特定技能2号の概要と求められるスキルは?試験内容と必要な実務経験を詳しく解説

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2023年6月、特定技能2号の受入れ分野で介護以外の11分野を認めることが閣議決定されました。この決定は、「建設業」と「造船業」の 2 分野のみを対象としていたこれまでの制度を大幅に拡大しています。

そもそも、外国人が「特定技能2号」の在留資格を取得するには、長年の実務経験により習得した高度な技能が必要です。 スキルレベルを満たしているかどうかは、業種ごとに設けられた試験や実務経験によって判定されます。

この記事では「特定技能2号」の概要や取得方法、必要な実務経験などについて詳しく説明します。

目次

特定技能2号とは?

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特定技能2号の概要

特定技能2号は、「熟練した技能を有する業務」に従事することができる在留資格です。

特定技能1号の「相当の知識又は経験を必要とする技能を要する業務」とは定義が異なります。

簡単に言うと、特定技能1号は勤続3〜5年程度の人で、特定技能2号は現場経験があり、リーダーや職長クラスを担当できるレベルを想定しています。

また、特定技能2号は、更新を続けることで実質的に有効期限なしで長期雇用が可能です。

特定技能2号に変わると家族を帯同できるようになるので、大きなメリットとなります。

受け入れ企業にとっては、特定技能1号で求められていた支援義務が不要となるため、管理費などのコストがかからないことも大きな魅力です。

なお、介護分野については、専門・技術分野の在留資格が「介護」であるため、「特定技能2号」の対象となりません。

特定技能2号へ移行する方法

では、特定技能2号を取得するにはどうすればよいのでしょうか。

実際、建設業で特定技能2号に移行した人は全国で10人いますが、取得した事例を見ると、2つの要件が必要であることがわかります。

  • 特定技能2号「建設業特定技能2号評価試験」(新設、2022年以降実施予定)合格
  • 「技能認定1級」の取得

上記の試験に加え、グループリーダーとして1〜3年以上の実務経験が必要です。

国土交通省が公表している「建設分野における外国人材の受入れ」の資料によれば、特定技能2号を取得するには「建設分野特定試験」に合格する必要があります。

「技能2号評価試験」または「技能認定1級」のいずれかに該当し、チームリーダーとしての実務経験に加え、グループリーダーとして1〜3年の実務経験が必要となります。

したがって、特定技能1号として在籍する5年間に、この試験の要件と実務経験を満たせるよう、外国人材をどのように教育、育成していくかを考えることが非常に重要です。

各分野の試験内容と必要な実務経験

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ここでは、特定技能2号へ移行するために必要な各分野の試験内容と実務経験を紹介します。

現状は、特定技能1号で実務経験と試験の勉強を行い移行する方法のみになります。

各分野で細かい条件があるので、詳しく見ていきましょう。

建物の清掃

試験内容 ①「ビルクリーニング分野特定技能2号評価試験」
②「技能検定1級」
実務経験 ・特定建築物の内部清掃(建築物衛生法第2条第1項)又は建築物清掃業(建築物衛生法第12条の2第1項第1号)・建築物総合環境衛生管理を行う業として登録された営業所(建築物衛生法第12条の2第1項第8号)が行う建築物(住宅を除く)の内部の清掃に、複数の作業員を指導しながら従事できる者

・現場責任者として2年以上の経験があること

素材・産業機械・電気・電子情報関連製造業

試験内容 ① 特定技能2号評価試験ルート
「ビジネスキャリア検定3級」と「製造業特定技能2号評価試験」の両方に合格する必要があります。
1)ビジネスキャリア検定3級取得
(生産管理計画分類または生産管理業務分類のいずれか)
2)製造分野特定技能2号評価試験に合格していること
(機械金属加工部門、電気・電子機器組立部門、金属表面処理部門のいずれか)②技能検定ルート
「技能検定1級」(鋳造、鍛造、ダイカスト、機械加工、金属プレス、鉄工、工場板金、メッキ、アルミアルマイト、仕上げ加工、機械検査、機械メンテナンス、電子機器組立、電気機器組立、プリント配線板製造、プラスチック成形、塗装、 工業用包装)
実務経験 ・日本に拠点を置く企業の製造業で少なくとも 3 年間の実務経験が必要

