JLPTに合格するための教え方は?読解の対策方法やおすすめの勉強法をご紹介

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JLPT(⽇本語能⼒試験)の試験対策を担当する先生の中には、「読解」が苦手な学習者が多く、教え方に頭を抱えているという方も多いのではないでしょうか。

ここでは、読解の教え方や読解問題を解くコツを解説します。また、学生が「読解」に苦手意識を持つ理由や指導におすすめの問題集もご紹介します。

目次

なぜ読解が苦手?

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JLPT (日本語能力試験)を受験する多くの学生は、漢字・語彙・文法、聴解は高得点を取ることができても「読解」の得点が低く、合格できない傾向にあると言われています。では、なぜ読解が苦手なのでしょうか。

「漢字が難しい」・「語彙力が少ない」・「文法がわからない」などさまざまな理由が挙げられますが、「長い文章を読むことに慣れていない」ことが強く関係していると考えられています。

「分からない言葉があると文章を最後まで読むことができず、全体の内容がつかめない」や「筆者が何を述べているのかわからない」などという理由から、「文章を理解できない」=「読解は苦手」につながっているようです。

「読解」には、漢字・文法・語彙・表現など日本語の総合的な力が必要です。また、読解は制限時間内に複数の文章を迅速に読み、内容を理解し、問題を解答するスキルも求められています。

では、先生が学生を合格へと導くためにはどのような教え方をすればよいのでしょうか。読解の教え方のコツを解説します。

読解の教え方 で大切なこと3選

読解の教え方を3つにまとめました。読解の対策として活用してください。

最初は文章に慣れる

読解を教える方法として、文章を読むことに慣れさせることが必要です。最初は、短い文章を読む練習から始めます。

短い文章を読む練習を繰り返すことで、読解力が身についていきます。

授業では受験する級より低いレベルの文章で練習することもポイントです。いきなり難しい長い文章を読むとなると、学生のやる気が損なわれてしまいます。

慣れてきたら少しずつ学生のレベルに合わせて文章の難易度を調整します。学生のモチベーションを保ちながら授業を進めることも先生の大切な役割です。

また、経済や科学などの雑誌、新聞、小説など幅広い種類の教材で対策をすることも取り入れます。

学生が親しみやすく興味のある内容であれば、読むこと自体に慣れやすく、苦手意識の克服にもつながります。

時間を意識する

本番の試験では、限られた時間内で正確かつ迅速に問題を解く力が必要です。このため、日頃から短い制限時間を定めて、早く読む練習に取り組みます。

この時、学生には分からない文字や言葉が出てきても、飛ばして読むように指導します。

文章の1語1語の言葉を読むのではなく、わからない言葉を飛ばして読んでいくことで、スピード力が養われ時間内にすべての問題を解き切る力が身につきます。

制限時間になったらまだすべて解き終わっていなくても、文章を読むことをやめます。生徒には問題集を閉じてもらい、問題を解きます。

最初は、時間内に読むことができないことが多いかもしれません。しかし、学生が自信を失わないように日頃から声を掛けておくなど、コミュニケーションを意識することも大切です。

辞書は使わない

読解の練習では、辞書を使わないようにします。なぜなら、試験では分からない言葉がたくさん出題されても辞書を使うことができないからです。

辞書を使わず、言葉の意味を推測しながら解く力を培うことが必要です。文章の前後から意味を推測することができれば、文章のおおまかな内容を理解できるようになります。

学生には後から辞書で調べることができるように、わからない言葉に線を引くことや丸をつけておくように指導することがおすすめです。

すべての文章を読んで答え合わせをしてから、辞書で意味のわからない言葉を調べて、再度読み返すと良いでしょう。後で辞書で調べることで語彙力アップにもつながります。

読解の解き方のコツ3選

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次に、読解問題を解くコツを3つご紹介します。解き方のコツを知って試験時間を有効に使えるように学生を導きます。

読解の解き方のコツ

  • タイトル・出典を確認する
  • 接続詞に注意して読む
  • 5W1Hをチェック

タイトル・出典を確認する

問題を解き始める前に、本文のタイトル(名前)や出典を確認しましょう。タイトルを確認することで、何について書かれている文章なのかを知ることにつながります。

主に、「タイトルを確認する→問題文を読む→選択肢 を見る」の手順で問題を解くと良いと考えられています。

接続詞に注意して読む

問題を解き始めたら、接続詞に注意しながら読み進めます。学生には、接続詞が出てきたら線を引くことや丸を付けるように指導することがおすすめです。

下記におさえておきたい接続詞をまとめました。

①「しか し」・「ところが」・「けれども」

「〜です。しかし、私は~です。」例文のように「しかし」や「ところが」、「けれども」の後ろには、筆者の一番言いたいことが述べられている傾向があります。

②「さ らに」・「そのうえ」

「さらに」や「そのうえ」は、前に述べた物事に対して、別の物事を付け加える時に用いられます。筆者の考えを追加し、筆者の考えを強調しているときに多く使用されています。

③「つまり」・「すなわち 」

「つまり」や「すなわち」は、前の文章を言い換えるときに用いられる接続詞です。「つまり」や「すなわち」の前と後ろでは同じ意味を示し、強調したいことを述べていることが多いようです。

