災害や犯罪が発生した時の対応方法について説明します。

地震や津波、台風などの被災時の対応方法をシーンごとに説明します。

基本的には、居住地域の自治体が災害発生時の対応ハンドブックなどを発行しているので活用しましょう。

また、自治体発行のハンドブックがない場合は、避難所の確認や河川の氾濫時に住んでいる地域が浸水するかどうかなどを伝えます。

犯罪発生時のための避難所として、警察署や交番の位置、一時的に避難が可能なコンビニの位置などを伝え、被害状況の説明の仕方なども伝えるといいでしょう。

緊急時の連絡先も併せて確認します。

警察、消防、海上保安庁、緊急病院、大使館、領事館など、有事の際に連絡ができるように、連絡先及び連絡方法などを説明しましょう。

11.法律に関する情報

日本では法律違反になることを説明します。

外国では合法でも日本では違法となる、銃刀法や覚醒剤などの凶器や薬物に関する法律を重点的に伝えましょう。

外国人犯罪の傾向としては、窃盗が全体の約61%を占めています。

令和3年版犯罪白書第2節 犯罪の動向|nihongocafe・日本語カフェ|特定技能対策講座|外国人向け日本語学習システム|日本語能力試験|JLPT 短期合格可能|日本語指導 日本語学習サポート

“出典:法務省「令和3年版犯罪白書第2節 犯罪の動向」より

少しでも困ったことや悩みがあれば相談に乗れるようにフォローの準備を整えておくことをおすすめします。

また、在留カードや健康保険証の貸出も犯罪になることも伝えましょう。

同じネットワーク内や職場の同僚同士などで、カード類の貸出が増えています。

「これくらいバレないだろう」という程度のことでも犯罪となり、多くの人に迷惑をかける可能性があることをあらかじめ理解してもらいましょう。

生活オリエンテーション実施後に必要なこと

生活オリエンテーション実施後は、生活オリエンテーションを受講した特定技能外国人に生活オリエンテーションの確認書に署名をしてもらう必要があります。

こちらの書類は、提出するものではありませんが義務として定められているので、日付まで特定技能外国人に記載してもらい保管しましょう。

まとめ

生活オリエンテーションは、特定技能外国人が日本で「健全に」「安全に」暮らしていくためにとても重要なことです。

また、特定技能外国人の近隣の住民がこれまで通りの日常を送れるためにも、あらかじめ生活上で困ることを予測し説明しましょう。

特に我々日本人からしたら当たり前となっている生活ルールや文化、または交通機関の利用方法など特定技能外国人からしたら初めて触れるものであり、意識しないと同じように生活するのは難しいでしょう。

ご自身で生活オリエンテーションを実施される場合は、一旦当たり前を置いて特定技能外国人と同じ目線で実施することを意識されてください。

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この記事を書いた人

三木 雅史(Masafumi Miki) 株式会社E-MAN会長
1973年兵庫県たつの市生まれ / 慶応義塾大学法学部法学科卒
・25歳で起業 / デジタルガレージ / 電通の孫請でシステム開発
・web通販事業を手掛ける
・2006年にオンライン英会話を日本で初めて事業化
・2019年外国人の日本語教育を簡単、安価にするため
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