工事関係

試験内容 ①「建設分野特定技能2号評価試験」
②「技能検定1級」
実務経験 ・建設現場で複数の建設技術者の指導や工程管理(チームリーダーとして)を担当した経験。・試験区分ごとに必要な経験年数が定められている。

造船・海洋産業

試験内容 ①「造船・水産業分野特定技能2号評価試験」
造船・海洋産業分野特定技能試験 | 日本海事協会
②「技能検定1級」
実務経験 ・造船・海洋業界において複数の労働者を指揮・命令・管理する監督者としての経験2年以上。「監督者」とは、グループマネージャーやグループリーダーなどを指します。グループ内の各従業員への作業指示、製品のチェック、設備や作業場の操作などの実務経験が含まれ、造船・海洋業界での環境調査、作業計画の作成、作業の進捗管理などを経験することが挙げられます。

車の整備

試験内容 ① 「自動車整備分野特定技能第2号評価試験」
②「自動車整備士技能検定試験2号」
実務経験 ・「自動車整備分野特定技能第2号評価試験」に合格すると、道路運送車両法第78条第1項に基づき地方運輸局長が認定した事業場における3年以上の経験が必要。・「自動車整備士技能検定試験2号」に合格した場合、実務経験は必要ない。

「自動車整備士技能検定試験2号」は、道路運送車両法第55条に基づき、自動車の検査・整備に関する一般的な知識と技能、整備に必要な能力を測定します。試験に合格した者は、高度な知識と経験を有すると認められ、必要な基準を満たしていると評価されます。

航空

試験内容 ①空港グランドハンドリング業務…「航空分野特定技能2号評価試験」
②航空機整備業務…「航空分野特定技能第2号評価試験」または「航空従事者技能検定」
実務経験 ・空港グランドハンドリング業務:空港のグランドハンドリング現場で技術者を指導しながら勤務した経験。・航空機整備業務:航空機整備現場において専門的な知識・技能を必要とする業務に従事した経験3年以上。

宿泊滞在

試験内容 ① 「宿泊業特定技能2号評価試験」
実務経験 ・宿泊施設で複数の従業員を統括しながら、フロントなどに勤務。・実務経験証明用紙を提出することにより確認される(用紙は現在観光庁で作成中)

農業

試験内容 ①栽培農業全般…「第2号農業技能測定試験」
② 畜産全般…「第2号農業技能測定試験」
実務経験 ・耕作農業全般:耕作農業の現場で複数の従業員を指導しながら作業・工程管理に従事する者としての経験2年以上、または耕作農業の現場での経験3年以上。「複数の作業者を指導監督しながら作業に従事し、工程を管理する」とは、自然条件の変化に応じて自らの判断に基づいて農作業を行うとともに、複数の作業者を指導監督することをいいます。

これは作業工程の管理を指し、指導を受ける労働者の国籍や職責は問いません。また、複数の作業者に対する指導期間は必ずしも同じ期間である必要はなく、繁忙期等の農業の特性上、期間中に指導しない期間があっても問題ありません。

なお、「栽培農業の分野における」実習とは、施設園芸、畑作、野菜、果樹等の栽培農業の分野において、自然条件の変化に応じて自らの判断に基づいて農作業に従事する経験をいいます。

・畜産全般:畜産現場において複数の従業員を統括し工程を管理する者としての経験2年以上。
家畜の個体や牛舎環境の変化に応じて自らの判断に基づいて農作業を行うとともに、複数の作業者を指導しながら作業を行うことをいいます。

指導を受ける労働者の国籍や責任に関わらず、作業工程を監督・管理することを指します。 なお、複数の作業者の研修期間は必ずしも同じ期間である必要はなく、畜産や衛生管理など畜産の特性上、研修期間が設けられていても問題ありません。 複数の労働者が管理業務に従事する期間は支給されません。

なお、「畜産分野における経験」とは、養豚、養鶏、酪農等の畜産分野において、個々の家畜や畜舎環境の変化に応じて、自らの判断に基づいて農作業に従事する経験を指します。