④「だか ら」・「したがって」

「だから」や「したがって」の後ろには結論が述べられています。「だから」の前の文章では、原因や理由を示しています。

5W1Hをチェック

読解の問題を解く時には、誰が何をしたのか、誰の気持ちが書かれているのか5W1Hに注目して読むことも必要です。

「れる」や「られる」などの受け身の表現が出てきたら、誰の行動なのか・誰が述べたことなのか・誰の気持ちなのかが分からなくならないように気を付けます。

JLPT読解問題の形式を理解する

読解でよく出題される問題形式や出題範囲をおさえておくことも大切です。

N1~N4の出題範囲とレベル

下記に良く出題される問題形式をご紹介します。

N1 レベル:幅広い場面で使われる日本語を理解することができる
出題範囲:内容理解(短文)/内容理解(中文)/内容理解(長文)/統合理解/主張理解(長文)/情報検索
N2 レベル:日常的な場面で使われる日本語の理解に加えて、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる
出題範囲:内容理解(短文)/内容理解(中文)/統合理解/主張理解(長文)/情報検索
N3 レベル:日常な場面で使われる日本語をある程度理解することができる
出題範囲:内容理解(短文)/内容理解(中文)/内容理解(長文)/情報検索
N4 レベル: 基本的な日本語を理解することができる
出題範囲:内容理解(短文)/内容理解(中文)/情報検索

N1~N4の主な問題形式

下記に良く出題される問題形式を5つご紹介します。良く出題される問題は授業で繰り返し練習する機会を作りましょう。

主な問題形式

  • 指示語:「これは何を指していますか。」
  • 下線部:「下線部は何を指していますか。」
  • 理由:「~はなぜですか。」
  • 5W1H:「〜とありますが、〇〇とは何(誰)のことですか。」
  • 筆者の考え: 「筆者が最も言いたいことは何ですか。」

① 指示語:「これは何を指していますか。」

多くの学生が苦戦する設問が指示語を答える問題です。「これ」・「この」・「このように」など指示語を見つけたら、丸をつけるように指導します。

指示語の答えの多くは、指示語の前に隠れている傾向があります。指示語の前に何が書かれているのかに注意して読む練習を取り入れることがおすすめです。

② 下線部:「下線部は何を指していますか。」

下線部を答える問題は、下線部を含む一文全体に注目することが対策方法です。授業では下線部を含む一文全体に線を引いてから解く練習をします。

一文に出てくる言葉が他の言葉で言い換えられている傾向があることを学生に伝えておきましょう。

③ 理由:「~はなぜですか。」

理由を答える問題では、接続詞や文末に注目して読むようにします。接続詞や文末から答えを導き出せることが多いようです。

文末の「〜ので」や「〜から」、「〜ため」、接続詞の「なぜなら」がないかを探します。理由が書かれている部分がわかったら、その一文に線を引き、選択肢と照らし合わせます。

この時、選択肢が他の言葉に言い換えられていることもあるため注意します。

④5W1H:「〜とありますが、〇〇とは何(誰)のことですか。」

①の下線部を答える問題と同じ方法で解きます。文章を読むときに主語を意識して読み進めることが重要です。

⑤筆者の考え: 「筆者が最も言いたいことは何ですか。」

筆者の考えを問う問題は、文章の終盤を注意して読みます。筆者が一番主張したいことは文章の終盤に書かれていることが多い傾向です。

また、文章の中で何回も使われている言葉も要チェックです。何回も使われている言葉がその文章のキーワードです。

筆者が最も言いたいことが書かれている部分には、文末に「と思われる」や「べきだ」、「ではないか」、「わけだ」など筆者の主張を示す表現が使われています。

また、「よって」や「このように」のような、文章をまとめる働きをする接続詞が使われていることもあります。文章の中には、答えを導くさまざまなヒントが隠れていることを学生に伝えておきましょう。

おすすめの問題集

おすすめの問題集や教材をご紹介します。教材選びの参考にしてください。

新完全マスター読解日本語能力試験 出版社:スリーエーネットワーク

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出典:amazon

N1やN2の読解は,、「新完全マスター読解日本語能力試験」がおすすめです。同じシリーズでN3やN4に対応しているものもあります。

指導用に適しており、日本語教師がわかりやすく丁寧に説明できるように準備することが必要です。

必ずで きる!JLPT「読解」 出版社:株式会社アルク

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出典:amazon

日本語学校など、日本語教育機関の読解の授業用として作られた教材です。

N2であればN3の復習、N3であればN4の復習から始められるような構成となっており、読解が苦手な学生におすすめです。

スピードマスターシリーズ 出版社:Jリサーチ

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同じシリーズで文法・語彙・読解・聴解が出版されています。ドリルとして活用することや、ある程度読解の練習を積み、試験に向けて実力を養いたい学生におすすめです。

出題形式別になっており、さまざまなテーマの文章を読むことができます。2回分の模試付きで、試験直前の授業用としてもおすすめです。

パター ン別徹底ドリル 出版社:株式会社アルク

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出典:amazon

一冊で漢字・語彙・読解・文法・聴解を学ぶことができる問題集です。よく出題されるパターン別に分類されています。解説が詳しく、初めて授業を担当する教師にも優しい教材です。

主に指示代名詞、理由、内容一致、筆者の考え、統合理解、情報検索を練習することができます。

まとめ

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今回は、学生が苦手とする読解の教え方や解き方のコツを解説しました。JLPTに合格するためには、読解を攻略することが必要です。

読解対策の授業を初めて担当する日本語教師の方や日本語教育に携わっている先生は、問題形式や解き方をしっかりおさえておきましょう。

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この記事を書いた人

三木 雅史(Masafumi Miki) 株式会社E-MAN会長
1973年兵庫県たつの市生まれ / 慶応義塾大学法学部法学科卒
・25歳で起業 / デジタルガレージ / 電通の孫請でシステム開発
・web通販事業を手掛ける
・2006年にオンライン英会話を日本で初めて事業化
・2019年外国人の日本語教育を簡単、安価にするため
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