漁業

試験内容 ① 漁業…「第2号 漁業技能測定試験」
日本語能力:日本語能力試験」N3以上
② 養殖業…「第2号漁業技能測定試験」
日本語能力:日本語能力試験」N3以上
実務経験 ・漁業:漁船法上の登録を受けた漁船で、操業を指揮監督する者を補佐する者または作業員を指導しながら作業に従事し、作業工程を管理する者としての経験。・養殖:漁業法及び内水面漁業の振興に関する法律に基づき行われる養殖業の現場で、養殖を管理する者を補佐する者または作業員を指導しながら作業に従事し、作業工程を管理する者としての経験。

飲食品製造業

試験内容 ① 「飲食料品製造業特定技能2号技能測定試験」
実務経験 ・食品・飲料製造業において複数の作業者を指導し、工程を管理する者としての2年以上の経験。
「複数の作業者を指導」とは、技能実習生、パート従業員、特定技能外国人等を2人以上指します。指導監督を受ける者には日本人も含まれます。なお、パート職員、特定技能外国人等は必ずしも同一人物である必要はなく、職場の状況やシフトの状況によっては、2人で指導・監督を行う場合もあります。上記の指導監督が行われない期間や時間があったとしても問題はありません。
「指導」とは、作業工程等について作業者に指示的または間接的に指導することを想定しています。「工程を管理する者」とは、対象業種や工場の規模等に応じ、事業責任者(工場長等)が行う食品・飲料製造業に関する管理業務全般を指します。例えば、部長、ラインマネージャー、グループリーダーなどの役職です。

外食産業

試験内容 ①「外食産業特定技能2号技能測定試験」
日本語能力:「日本語能力試験」N3以上
実務経験 ・食品衛生法に基づく許可を受けた飲食店において、店舗運営を補助する者(副店長、副店長)で、複数のアルバイト従業員や特定技能外国人等の指導監督をしながら、接客等の業務経験が2年あること。「複数のアルバイト従業員や特定技能外国人等の指導監督」とは、 2人以上の非常勤職員や特定技能外国人等を指導監督する場合を指し、指導監督される者の国籍を指します。在留資格、職責は問いません。
また、職場の状況やシフトスケジュールによっては、常時2名以下でも問題ありません。

「店舗運営補助者」とは、店長または事務長が行う店舗運営(衛生管理全般、採用・雇用事務、顧客情報管理、会計事務、食材・消耗品・備品の補充等)を指します。 例えば、副店長、サブマネージャー、サブリーダー、サブチーフ、グループリーダー、担当部長、副室長などの役職が想定されますが、店長は店舗経営に従事することも含まれます。

特定技能2号に移行するためには、厳しい条件が必要なことがわかりました。ほとんどの分野でリーダーシップが求めらるため、日本語能力の向上は欠かせないでしょう。

まとめ

特定技能2号へ移行するための主な条件は「試験の合格」と「実務経験」です。

実務経験があっても評価試験に合格できるかどうかが大きな壁となります。そして当然、日本語の読み書き、漢字の読み書きが必要です。

受け入れ企業にとって最大の課題は、「5年間で日本語のレベルをいかに高めるか」ということです。

つまり、ペーパー試験の読み書きができる日本語力の向上と、チームリーダーとして機能するビジネスレベルの会話スキルをいかに身につけるかが重要になります。

外国人人材が特定技能2号を取得すると、日本に定住できる大きなメリットもあります。

これから特定技能2号への移行を目指している方は試験や実務経験の詳細をしっかり把握して、自分の持つスキルを活かし、これからの活動に役立ててください。

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この記事を書いた人

三木 雅史(Masafumi Miki) 株式会社E-MAN会長
1973年兵庫県たつの市生まれ / 慶応義塾大学法学部法学科卒
・25歳で起業 / デジタルガレージ / 電通の孫請でシステム開発
・web通販事業を手掛ける
・2006年にオンライン英会話を日本で初めて事業化
・2019年外国人の日本語教育を簡単、安価にするため
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